同志社大学 法学部・法学研究科

政治学科

「政治法」としての選挙法

助教 益田 高成

益田 高成
専門分野政治過程論
研究室光塩館314
TEL(075)251-3578
E-mailtamasuda@mail.doshisha.ac.jp

私の研究

 私の専門分野は政治過程論です。政治過程論とは、政治家や政党、官僚、利益団体、マスメディアなど、様々な政治アクターの相互作用ならびにその動態を記述し、説明するアプローチのことですが、私はこの政治過程論の立場から、現代日本における選挙に関する研究に取り組んでいます。選挙というと、政治学では有権者の投票行動に注目する研究が盛んですが、私の関心は集票する側の動向にあり、これまでは、候補者の集票行動を規定する法制度について研究してきました。
 候補者の集票行動を含め、選挙に関わるあらゆる事項について定めた法律が選挙法です。選挙法はその性質上、選挙のあり方、ひいては選挙結果に対しても影響力を持つため、選挙法をめぐっては様々なアクターが各々の利害に基づいて行動し、ときには激しい政治闘争が展開されます。こうした特徴から、選挙法は「政治法」と呼ばれることがあるのですが、私はこの「政治法」としての特質に焦点を当て、選挙法改正をめぐる政治過程を分析してきました。
 日本の選挙法は、候補者の選挙運動を厳しく制限していることで知られています。例えば、多くの国で広く行われている選挙運動のひとつに戸別訪問がありますが、日本では選挙法によって戸別訪問が禁止されています。戸別訪問の禁止はほんの一例で、日本の選挙法は候補者の選挙運動を時期・主体・手法の3 面から厳しく制限しており、その厳格さは、他の先進民主主義国に類を見ません。そしてこの厳格な選挙運動規制は、起源を1925年の選挙法改正に持つ、とても息の長い制度である点に特徴があります。
 厳格な選挙運動規制に対しては、古くから厳しい批判が多方面から寄せられており、また過去には何度か規制緩和も試みられてきました。しかし、その試みの多くは結実せず、むしろ数多くの選挙法改正を経たことで、規制はさらに強化されて現在に至っています。こうした経緯を踏まえると、厳格な選挙運動規制は、単に持続してきたというよりも、維持されてきた性格が強いといえるでしょう。どのような経緯で厳格な規制が維持されてきたのか、誰が何の目的で規制の存在を求めてきたのか、規制の持続がどのような政治的帰結をもたらしたのか。これまで私は、そのような問いに向き合ってきました。
 冒頭で述べたように、私の関心の大本は選挙における候補者の集票行動にありますので、選挙法に関する分析は、集票行動研究の第一歩に位置づけられます。今後は、集票行動を規定する法制度に関する分析を精緻化する作業を進めつつ、実際の選挙における候補者の集票行動の実態に迫る研究にも着手し、究極的には、それらをまとめて集票行動研究として体系化させることを目指しています。

講義・演習・小クラスについて

 本年度は、1年次生向けの導入科目である「政治学入門」、「政治学基礎A・B」のほか、「2年次演習」、「政治学」(全学共通科目)を担当します。「政治学入門」「政治学基礎A・B」では、政治学を学ぶにあたって必要となる基礎知識を身につけるとともに、広く大学での学びにおいて求められる技能・作法を習得することを目指します。「2年次演習」では、政治過程論に関する文献を輪読し、現代の日本政治をめぐる諸問題について議論していく予定です。「政治学」では、政治学に初めて触れる受講生の皆さんが日本政治の仕組みについて理解できるよう、講義を進める予定です。

プロフィール

 1994年、兵庫県生まれ。2016年3月、同志社大学法学部政治学科卒業。2021年3月、同志社大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。2021年4月、同志社大学法学部助教に着任。