Doshisha University
  • 同志社大学ホーム
  • 入学試験情報
  • お問い合わせ一覧
  • 交通アクセス・キャンパスマップ
  1. TOP
  2. 法律学科
  3. Student's Voice
  4. 法曹を目指す方へ

法曹を目指す方へ

神子 貴士さん

2000年3月 法学部法律学科卒業、2003年3月同志社大学大学院法学研究科私法学専攻修了、
2006年3月同志社大学大学院司法研究科修了 弁護士
 私は、「人の役に立つ仕事がしたい」という素朴な思いから弁護士を目指すようになり、旧司法試験の時代に法学部へ進学し受験勉強を始めました。法学部を卒業後は、法学研究科(私法学専攻)へ進学して受験勉強を続けていましたが、ちょうど司法制度改革のー端として新司法試験が導入されることとなり、思い切って新司法試験一本で挑戰することとし、司法研究科既習コースへ進学しました。その後、2回目の挑戦でようやく新司法試験に合格し、1年間の司法修習を経て、平成20年12月から京都市内で弁護士として活動をしています。
 私の勤務する事務所は、いわゆる「マチ弁」であり、比較的交通事故の案件を扱うことが多いものの、様々な事件を扱っています。私自身も個人事件として対応している案件は、交通事故に限らず、一般民事、労働事件、離婚や相続などの家事事件、自己破産申立や管財業務、後見業務(成年・未成年)、刑事事件(成年・少年)などを扱っています。また、犯罪被害者の支援業務にも携わっており、今後もライフワーク的に関わっていきたいと考えています。
 弁護士業務というと、テレビドラマや映画などに出てくる弁護士の法廷での立居振舞などのイメージもあり一見華やかに思われがちだと思いますし、私も実務に就くまではそのようなイメージを持っていましたですが、実際は、法廷外での地味で地道な業務の積み重ねが重要であり、むしろ私のような「マチ弁」にとっては、その部分が大半であり本質といっても過言ではありません。
 例えば、民事事件の場合、依頼者と相手方の感情や利害が複雑に絡んでいることが多く、紛争解決後も依頼者には日常の生活があるわけですから、ただ裁判をして白黒をつけてもらえば解決となるわけではなく、いかに依頼者に納得してもらい、日常の生活を取り戻してもらえるかという点を考えて事案にあたっていかねばなりません。
 弁護士登録から丸4年が経ち、5年目を迎えようとしていますが、様々な案件と向き合ってきた中で感じているのは、受験勉強で学んできた法律の知識を駆使するだけでは実際の「生きた」紛争は簡単には解決出来ないということです。
 建前だけの法律論に終始していては、依頼者からの信頼を得ることはできませんい依頼者が不満を残したままの形式的な解決になってしまいかねません。
 では、どのような対応が求められるのかというと、やはり最初に相談を受ける段階で感情的な事情も含めて丁寧に依頼者の話を聞き、信頼関係の構築に努めるとともに解決のための着地点がどこにあるのか事件の見通しを立てることに尽きると思います。そうすることで、法律論と感情論を踏まえて紛争解決のためのキーマンとなる人物や事情が把握できます。また、誰にどのような説明を尽くすべきなのかという点も見えてきます。
 また、丁寧に話を聞くという点は紛争の相手方と話をする際に通じる事で、相手方にも敬意を持って接し、ある種の信頼関係を築くことが重要だと感じています。私が担当する案件でも、事前に聞かされていた情報とは異なり、いざ相手方と連絡を取って話を聞いてみると、「今までは言い分を聞いて欲しくても、聞く耳すら持ってもらえなかった」、「ゆっくり話を聞いてもらえたのは弁護士さんが初めてだ」、と言って納得していただき早期解決に至るケースも少なくありません。
 私達の扱う事案は、自分とは異なった環境・価値観で生活をしておられる方が抱えておられる「生きた」法律問題です。そのような問題を、依頼者や時には相手方の立場になって、最善の解決を目指すことが私達弁護士の仕事だと思いますし、自分の知識や価値観に捉われることなく、多様な価値観を受け入れる一方で、それを客観視する能力が求められます。
 学生生活は、多様な価値観に触れ、先述のような法曹として要求される能力を身に着ける絶好の機会でもあると思います。これから法曹を目指す皆さんも、受験勉強ももちろん大切ですが、大学生としての活動を通じて視野を広げることが、法曹はもちろん将来社会へ出る際に大きな財産になると思いますので、限られた学生生活を充実したものにしていただきたいと思います。

『NETWORK法学部2013』より転載