Doshisha University
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太田 裕之

表現の自由の基礎理論研究

教授 太田 裕之

E-mail: hota@mail.doshisha.ac.jp
<専門分野>憲法・比較憲法学
<研究室>光塩館510  Tel:(075)251-3554

プロフィール

1958年大阪生まれ。吹田五中、同志社香里高を経て1976年同志社大学法学部入学。その後同志社大学大学院法学研究科にて学ぶ。1989年より1年間ルイジアナ州ニュー・オリンズのTulane Law Schoolに留学。法学部助手、専任講師、准教授を経て教授。1997年から98年春までNew York University Law School、98年秋より99年夏までHarvard Law Schoolにて客員研究員として在外研究に従事。

日本酒(特に純米酒)が大好きである。今よりずっと若いころは飲むだけでなく作る職業(杜氏)にあこがれた。米を磨き、麹を混ぜて発酵させ、水を加えてねかせて、やがて米と水のハーモニーによってうまい酒が誕生する。長年のカン、経験にもとづく微妙な手加減が必要とされる、そんな杜氏にあこがれていた。

趣味はハイキング、バード・フィーディング。日本野鳥の会、ししゃもの会会員。

メッセージ

教員とはある意味で杜氏のようなものかもしれない。学生諸君という「米」と大学という「水」がハーモニーを生み出すお手伝いをする仕事である。同志社という水と混じりあって、4年間で学生諸君が「うまい酒」へと変わっていくためのお手伝いが出来るようなよい杜氏となれるよう努力したい。

私の研究

表現の自由は憲法で保障されるほかの諸自由に比して「優越的地位」を占めるといわれる。その結果表現の自由と特に経済的自由との違いから、「2重の基準」といった考え方が導き出される。しかしなぜ表現の自由は他の自由より「優越」するのであろうか。それを説明するために、「自治(self-government)」、「真理の探究」の理論など表現の自由の果たす機能に重点を置いた正当化と、「自己実現(self-realization)」「人間の尊厳」の理論といったように人間の本性に重点を置いた正当化が試みられてきた。これらの正当化理論は、主としてアメリカ合衆国での議論を参考に主張されてきたものであった。そしてそれらの議論は、主としてアメリカ合衆国憲法およびその憲法の下でくだされるアメリカ連邦最高裁の判例を基礎において主張されてきたものであった。

それらの議論を日本に「継受」する際に、日米の憲法状況の違いを無視して無批判に持ち込んだり、あるいは逆に憲法状況の違いを強調するあまり全否定的態度をとることは許されないであろう。アメリカという立憲主義の国家において200年あまりの年月をかけて発展した理論が、果して日本という日本国憲法の下で 60年ほどの経験しかない国家における憲法理論にどの程度普遍性をもって適用されうるのか。その検討はここではおくとして別の問題は、アメリカで表現の自由の「優越的地位」正当化のために主張され、その欠陥を指摘されてきた議論であっても、日本の憲法状況においてはなお少なからぬ意義を持ちえることもあるのではないかということである。アメリカでの議論を批判的に消化しつつ、日本の具体的な憲法状況に照らしてみる、こういう方法論の下に表現の自由の正当化理論の一つである「自治」の理論について研究中である。

「自治」の理論は主としてAlexander Meiklejohnというかつてアーモスト大学学長でもあった教育者によって1940年代に主張された。彼によれば人民が自らを統治するために不可欠である「公的な問題」に関する表現は、それがいかに政府にとって「危険」なものであっても絶対的に保障されなければならない。現在彼の理論を検討しつつ、それが日本の憲法状況においてどのような意義を持ちえるかを探っているところである。

他に従来から研究中の営利的言論(commercial speech)、国際人権法などについても研究を続けていくつもりである。

講義・演習・小クラスについて

演習、小クラスでは人数にもよるが、数人ずつ班に分け報告し、その後全員で討論するというすすめかたを基本とする。