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税理士の業務と魅力

小池 涼さん

2009年3月法学研究科公法学専攻修了 新日本アーンストアンドヤング税理士法人 

 

【はじめに】
 法学部の皆さんにとって、税理士は税金の専門家といった程度の認識しかないと思います。少なくとも学生時代の私はそうでした。私は税理士有資格者で、まだ税理士の登録自体は済んでいませんが、本稿では、税理士の業務とその魅力について、私の経験を通じて紹介したいと思います。本稿を読んだ皆さんが少しでも税務の世界に興味を持つきっかけになれば幸いです。

 

【税理士の魅力】
 税理士の魅力として、まず専門性と業務独占性の高さがあげられます。例えば、個人や企業が商売でもうけ(所得)を得たのなら、そのもうけに対する所得税や法人税の納税義務が発生します。これらの税金は納税者自らが税額を計算して、国や地方自治体に申告と納付をしなければなりません。しかし税金の計算は煩雑であり、専門的な知識を要しますので、誰かが納税者の代わりに税務を行うことが求められますが、税理士以外の人が行うと法律で罰せられます。つまり、税務代理行為は税理士にのみ許された独占業務なのです。
 その他の魅力として、活躍フィールドの広さがあげられます。独立開業する税理士以外にも、企業の大規模な税務問題に携わる企業内税理士や、税務知識を活用して、経営コンサルティング業務を行う税理士も存在します。また、近年は国際税務の重要性も高まってきており、国際的に活耀することも可能です。このように、税理士には多様な活躍の場が広がっており、自分次第で如何様にも活躍することができます。

 

【現在の仕事】
 税理士の仕事の一例として、私の現在の仕事をご紹介します。
 私が大学院修了後から現在まで働いている事務所は、顧客のほとんどが外資系企業の、大手の税理士法人です。部署ごとで携わる業務は異なりますが、私の所属する部署では、主に外国法人の日本子会社の法人税や消費税などの申告業務を扱っています。私がこれまでに携わった案件でも、著名な企業や、あるいは日本ではさほど知名度がなくても、世界的には有名な企業だったことはよくあります。
 また、監査法人系列の法人でもあり、決算書のうちの税金関連科目のみですが、会計監査に携わることもあります。税務とは少し離れますが、大企業の経理や監査の現場を垣間見ることができます。
 最近では特に外資系企業で顕著ですが、経理業務をシンガポールなどの海外に移管する法人が増えており、海外の経理担当者と英語でやり取りする機会も多いです。こちらについては、どうすれば英語で日本の税制をうまく説明できるのか、日々悪戦苦闘しています。

 

【税法の専門家】
 憲法84条において、課税の根拠は必ず法律に基づかなければならない「租税法律主義」を謳っています。すなわち、税理士は単なる「税」の専門家ではなく、「税法」の専門家であることが求められます。
 税法の基本的な考え方は専ら納税者間の課税の公平を図るものとなります。具体的には、民法などに基づく私人間の取引を認めつつも、税負担に差が生じないよう、税法の論理でその取引関係を引きなおし、課税関係を決定します。この私法と税法の二重構造については、私法の知識や会計知識を要するところもあり、理解するのは必ずしも容易なことではありません。しかし、私法や会計と税法でどこに考えの違いがあるのか、税法の論理はどのように構築されているのか等、税法独特の面白みを感じることができるところでもあります。
 実は私自身、最初は簿記の学習の延長で税理士の勉強を始めたのですが、勉強するにつれ次第に税法の奥深さに惹かれていき、本格的に税理士を目指すようになりました。

 

【最後に】
 税理士に限らず他の国家資格においてもそうだと思いますが、生半可な気持ちでは試験に合格することは難しいです。特に難関資格試験に臨む方は、常に高い意識を持って悔いのない学生生活を送り、自分の夢を叶えてください。ありがとうございました。

 

『NETWORK法学部2013』より転載