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近代西洋政治思想史とデモクラシー論

助教 村田 陽

<専門分野>西洋政治思想史・政治理論
<研究室>光塩館424 Tel 251-3568

私の研究 

 私の研究テーマは、19世紀ブリテンを代表する思想家ジョン・スチュアート・ミル(1806-1873)の政治思想の再検討です。ミルは数多くの著作・論考を残しましたが、私が特に分析対象としているのは、『自由論』(1859年)、『功利主義』(1861年)、『代議制統治論』(1861年)といった後期ミルが残した書物です。一般的にミルは、リベラリズムの論者であり、ジェレミー・ベンサムが提唱した功利主義理論の継承者として理解されます。個人の諸自由、多様性、個性を最大限に擁護したミルの姿は、リベラルな価値の意義を再確認させてくれます。また、彼の功利主義思想の目的である社会的「幸福」の達成は、政治が私たちの幸せについてどのように向き合うべきか、という現代社会にも通底する課題を提示します。
 ミルが生きたヴィクトリア期のブリテンでは、代表制デモクラシーが徐々に進展していきました。民主社会の到来という時代のなかで、ミルは様々な「改革」を提案しました(そのなかには、現代の私たちにとっても馴染み深い比例代表制の提唱や女性参政権の擁護も含まれていました)。そのため、現在、上述したミルの著作群とデモクラシー論の関係に着目した分析を行っています。その際、これらのテクストが執筆された歴史的文脈にも留意することが大切だと考えています。ミルのデモクラシー論に限らず、様々な政治思想史研究において、時代のコンテクストを加味することは、その思想の位置づけをより明らかにできるといえます。
 一人の思想家を研究することで、その人物が向き合った広義の政治学的な課題と、その課題への取り組み方、解決策、学問的結実を分析することが可能となります。ただし、一人の思想家、とはいえ、彼・彼女が受けてきた影響を歴史的に解明していくと、多くの人々との関わりから、彼らの言説が形成されてきたことが明確になります。そのため、最近は、知性史(intellectual history)研究の観点から、ミルだけでなく、ミルと知的対話を共にした19世紀の知識人たち(特にフランス)の研究にも着手しています。

講義・演習・小クラスについて

私が今年度担当する科目は、「政治学入門」、「政治学基礎A・B」「特殊講義」「2年次演習」です。「政治学入門」と「政治学基礎A・B」では、政治学を学んでいくうえで必要となる基礎的な知識、そして学問的技術の習得を目指します。ここでは、自ら問いを発見し、その問いに取り組むためのリテラシー、ライティングスキル、ルールなどを重点的に涵養していけるような授業を実施します。「特殊講義」では、主に政治学的な観点から、功利主義思想の分析を行います。まず、功利主義に関する入門書を通じて「功利主義とは何か」について検討します。そのうえで、ベンサムやミル、あるいは現代の功利主義研究に関する文献の読解に挑戦します。「2年次演習」では、近代から現代にかけての政治思想・政治理論についての概説書を用いながら、「名著」と向き合います。私が担当する全ての科目にいえることですが、他者と共に思索を繰り返す活動的な営みを大切にしたいと考えています。

プロフィール

1990年大阪府生まれ。2013年同志社大学法学部政治学科卒業。2013年に同志社大学大学院法学研究科へ進学。2015年度日本学術振興会特別研究員(DC)。2018年3月、同志社大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。2018年4月から同志社大学法学部助教に着任。趣味は音楽鑑賞と園芸(特に多肉植
物の栽培)。