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企業買収法の将来像を模索する

准教授 白井 正和

<専門分野>商法
<研究室>光塩館525 Tel 251-3857

私の研究 

 私の専門は、商法の中でも会社法と呼ばれる分野で、その中でも特に、企業買収に関するルールについて研究しています。
 最初に、会社法について簡単に紹介します。日本で広く利用されている会社形態として株式会社というものがありますが、株式会社をめぐる利害関係者としては、株主・債権者・取締役(会社経営者)の3者が存在します。大まかにいえば、この3者間の会社経営をめぐる権限分配と利害調整のルールが会社法ということになります。
 まず、会社経営をめぐる権限分配に関しては、株主や債権者が事業に必要な資金を提供し、株主が選任した取締役がその資金を活用して会社経営を行い、その結果得られた利益を株主と債権者に分配するためのルールが会社法には規定されています。もっとも、会社経営を委ねられた取締役が、与えられた権限を利用して、会社の利益ではなく自らの利益を追求してしまう可能性も否定できないところです。また、場合によっては、株主間で利害対立が生じることや、債権者と株主との間で利害対立が生じることも考えられます。そこで会社法は、①株主と取締役との間の利害調整、②株主間の利害調整、③債権者と株主との間の利害調整といった3つの場面を対象とした利害調整のルールを設けています。そこでは、①では取締役に対する株主の利益保護が、②では大株主に対する少数株主の利益保護が、③では株主に対する債権者の利益保護が問題となるわけです。
 そして企業買収の場面は、こうした①~③の利害調整が特に重要になる場面であるということができます。企業買収の場面では、通常の会社経営の場面と比較しても、株主・債権者・取締役の利害対立が先鋭化したり、通常の会社経営の場面で用意されている取締役をコントロールするための手段が機能しにくくなっていたりするからです。その詳しい内容は講義や演習の機会を通じて少しずつお話していければと思っていますが、こうした事情があるため、企業買収法の分野は、会社法の中でも今もっとも盛んに、政策的な観点から望ましいルール作りの必要性が唱えられている分野の1つとなっています。

講義・演習・小クラスについて

今年度、学部では「商法概論」「会社法Ⅰ」「2年次演習」「3年次演習」「リーガルリサーチ」を担当します。講義では、個々の法制度(条文・判例等)の中身ももちろん詳しく説明しますが、それに加えて、「なぜそのような法制度が存在するのか」「仮にそのような法制度が存在しないと社会はどうなってしまうのか」「ある法制度にメリットもあるがデメリットも存在する場合に、どのような制度と組み合わせれば、メリットを損なうことなくデメリットを有効に減らすことができるか」といった観点からの分析を行い、今ある法制度を必ずしも所与のものと捉えるのではなく、社会をより良くするための手段である法制度を機能的に捉える視点を提供したいと思っています。演習では、会社法を中心に扱い、基礎的な知識の確認をするとともに、講義を聞いているだけでは身につきにくい①現実社会の複雑な事案を法律家の目で分析し、法的な問題点を発見する能力、②限られた時間の中で自らの見解を過不足なく表現する能力、③他人の意見を聞き、内容を正確に把握した上で、それを論評する能力を磨くことを目指します。また、法学以外の隣接する他の社会科学の分野の方法論についても適宜参照し、法制度に対応して人がどのように行動するか(またはしないか)について考察することなどを通して、将来皆さんが何らかのルール作りに携わる場面で、法律家や政策担当者、企業組織の一員として説得的な議論ができるようになることを目指します。なお、演習では毎回、班単位での報告や意見交換の機会を提供する予定です。

プロフィール

愛知県生まれ。2002年に東京大学法学部を卒業。日本銀行勤務(2002年~ 2007年、そのうち2005~2006年にUniversity of California, Berkeley, School of Lawに留学)、東京大学大学院法学政治学研究科博士課程(2007年~ 2010年)、東北大学大学院法学研究科准教授(2010年~ 2015年)を経て、2015年4月に同志社大学に赴任。博士(法学)。専門は企業買収法で、2012年に第8回商事法務研究会賞、2013年に第7回M&Aフォーラム賞〔正賞〕、2014年に第18回大隅健一郎賞を受賞。