Doshisha University
  • 同志社大学ホーム
  • 入学試験情報
  • お問い合わせ一覧
  • 交通アクセス・キャンパスマップ
  1. TOP
  2. 在学生の方
  3. 成績・授業評価
  4. 2016年度秋学期
  5. 経 済 法Ⅱ/競 争 政 策 法 ― 瀬領 真悟

経 済 法Ⅱ/競 争 政 策 法 ― 瀬領 真悟

出題意図

 設問Ⅰは空欄補充問題であり、不公正な取引方法の禁止のうち主に不当廉売規制について出題した。不当廉売規制では、法定類型(2条9項3号)と一般指定類型(一般指定6項)の二つの定義があり、法定類型該当行為が課徴金賦課対象となることの知識等を問うている。不当廉売として規制される行為の典型例が、略奪的価格設定行為であり、費用基準として平均可変費用基準が一般的であることを理解しているかも問うた。

 設問Ⅱは2つの問題のうち一つを選択して、各問題における小問の解答を求める論述問題である。問題(1)は、東洋製罐事件をモデルにした設例を用いて、私的独占の禁止規制についての理解を問うたものである。小問[1]は、適切な適用条文(本設例では、私的独占の禁止(3条前段)、小問[2]は、私的独占の禁止規定の適用要件についての解答を求めた。小問[2]については、私的独占の定義規定(2条5項)を示して、2条5項における私的独占の要件を整理し(事業者、排除行為、支配行為、一定の取引分野、競争を実質的に制限すること、反公共の利益)、各要件の概論的な説明を行うことが求められる。本設例ではA社の行為のうち設問中で第1の行為としたものが排除行為に該当し、第2の行為としたものが支配行為に該当すること、一定の取引分野の認定、競争の実質的制限の認定について設問の事実に即した説明をすることが求められる。

 また、問題(2)は、不公正な取引方法の禁止についての理解を問うたものである。小問(1)は、適切な適用条文(本設例では、不公正な取引方法の禁止(19条)と再販売価格の拘束(2条9項4号)、小問(2)では、不公正な取引方法禁止規定の適用要件について、不公正な取引方法禁止規定定義の構造の説明を踏まえた解答を求めた。まず、2条9項4号の要件について、概論的な定義や問題点の説明をすることが必要である。事業者、拘束性、直接的な再販売価格の拘束、間接的な再販売価格の拘束、「正当な理由がないのに」とされている文言の意義(公正競争阻害性の概念と分析方法・自由競争減殺、立証責任など)、正当化事由等についての検討が必要である。次に、問題の設例は、日産化学事件をモデルにして加工した再販売価格の拘束についてのものである。取引先卸売業者と経由した間接的な再販売価格の拘束とホームセンターに対して直接価格指示行為を行った直接的再販売価格の拘束を区別する必要がある。その上で、Nの調査行為や出荷停止などによる拘束の実効性確保行為による拘束性の認定、NのXを対象とした価格拘束が公正競争阻害性をもつことの説明(ホームセンターでの品揃えの必要性など)、消費者から問い合わせに対する担当者説明(ただ乗り回避など)が正当化事由にあたらないこと、等の当てはめの説明が望まれる。

 不公正な取引方法の定義については、独禁法19条において禁止規定が置かれていることを踏まえた上で、定義規定2条9項の構成に従った説明が求められる。2類型(2条9項1号ないし5号までの法定された不公正な取引方法と、2条9項6号による不公正な取引方法)の区別とその内容、2条9項6号による不公正な取引方法の定義(公取委の指定(一般指定と特殊指定)、公正な競争を阻害するおそれ、2条9項6号イないしヘ該当性)、違反へのサンクション等の説明、公正な競争を阻害するおそれ(公正競争阻害性)については、自由競争減殺・競争手段の不公正さ・自由競争基盤侵害という公正競争阻害性の内容、一般指定に用いられている「正当な理由がないのに」「不当」「正常な商慣習に照らして不当」という文言の意味、おそれについての言及、法定された不公正な取引方法との関係などについての説明が求められる。

 

講評

 両設問とも、関連条文や制度の基本事項を教科書や講義でしっかり理解できていれば解答できる設問だったと思われる。

 全体的な印象として、相対的に答案のできが良いものが多く、受講生の努力を多としたい。

 設問Ⅰ 中得点以上の答案がほとんどで、満点も含めた高得点者も多かった。ただし、⑤の誤答が多かった。

 設問Ⅱ 問題(1)の答案は、問題(2)の答案に比べると、ポイントをふまえたものが多く相対的にできがよかった。ただし、一定の取引分野及び競争の実質的制限の定義説明及び当てはめについて不十分な答案も見られたことが残念である。問題(2)については、問題(1)の答案と比較して、各要件の概念定義などの説明が不十分な答案が相対的に多かった。特に、公正競争阻害性及び正当化事由について基礎的な講義内容が理解されていない思われる答案が散見された。更に、不公正な取引方法の定義についての説明は全体的に不十分であった。