同志社大学 法学部・法学研究科

法律学科

憲法の向こうにアメリカが見える

教授 阿川 尚之

教授 阿川 尚之
専門分野アメリカ憲法史
研究室光塩館517
TEL(075)251-3168
E-mailnagawa@mail.doshisha.ac.jp
 業績リスト

私の研究

 アメリカ合衆国憲法、特にその歴史が専門です。主要国では最も古いこの憲法、日本を合む多くの国の憲法に影響を及ぼしてきました。
 1831年にアメリカを訪れたトクヴィルは、著書『アメリカのデモクラシー』で、アメリカではほとんどの政治問題が法律問題として解決される、と言っています。実は憲法問題として解決される政治問題も多いのです。歴史の大きな節目は、いつも難しい憲法上の問題をはらんでいました。南北戦争と奴隷解放、大恐慌と連邦政府の役割、戦争と大統領の権限などがそうです。最近も統規制の必要性、同性婚の是非、政治資金の規制などは、国論を2分する政治問題であると同時に憲法問題でもありました。
 ですから合衆国最高裁判所が下した憲法判例は、憲法の仕組や論理を示すだけではありません。判例の奥にはそれぞれの時代の生身の人間が、政治や社会の状況が広がっています。憲法史はアメリカの歴史そのものであり、憲法を知ることはアメリカを知ることです。それがおもしろくて、憲法史の勉強を続けています。

講義・演習・小クラスについて

 アメリカ憲法判例を原文で読む。1997年春学期に法学研究科の嘱託講師として生まれて初めてアメリカ憲法を教えて以来、これが今に至るまで私の授業スタイルです。私自身が経験した、アメリカのロースクールで用いるソクラテス・メソッドに基づいています。
 学生諸君には、原則としてあらかじめ指定した判例を読んでもらい、授業では判例の内容、特に事実関係や争点について問答をします。当てられた人には頭をしぼって考えてもらいます。答えがすぐにわからなくてかまいません。ひたすら考え、自分自身の力で答えに到達することが大事です。
 本年は、大学院特殊講義「比較憲法論」で、上記の方法によりアメリカ憲法を勉強します。学部特殊講義「憲法で読むアメリカの自由と平等」でも主要な判例を検討するつもりです。また春学期のグローバル科目「Japanese Constitution」では比較憲法の視点から日本国憲法へのアメリカの憲法史の影響を英語で講義し、秋学期の、大学院特殊講義「古典講読」では、民主主義と立憲主義に関する古典を学生諸君と読みたいと思います。

プロフィール

東京に生まれ、慶應高校から同大学法学部政治学科へ進学。研究者になる道を考えていたのに、アメリカのジョージタウン大学へ留学してそちらを卒業し、慶應は中退。ソニーに就職して法務の仕事につき、会社からの派遣でアメリカのロースクールヘ留学、ニューヨークで同州弁護士の資格を取りました。ソニー退社後、アメリカの法律事務所でロイヤーとして勤務。
 その間、ロースクールや法律事務所で憲法とアメリカ最高裁の存在の大きさに強い関心を抱くようになり、ヴァージニア大学ロースクールの訪問研究員として1年間アメリカ憲法史を勉強し直し、帰国後ロイヤーの仕事を続けながら同志社と慶應で教えはじめました。2002年から3年間ワシントンの日本大使館で公使として働き、慶應に戻って学部長、常任理事をつとめ、2016年4月に本学法学部に着任しました。時々政府の仕事を手伝い、憲法の本を書いています。
 これまでの慌ただしい人生を反省し、これからはアメリカ憲法を軸としながら、教育、研究、執筆にできるかぎり専念したいと考えています。
 家族は妻、息子2人とその配偶者2人。孫娘4人。船、鉄道、飛行機とキツネ丼が好きです。