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国 際 家 族 法 ― 林 貴美

◆出題意図

 

 本試験においては,具体的な事案において問題となっている単位法律関係が何かを見極め,根拠を示したうえで準拠法を特定し、それを適用することができる力があるかを問うた。

 1は、養子縁組の成立に関する基礎的な理解力を問う出題である。法の適用に関する通則法(以下、通則法という。)31条1項を適用することになるが、本問ではいくつかさらに検討を要する論点がある。まず、同条同項前段について養親が異国籍の場合にはどのように法適用するかについて述べなければならない。次に、同条同項後段により、子の本国法がいわゆるセーフガード条項として所定の事項について適用されるが、本問では子が二重国籍者であるため、通則法38条1項により子の本国法を決定することを要する。

 2は、養子縁組の方法と方式の二つが関係する問題である。前者については、通則法31条1項前段が、後者については通則法34条が適用されることになる。

 3は、養子と実方の父母及びその血族との親族関係の養子縁組による終了の有無に関する問題である。これに関しては、通則法31条2項により準拠法が定まる。本問の場合、一方の本国法(甲国法)は断絶型である。他方の本国法(日本法)については、断絶型の特別養子縁組か非断絶型の普通養子縁組かどちらが成立したかを事案から検討しなければならない。本問では、子の年齢から普通養子縁組しか成立しえないことを見抜くことを要する。その結果、適用すべき養親の本国法が断絶効について異なる効果を定めることになるため、これらの法をどのように適用するかも論点となる。

 

◆講評

 

 1に関しては、通則法31条1項前段を適用する点は、多くの答案でできていた。しかし、異国籍の養親の本国法をどのように適用するかについては、しっかりと理解できていない答案がかなり見られた。単に「養親の本国法である日本法と甲国法を適用する」と書くもの、選択的適用すると書くもの、累積的適用すると書くもの、常居所地である日本法を適用すると書くものなどいろいろとあったが、判例通説の解釈について言及していないものや自説の根拠づけをしていないものは加点しなかった。解釈論と立法論のいずれを述べているか不明な答案もあった。そのほか、通則法31条1項後段のセーフガード条項の適用を見落としているものが多かった。セーフガード条項は適用しているが、二重国籍者である子の本国法の決定をしていないもの(そのまま甲国法と乙国法双方を適用しているもの)、通則法38条1項により本国法を決定する必要があることは知りながらも、日本に常居所があるとして、国籍国でない日本法を本国法として導くものなどがみられた。

 2に関しては、養子縁組の方法の問題であると気づくことができた答案は、3通のみであった。授業では、養子縁組の方法に関しては口頭で触れただけであったが、離婚の方法についてはかなり時間を割いて説明しており、その論点とまったく同じ論点であることを見抜くことを期待したが、難しかったようである。他方、養子縁組の方法については、正しく解答できていた答案が多かった。

 3に関しては、通則法31条2項を根拠条文としてあげることができていた答案は多かった。日本民法によれば、本事案においては普通養子縁組しか成立しえないことを導くことができていた答案も一定数あった。養親二人の本国法が断絶効に関し異なる内容を定めるときに、どのような結論を導くかに関し、安易に、公序則を発動したり、通則法32条の親子間の法律関係の準拠法を適用した答案が散見された。前者については、公序則発動の要件をみたしているかの検討が必要であり、後者については、通則法31条において、養子縁組の成立から離縁まで、そして当事者でない実親等と養子との親族関係の終了についてまで養子縁組時の本国法を適用する規定の仕方をしているにもかかわらず、さらに通則法32条を適用すること(しかも、そこでは、養親と子の関係とみるのか、実親と子の関係とみるのか)につき十分な説明ができていないものについては、評価点を与えなかった。