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海外駐在員の第一歩

稲木 真祐子さん

2007年3月法学部法律学科卒業 三菱商事株式会社

 

 海外に行きたいか、と当時所属していた部の部長に問われた時、私は一も二もなく即答で承諾しました。海外とかかわりのある仕事を求めて就職活動をし、内定時から海外赴任の希望を出し続けていた私にとって、それは問われたというよりもむしろ最終確認のようなものでした。その後決定した赴任先はロンドン。入社後最初の異動です。 

 海外赴任といっても社内のトレーニーという制度で、2 年間の期限付きで様々な業務に関わりながら駐在員の仕事を勉強しています。ニュースや新聞などでご存知の方も多いかと思いますが、多くの企業が若手社員を海外へ派遣し研修を実施するようになって来ています。その内容は様々で、私の場合は上司や先輩の指導を受けながら通常の駐在員と同じように日常の業務に携わるOJT形式です。
 日本で働いているよりも人数が少ない分、駐在員の仕事は実に多岐に亘り、本業とは違った仕事を受けることもしばしばです。内容は異なれど、それらのほとんどに共通して期待される役割として、国と国との橋渡し・交通整理というものが挙げられます。日本と他国の間はもちろん、第三国同士のやり取りについてもサポートを行います。
 他社でも多く見られることですが、ロンドンは欧州全域を管轄する拠点となっており、また欧州の他にロシア、中東やアフリカも統括しています。この対象地域の広さから容易にご想像頂けるかと思いますが、これらの場所を全て管轄するという仕事は実に多様性に富んでいます。言語の違いはもちろんのこと、その他の文化、社会の制度、仕事に対する考え方、知識量など、各国の人と共に仕事をする上で考慮すべき点は無数にあります。
 この環境で円滑に仕事を進めるために必要なのは、まず相手を理解すること、そしてそれを踏まえてこちらの考えをわかりやすく伝えることです。就職活動中には、企業の求める人材像として「コミュニケーション能力に長けていること」がほぼ漏れなく挙げられていますし、こうして書いてみると至極当然のことのようですが、実際にこの状況に置かれてそれが大変難しいことであると実感しています。
 前述した通り、言語や考え方、知識量は千差万別です。使用する言語はほとんどの場合英語ですが、逆に話をする相手はほとんどの場合英語以外の言語を母語とする人であり、またそれぞれの国の文化、法律などの違いにより、話をしたりものを考えたりする上での前提にずれが生じます。相手の状況を理解し、正確にスムーズな意思疎通を図るには、その溝を埋める柔軟性と粘り強さが必要です。
 皆さんの中には、どのように国際的に活躍していきたいかが既に明確になっている人もいれば、まだ漠然とイメージしているだけの人もいると思います。私の大学時代は、後者でした。目標を具体化するため、ゼミはもちろん、原典講読や特殊講義など、「国際的」という目線で様々なことに取り組みました。教授に紹介して頂き大学院の講義で通訳をする機会もありましたし、またそこで知り合った方に英語でディベート等を行う講義を紹介して頂き、大変貴重な経験となりました。「国際的」なもの以外でも、法律を勉強する上での論理的思考、ゼミでの発表やディベートなど、大学で経験したことの多くが、今の仕事において円滑なコミュニケーションを取り、効果的に業務を遂行する上での財産となっています。。
 したいことが明確にならない人は、自分が何をしている時に充実感を感じるか、考えてみてください。それらに共通している要素は何でしょうか。それは他にどのようなことで実現できるでしょうか。皆さんが少しでも多くの充実感に出会い、さらに充実した将来を描ける大学生活を送られますよう願っています。

 

『NETWORK法学部2013』より転載