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裁判所事務官として

後藤 健司さん

2003年3月  法学研究科公法学専攻修了  最高裁判所裁判所事務官

私は裁判所事務官として採用され、現在9 年目になりました。担当した業務としては民事事件を4 年担当したのが一番長く、現在は最高裁判所で裁判所事務官としてIT関係の仕事をしています。

裁判所といえばやはり裁判に関する業務です。裁判と言えば「法廷」で行われる刑事事件や民事事件が思い浮かぶかもしれませんが、家事事件や破産事件といった、法廷では行われない非訟事件もあります。さらに、裁判以外の業務として、総務や人事、会計を行う事務局の業務もあります。

こうした業務をすべて説明することはできませんので、ここでは私が経験した印象的な出来事をご紹介して、裁判所の仕事の一端を知っていただき、裁判所の仕事に少しでも興味を持っていただければと思います。

簡易裁判所の受付でのことです。返済できる見込みのない借金があるが、破産はしたくないという高齢の方が窓口に来られました。いわゆる債務整理の相談です。債務整理の手続きを説明するとともに、破産手続以外の手続きをとる場合、ある程度借金を返済することが条件となることが多いので、破産手続もあわせて説明しました。手続説明の中で、その方に破産をしたくない理由を聞いてみると、破産をすると近所の人に話が広まり、住んでいられなくなるから、ということでした。そこで、私から官報には掲載されますが、破産をしたからといって必ずしも近所に話が広まるわけではありません、といったことを説明しました。しばらくして、その方が私のところに再びお見えになりました。結局、その後に破産手続を申し立て、最終的に返済義務が免除された(免責された)とのことで、「肩の荷が下りた。ありがとう。」と言って帰っていかれたことがあり、心が温かくなった思い出があります。

裁判所は公平中立な司法機関であり、破産者だけでなく、その債権者の立場も考える必要がありますから、裁判所の職員は、一方当事者に有利な助言をすることはできず、あくまで手続きの説明をすることに限られます。しかし、手続きをきちんと説明することにより、誰かの役に立つこともあるのだということに、やりがいを覚えました。このような出来事を経験し、裁判所の仕事をしていてよかったと感じています。

もちろん、このようなこと以外にも、裁判官と協働して大きな事件の裁判の進行に携わることなど、裁判所の業務は様々なので、私が感じているやりがい以外でも、人それぞれ、仕事のやりがいを見つけられると思います。

裁判所事務官採用試験の面接については、法学部の勉強方法が大変役立つと思います。それは、いろいろな結論があることをまず肯定した上で、考慮する前提事実の幅を決定し、その前提事実からどのようなことが必要なのか(必要性)や、その結論を選択してもよいのか(許容性)を考え、結論を検討していくことだと思います。面接についても同様で、どのような質問を受けても、面接官の意見などを即座に否定するのではなく、そのような意見があることは認めた上で、自分はこのように考えるということをしっかり伝えることができればよいと思います。

同志社は自由に学べるところです。おそらく皆さんが考え出した結論を、先生方は頭ごなしに否定することはしないでしょう。これは皆さんが「いろいろな結論や意見を認めることができる」といった考え方を育んでくれていると思います。私は現在、IT関係の仕事をしていますが、このような考え方が役立っていますし、それは裁判所だけではなく、社会一般の様々なフィールドで役立つことと思います。

ですので、現在就職活動を行っている人も、これから行う人も、同志社で学ぶことは今後の人生できっと役に立ちますので、一生懸命遊ぶとともに、一生懸命学んでください。

 

『NETWORK法学部2012』より転載