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  5. 民法Ib(総則②)-2 ― 大中 有信

民法Ib(総則②)-2 ― 大中 有信

<出題趣旨・講評>

 

第一問

 

代理権濫用についての事例問題である。判例は,代理人が本人以外の者(代理人自身や第三者)の利益を図る目的で,代理行為をおこなった場合であっても客観的に代理権の範囲内の行為であれば,有権代理として原則的に代理行為の効果は本人に帰属すると理解している。しかし,さらにこのような場合には,民93但書を類推して適用することができると述べる(最判昭和42420日民集213697頁)。類推の基礎は,代理人が,「本人のためにすることを示して」代理行為をおこなったにもかかわらず,真実には本人ではなく自己または第三者の利益を図る意図を有していたことが,心裡留保の場合と類似しているという点にある。

この場合,本人は,相手方が,代理人が代理権を濫用していることについて悪意または有過失であることを証明すれば,代理行為の効果が帰属しないことを主張できる。

この判例法理を適切に問題の事例にあてはめることが要求されている。

 

第二問

 

担保権の実行として競売をおこなう場合も,差押えに準じて時効中断効が認められる(大判大正9629日民録26949頁)。担保権の実行は,被担保債権を行使する行為にほかならないからである。

物上保証人に対する担保権の実行は,債権の行使であるが,「直接時効によって利益を受ける者」(ここでは被担保債権の債務者)に対して,差押えをするわけではなく,担保権を設定した物上保証人に対しておこなう。この場合は,債務者に通知したあとでなければ,時効中断の効力は生じない(最判平成8927日判時158157頁)。義務者が知らないのに,中断の効力を義務者に対して及ぼすのは酷だからである。したがって,この場合,時効中断効が生ずるのは,競売開始決定正本が債務者に送達された時であって,実行の申立て時ではない。

以上の諸点について,簡潔に述べることが必要である。