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知的財産は「万人の共有財産」

教授 井関 涼子

<専門分野>知的財産法

<研究室>光塩館405 Tel:(075)251-3602

プロフィール

札幌に生まれ、小学校からは岡山で育ちました。京都大学法学部入学後は、ずっと京都で暮らしています。大学卒業後、公務員として3年間働き、弁理士試験に合格後、同志社の大学院に進学しました。
 夫と大学3年の息子、大学1年の娘の4人家族ですが、息子は東京、娘は大学のFLY (Freshers' Leave Year) Programを利用してカナダにいます。一人暮らしをしている学生の親御さんの気持ちが、よく分かるようになりました。10年前に米国ミシガン大学ロースクールで在外研究を行い、子どもと3人で1年4ヶ月間米国で生活しましたが、ロースクールは勿論のこと、子どもの小学校から得たものも非常に大きかったです。子どもを通じて広がる世界の豊かさも改めて味わいました。子育てから得たことを、研究、教育にも活かせたらいいなと思っています。
 弁理士会の会誌「パテント」68巻8号の特集「知財で活躍する女性」に拙稿「大学教授の仕事と子育て」が掲載されました。仕事も子育ても、と考えている女子学生の参考になれば幸いです。

私の研究

私は、知的財産法の中で特許法を中心に研究しています。
 知的財産権の強化が謳われることがありますが、知的財産権は強ければ強いほどいいわけではなく、また法律学的には、知的財産権は、民法の規律する「財産権」とは全く違う側面を持つ権利である、という考えが私の研究の原点です。私が学生時代に特許法に初めて出会い、「これだ」と思ったのは、「発明は本来、万人の共有財産である。」という言葉に触れた時でした。所有権の対象である物や土地などの有体物は、物理的に利用できる者が限られますが、技術や思想表現などの知的財産は、世界中の誰もが同時に利用(すなわち模倣)することができます。そもそも、どんなに優れた発明も、先人の築いた基礎を利用し、その上に成り立っているのであり、その意味でも共有財産であるべきと言えます。ただ、すべての模倣行為を放置したのでは社会は進歩しないので、社会の進歩に必要な限度で、特許権等の独占権を付与するのです。
 このように、知的財産制度は、創作者と、創作を利用する者との利益調整を目的とした制度です。特許権や著作権などの独占権の強化は、創作を利用する者の利益を制限すること、すなわち、模倣の禁止範囲が拡大することにつながります。しかし、模倣は技術進歩の元でもあるのです。「バランスを常に心がける」が、私の研究のモットーです。
 最近の知的財産法を取り巻く動きは、必ずしも 「知的財産権の強化」 とは言えず、その逆もよく見られます。そのような場面では、権利を擁護すべきと考えることもあります。「あまのじゃく」なのかもしれませんが、時流へのブレーキというのが、学者に求められている役割であろうと思っています。

講義・演習・小クラスについて

知的財産法は、実務の影響が非常に強いのですが、実務的知識を学ぶのではなく、法の基本理念、制度趣旨、哲学といった、大学ならではの学習をしてほしいと思います。また、利害の対立する両者それぞれの立場に立って考えられることをめざします。2年ゼミでは知的財産法の基本問題を素材に、調査、報告、討論の基礎を学びます。3年ゼミでは、自らの関心から設定したテーマの下にグループを作って共同論文を作成し、その過程で、希望者は、企業の知的財産部や弁護士さんにインタビューをするなどのフィールドワークを行います。また、3年4年ゼミ合同で行う立命館知財ゼミとの合同ゼミでは、討論ではなく、「交渉」を課題とするため、現実の社会で行われるビジネスにより近く、その経験が社会に出てから役立っているという卒業生からの声をしばしば耳にします。4年ゼミでは卒論とも言うべき個人論文を作成します。
 ゼミ活動全般を通じて、学生たちが自分の頭で考えることを重視します。身の回りにある問題、たとえば、音楽、映像、文芸、商品名などが類似している場合について、自ら課題を見出し、学習した知識を使って、それをどのように考えていけばよいかを考察します。また、班単位で準備するため、仲間との議論や作業を通じ、チームワークで物事を進めることも学んでいます。