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プラス思考の重要性

萩原 稔さん

2004年3月  法学研究科博士課程後期(政治学専攻)修了  大東文化大学法学部講師

私は2011年4月に大東文化大学法学部政治学科に着任し、政治学や日本政治思想史の講義、及びゼミなどを担当しています。

私が研究者になりたいと考えるようになったのは、同志社大学に入学して間もない時期でした。公務員も視野に入れていましたが、広範囲にわたって勉強する必要があるので自分には向いていないと早々に見切りをつけ、自分の好きなテーマについて研究したいという気持ちを強く持つようになりました。私はもともと歴史に関心があり、歴史に関する講義を多く履修していましたが、その中でも、時の政治について様々な主張を展開していった思想家の営みに触れ、日本政治思想史という分野に興味をひかれるようになりました。

修士課程では日本政治思想史以外の科目も受講しながら、学部時代以上に政治学全体の知識を広げつつ、修士論文を執筆しました。博士課程に入るとほとんど講義はありません。指導教授から示唆は受けるものの、研究テーマを決め、それを深めていくのは自分自身の責任です。さまざまな文献に目を通し、それを取捨選択し、新たな切り口のもとに自分なりの論文にまとめるということは、ある意味孤独な作業と言えます。せっかくいい文献を発見し、新しいテーマを見つけたとしても、先に誰かが同じ視点から論文を書いてしまえば、また一からやり直しということになります。また、専門家を相手に、どれだけ自分の見解を理解してもらうことができるかということも、なかなか難しいものです。このような作業に耐えることができるかが、研究者をめざすうえでとても重要なことだと私は思います。

また、大学院に入った後に痛感したのは、博士課程に進学してもなかなか就職先が見つかるものではない、という現実です。これは修士論文を書いた後も、博士論文を書いた後も、つきまとってくる問題でした。分野によって状況は異なるとはいえ、大学院に進学すれば研究者として生活できるだろう、という安易な考えのもとに進路を決めてしまうことはよくありません。先生や家族ともしっかりと相談し、研究者以外の道に進む可能性も視野に入れつつ(私の場合は、図書館司書の道も考え、修士課程時に関連科目を受講し、 2年次には数日間の図書館実習も経験し、司書資格を取得しました)、さらに当然ながら自分自身の研究テーマをはっきりとさせたうえで、大学院への進学を決意することが必要です。

とはいえ、マイナス思考に陥ってしまっては、研究も十分に進むことはありません。私は博士論文を執筆した後も、就職先がなかなか見つからない状況が続いていましたが、その間も学会での報告や論文の執筆などを行っていくことによって、自分自身の研究を深めていきました。あわせて、同志社大学を含めいくつかの大学で非常勤講師として講義を担当し、また予備校などで教育経験を積むことを通じて、自分自身の知識をどのように受講者(学生)に伝えていくかを実地で学んでいくことができました。このような経験は、研究だけでなく、教育の力量も求められる大学への就職活動を進める上で、間違いなく有意義なものでした。

研究者への道は、決して楽なものではありません。しかし、文献を読んで新たな発見をした時の喜びは、何物にも代えがたいものがあります。その喜びこそが、研究を続ける大きな動機ともなります。苦しいことも多いけれど、喜びも大きいのが研究者だといってもいいでしょう。研究者をめざす皆さんへ、強い覚悟を持ちながら、自分の興味関心を深めていってください。期待しています。

 

『NETWORK法学部2012』より転載