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不真正不作為犯と実行行為性

助教 奥田 菜津

<専門分野>刑法
<研究室>光塩館309 Tel 251-3494

私の研究 

 「X がA を殺した」というと、みなさんはどんな状況を思い浮かべますか。首を絞めたり、包丁で刺したり、銃で撃ったり。これらはとても分かりやすい「殺し」方で、刑法199条が典型として想定する「殺人」であるといえるでしょう。
 それでは、例えばA がまだ赤ん坊で、X がその母親だったとします。X はA に死んでほしいと思い、一切の世話をせず、A を放置しました。ほかに家族はいなかったため、誰もその状況に気づかないまま、やがてA は衰弱死してしまいました。X は「私は何もしていない。A が勝手に死んだだけだ」というかもしれません。しかしこの状況において、X がA の首を絞めて窒息死させるのと、X がA を放置して衰弱死させるのと、どの程度違いがあるでしょうか。
 このように、一見すると「何かをする(ex. 首を絞める)」ことを想定していると思われる犯罪を、「何かをしない(ex.世話をしない)」ことによって実現する犯罪態様のことを、「不真正不作為犯」といいます。しかし、ここでひとつ疑問が生じます。「不作為」とは、すべきであった何かをしないことであるわけですが、その何かを「すべきであった」とは、果たしてどのような状況において、何を根拠にいうことができるのでしょうか。X がA の親権者だから? Aの世話ができるのはX しかいなかったから? ――この「作為義務の根拠論」の問題は、不真正不作為犯の核心に近い課題です。
 私が現在取り組んでいるのは、以上のような不真正不作為犯についての研究です。不真正不作為犯は刑法総論の中でも重要なテーマであり、膨大な先行研究が積み重ねられてきました。そのためまずは、これまでに議論されてきた作為義務の根拠要素の位置づけや、相違点・共通点を慎重に整理しています。その上で、不真正不作為犯固有の問題を、犯罪一般の実行行為性との関係から少しずつ明らかにしていきたいと考えています。

講義・演習・小クラスについて

 春学期に「リーガル・リサーチ」、秋学期に「原典講読(イギリスの法と政治)」などを担当することになっています。
 「リーガル・リサーチ」では、文献の収集方法や判例の読み方、レポート作成の作法などの基本的な技術を学びます。法律学はとても奥深く、誠実に向き合ってみるといろんな世界が見えてきます。でも、そこに至る方法を知らなければ、法律学は味気なく、つまらないものになってしまうでしょう。せっかく法律学科で4年間を過ごすのですから、みなさんが法律学の楽しさにきちんと出会うことができるよう、そのスタートをお手伝いしたいと思います。
 「原典講読(イギリスの法と政治)」では、イギリス法に関する文献を読み進めます。学術的な文献には、特殊な単語や、その専門領域の前提知識がなければ意味を取りづらい箇所がいくつも見られます。語学に自信のある方も苦手意識がある方も、ぜひ外国法に関する文献に触れ、苦心しながら読み解くという体験をしてみてください。大変かもしれませんが、それを乗り越えればきっと視野が広がり、日本法についても、また別の観点から見られるようになるはずです。

プロフィール

同志社高等学校・同志社大学を経て、同志社大学大学院司法研究科(ロースクール)に進学。修了後、同志社大学大学院法学研究科の博士後期課程に進学。平成28年司法試験合格。生まれは和歌山県なので、柑橘や梅が大好きです。