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未遂犯の研究

助教 山田 慧

<専門分野>刑法
<研究室>光塩館504 Tel 251-3914

私の研究 

 刑法上では、様々な行為が処罰の対象とされており、たとえば、人を殺せば殺人罪、人の財物を盗めば窃盗罪として処罰されます。しかし、これらはいずれも特定の犯罪「結果」を生じさせた場合(既遂犯)を前提としています。では、人を殺そうとしたが警察に取り押さえられた場合など、犯罪結果が生じなかった場合はどうでしょうか。日本の刑法では、「犯罪の実行に着手してこれを遂げなかった」場合でも、「未遂犯」として処罰すると定められています。私の研究テーマは、こうした未遂犯はなぜ、そして、いかなる場合に処罰されるのかを解明することです。
 人を殺そうとしたが失敗した者も、あやうく人を殺すところだったのだから処罰されて当然だ、と思われるかもしれません。もっとも、実際に人を殺した者より責任は軽い、と同時に感じられるでしょう。しかし、日本の刑法では、未遂犯には既遂犯と同等の刑を科すことができるとされているのです。他方、人を殺そうとしたが失敗した者も、人を殺そうとする悪い意思をもったのだから処罰されるべきだ、と考えられるかもしれません。しかし、人の内心のみを根拠に刑罰という重い制裁を科すことは、思想弾圧などの人権侵害につながる危険があります。こうして、あくまでも目に見える「結果」を生じさせた場合の処罰を原則とする日本の刑法において、それでも既遂犯と同等の刑を科されうる未遂犯の本質はどこに求められるのでしょうか。
 また、そうした未遂犯の成否を判断しがたい場合もあります。たとえば、窃盗罪が既遂に至るプロセスとして、次のようなものが考えられます。他人の財物を盗もうと決意し、被害者の家屋に浸入し、金目の物が入っていそうな金庫に近づき、その鍵を開け、中の宝石に手を伸ばし、それをつかみ、自身の懐に入れる。さて、どの段階で未遂犯は成立するのでしょうか。家屋に浸入しようとして失敗した者も、すでに未遂犯として処罰に値するのでしょうか。さらに、事例を変えて、ある倉庫に高価な物が入っていると聞き、それを盗もうと考え、その倉庫に忍び込んだが、持ち主がすでに別の場所に移しており、その倉庫がもぬけの殻だった場合はどうでしょうか。犯人は目的物を手にすることは絶対にできなかったわけですが、こうした場合も未遂犯として処罰されるのでしょうか。
 以上のような、現在でも必ずしも見解の一致を見ていない点について、英米やドイツの法制度も参考にしながら解明することを目指しています。

講義・演習・小クラスについて

講義は、1年生を対象とした「刑法概論」、2年生以上を対象とした「犯罪タイポロジー」、ロースクールを目指す学生を対象とした「司法特講(刑事法系)」を担当します。いずれも、各学習レベルに合わせることを意識しつつ、設例等を用いながら、わかりやすい授業を目指したいと思います。「2年次演習」では、刑法に関わる判例や重要問題に取り組んでもらう予定です。その他、新入生を対象とした「リーガル・リサーチ」では、法律学の勉強の仕方、アウトプットの仕方などを、自身の経験も交えながらお伝えし、同時に法律学の面白さに触れてもらえるように努めたいと思います。また「文献研究(英語)」では、英米の刑事法に関わる文献を読み、英語の読解力の向上を図ると同時に、日本の刑事法について改めて考える視座を提供できればと考えています。

プロフィール

1990年大阪生まれ。2009年4月に同志社大学法学部に入学後、刑法の面白さに触れ、2013年4月より同志社大学大学院法学研究科へと進学し、2018年4月より同志社大学法学部助教として着任しました。
 小学生のころからサッカーを始め、今ではもう走る体力はありませんが、時おりスタジアムに足を運び、サッカー観戦を楽しんでいます。