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山根先生写真Network法学部2017s

知的財産をめぐる法的保護の構造

准教授 山根 崇邦

<専門分野>知的財産法
<研究室>光塩館520  Tel:(075)251-3576

プロフィール

1982年大阪府生まれ。2005年3月、同志社大学法学部卒業。2009年12月、北海道大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。その後、日本学術振興会特別研究員(PD)、北海道大学情報法政策学研究センター研究員を経て、2010年4月、同志社大学法学部助教に着任。2013年4月より現職。

趣味はスポーツ観戦、映画鑑賞。中学時代は陸上部に所属し、御所の周りを毎日走っていました。最近は運動不足なので、定期的に体を動かす時間をつくりたいと思っています。

私の研究

私の専門は、知的財産法です。その中でも、著作権法や不正競争防止法を中心に研究をしています。

例えば、著作権法と聞くと、皆さんはJ-POPなどの大衆音楽を思い浮かべるかもしれません。大衆音楽が創作されてから、私たちの手元に届くまでには多くの人びとが関わります。その中で、著作権法が規律する者としては、主に著作者、実演家、レコード製作者、放送事業者の4者がいます。

ここで「著作者」とは、著作物を創作する者をいいます。大衆音楽の場合、歌詞・旋律を創作した作詞家、作曲家がこれに当たります。私たちは、歌唱・演奏を行うアーティストを「著作者」として考えがちですが、著作権法は、アーティストを「実演家」、つまり歌詞・旋律の著作物を実演(歌唱・演奏)して公衆に伝え届ける者として位置づけています。

こうしたアーティストは、ライブ公演によって直接、歌詞・旋律の著作物を聴衆に届けることもできますが、実際には、音楽CDや音楽配信サイトを通じて、あるいはテレビやラジオの放送を通じて、当該著作物を公衆に届ける場合の方が多いといえます。その意味で、アーティストの実演をレコーディングして音楽CD等の元になる音源を製作する者や、放送機器・設備を整えて放送事業を営む者も、歌詞・旋律の著作物を広範囲の人びとに伝達するうえで重要な役割を果たしているといえます。そこで著作権法は、前者を「レコード製作者」、後者を「放送事業者」として保護しています。

このように著作権法は、大衆音楽につき、著作物を創作した者を「著作者」として、著作物の公衆への伝達に寄与した者を「実演家」、「レコード製作者」、「放送事業者」として保護しているわけですが、このことは反面、大衆音楽の利用自体を阻害するリスクも孕んでいます。

例えば、音楽CDの利用を考えてみましょう。音楽CDには、歌詞・旋律(著作物)、歌唱・演奏(実演)、レコーディング音源(レコード)の3つが収録されており、それぞれについて「著作者」、「実演家」、「レコード製作者」が権利をもっています。もし音楽CDの利用にあたって逐一、事前に3者の許諾を得なければならないとすると、権利処理が煩雑にすぎて、音楽CDの利用が停滞しかねません。そこで著作権法は、私たちが音楽CDを私的に聞くために再生したり録音したりする場合には3者の許諾を不要とするルールを定めたり、ラジオ局が音楽CDを放送に利用する場合には、事前に「著作者」の許諾さえ得れば、「実演家」や「レコード製作者」の許諾は不要で、これらの者には事後的に使用料を支払えば足りるとするルールを定めたりして、利用の円滑化を図っています。

もっとも、このような利用の円滑化を図るうえで、関係者の利害をどのように調整するのが適切かということは、時代によっても、メディアや技術の発展状況によっても変わってきます。そのため、著作権法をめぐる議論は、"ワイワイ・ガヤガヤ"たえず活気に満ちていて、議論がやむことはありません。ぜひ皆さんと一緒に、エキサイティングな著作権法のこれからを考えていくことができればと思っています。

講義・演習・小クラスについて

本年度は、カリフォルニア大学バークレイ校にて在外研究中のため、担当科目はありません。在外研究においては、知的財産法の分野はもちろん、他の法学分野や経済学の分野のセミナーにも参加をして知見を広めています。他分野のセミナーでの議論が知的財産法の研究にとって参考になると感じることは多く、セミナーでお会いしたケネス・アロー名誉教授(ノーベル経済学賞受賞者、上記写真左)も特許制度の経済分析の意義を説いておられました。帰国後の授業やゼミの中では、そうした学際的な視点からのお話もできればと思っています。