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法律学科

税法の基礎理論を問い直す

教授 倉見 智亮

専門分野 税法
研究室 光塩館507

業績リスト
倉見 智亮

私の研究

・税法という学問領域
かつて行政法の一分野とされ、税金の賦課・徴収に関する手続を主要な研究対象としていた税法は、国民が自ら申告・納税を行う制度を戦後導入して以降、税金の計算ルールを主要な研究対象とする独立した学問領域へと発展を遂げました。ある取引を行う際に発生する税負担を考慮することなく取引を行うことは大きなリスクとなる一方で、税制が年々複雑化・専門化する中で税負担を正確に予測することは困難になってきています。このように人々の経済活動に重大な影響を与える現在の税法は、隣接する様々な学問領域(法律学のみならず、会計学・経済学なども含む)の知見を活かしながら、多様化する社会において生じる様々な問題の解決を目指す魅力的な学問領域となっています。

・最近の研究関心
現在、租税判例を素材として、国税(所得税、法人税、相続税など)や地方税(住民税、固定資産税など)の税額計算方法に関わる租税実体法を中心に研究しつつ、国税通則法や国税徴収法を中心に構成される租税手続法・租税争訟法などにも手を伸ばして、幅広く研究しています。研究に当たっては、これまで構築されてきた基礎理論の妥当性を再検証し、妥当な結論を導くことができるよう基礎理論の再構築を試みています。
最近の研究関心の一つは、納税者に対して自発的な納税協力を促す制度の設計にあります。できるだけ税負担を少なくしたい納税者に対して納税義務を適正に履行させることは容易ではありません。この場合、ペナルティを強化すれば、税負担を軽減する行為の抑止力となるでしょうか。逆に、収入の状況や財産の所在などに関して事前の情報提供をしていれば、その収入や財産に関して申告漏れあったとしても、ペナルティを和らげるという制度を導入すればどうでしょうか。それとも、税負担を免れようとしている人を通報すれば報奨金が貰えるという制度はどうでしょうか。このような納税協力論が盛んに展開されているアメリカ法の最新の議論を追っています。

講義・演習・小クラスについて

今年度は、講義科目として「税法Ⅰ・Ⅱ」・「行政法概論」と大学院共通科目である「企業税法」を担当します。講義では、税法の体系と論点について、制度の趣旨や、その論点を議論する意義に触れながら、裁判例や実例も交えて分かりやすく説明します。また、講義内で簡単な問題に取り組む時間を設け、自分の考えを構築する機会を提供したいとも考えています。

演習科目としては、「2年次演習」・「3年次演習」・「4年次演習」を担当します。演習では、裁判例を素材としたディベートやテーマ研究に取り組みます。ゼミ生には学生同士の交流を通じて「法学の楽しさ」を身を持って体験してもらいたいですし、また私自身も学生から多くの学びを得たいと考えています。ゼミ合宿、他大学との討論会、ゲストスピーカーを招いての講演会なども企画しているので、向上心のある意欲的な学生の参加を望みます。

プロフィール

京都生まれ。
同志社大学法学部・同大学院法学研究科で学び、西南学院大学法学部に籍を置いた後、2022年に母校である同志社大学に赴任。 趣味は、キャンプ、美味しいお店の開拓、京都の街を自転車で周ること。
主著は、研究書として『課税所得計算調整制度の研究』(成文堂、2021年)、入門書として『基本原理から読み解く租税法入門』[ 共著](成文堂、2014年)・『高校生のための税金入門』[ 共著](三省堂、2020年)。