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リベラル・ナショナリズムの研究
教授 富沢 克
<専門分野>西洋政治思想史・政治哲学
<研究室> 光塩館323  Tel 251-3591
プロフィール
 1948年京都市生まれ。趣味は雑読(とくに文学 作品)とクラシック音楽の鑑賞(とくにBachと Wagnerを偏愛する)。あとは山歩き。本当はア ルコール類が一番好き。
私の研究
 ・「リベラル・ナショナリズム」の再検討
  私はもともと18世紀の思想家 Jean-Jacques Rousseau(1712〜1778)の思想に関心をもち、 この思想家に関する修士論文を作成することから 研究生活を開始しました。その後1980年代を席捲 した「ポストモダニズム」の影響のもと、20世紀 の政治思想・政治哲学、とくにリベラリズムやナ ショナリズムの研究に重点を移し、ルソー研究そ のものからはいったん離れてしまいました。しか しながら、そんななかでもルソーへの関心がまっ たく失われたわけではありませんでした。「ルソー 問題」(ルソーが現代に残した問題を哲学者カッ シーラーはこう呼んでいます)はいつもなんとな く頭の片隅にありつづけました。そして、その後 研究を進める過程で最近あらためてルソーへの関 心が蘇りつつあるのを感じているところなので す。というのも、ルソーの思想には近年「リベラ ル・ナショナリズム」とよばれる理論潮流を考え 直す手がかりが存在するように思われるからで す。人間にとってのナショナル・アイデンティ ティの意味、民主主義とナショナリズム、ナショ ナリズム(祖国愛)とコスモポリタニズム(人類 愛)の関係、あるべき世界秩序の形といった問題 をルソーは18世紀において深く考えていました。 この問題関心はそのまま現在の問題でもあります (もちろんこのことは、ルソーの考えがそのまま の形で現代にあてはまるという意味ではありませ ん)。EUのような広領域化が進み、あるいはアジ ア共同体構想が論議され始められる現在、私たち は国民国家の枠を越える新しい政治課題に直面し ています。この課題に取り組むためにも今ここで ナショナリティやナショナリズムにまつわる問題 を歴史的にも理論的にもきちんと整理しておく必 要があるというのが私の考えです。その場合、18世紀のさまざまな議論、とくにルソーの思想はあ るヒントを与えてくれるように思われます。その ようなわけで、現在の私はルソー主義的な視点か ら国民国家とナショナリズム問題に一定の光を当 てる作業を行っているところです。
講義・演習・小クラスについて
 ・講義では、現在問題になっている論点をできる だけ幅広く取り上げ、また個々の論点を今後各 自が深めていくのに必要な基礎的な知識・情報 を提供することを心がけています。
・ 3・ 4年次の演習ではここ数年国民国家やナ ショナリズム関係の文献を講読することが多 い。参加希望者は、アンダーソン、ゲルナー、 スミスなどは一通り読了しておいていただきた いとお願いします。昨年はフーコー『社会は防 衛しなければならない』(コレージュ・ド・フ ランス講義録)などを読みましたが、フーコー 講読は今年度も続行する予定です。その他随時 新刊書なども取り上げるつもりです。
・政治学演習では、今何が問題なっているのか、 どのような問題を考えればいいのかを知るため の基礎的な授業を目指しています。教科書を 使ったり(たとえば川崎・杉田編『現代政治理 論』のときもありました)、新書の新刊(たと えば昨年は塩川伸明『民族とネイション──ナ ショナリズムという難問』など)をピックアッ プして読みます。