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法律学科

自白の証拠能力の研究

助教 村瀨 健太

専門分野 刑事訴訟法
研究室 光塩館306
TEL (075)251-3532
E-mail kmurase■mail.doshisha.ac.jp
※■は@に置き換えてください。
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村瀨 健太

私の研究

刑事裁判においては、証拠に基づいて事実認定が行われます。ただし、事実認定に用いるための証拠には、一定の資格(このことを、「証拠能力」といいます)が要求されます。証拠には様々なものがありますが、なかでも自白は、「証拠の女王」と呼ばれるほど、重要視されてきました。確かに、被疑者・被告人が自分の犯行を認めているということは、有罪判決のための重要な証拠のひとつになるといえるかもしれません。
歴史的にみれば、自白を獲得するために拷問が行われていました。今日では、そこまで極端な方法はとられてはいないでしょうが、例えば何らかの利益と引き換えに被疑者・被告人に自白をさせる、という方法がとられることはありえます。みなさんも刑事ドラマで、「カツ丼を食べさせてやるから、自白したらどうか」と刑事が被疑者に発言するような場面を見たことがあるかもしれません。

しかし、どのような自白でも証拠として使えるわけではありません。自白にも証拠能力が要求されます。我が国の憲法38 条2 項および刑事訴訟法319条1項は、自白の証拠能力に関する規定を置いています(「自白法則」)。一般的には、この自白法則によって「不任意自白」は証拠から排除される、と理解されています。ここで問題となるのは、「不任意自白」とはどのような自白をさすのか、ということです。カツ丼と引き換えに得られた自白は、不任意自白でしょうか。
あるいは、逮捕そのものは違法であったが、その後の取調べにおいて被疑者が真摯に反省したためになされた自白は、不任意自白と評価されるのでしょうか。現在、自白の証拠排除の根拠に関して様々な見解が示されており、その判断構造が複雑化しているといえます。しかし、自白が刑事裁判における重要な証拠であるからこそ、どのような自白が証拠として使うことはできないのか、という点を明確化しなければなりません。

このように複雑化している現在の我が国の議論状況を再検討し、諸外国の法制度も参考にしつつ、自白の証拠能力の判断構造を明確化させることを目的として、私は研究を行なっています。

講義・演習・小クラスについて

私が担当する講義は、「リーガル・リサーチ」、「原典講読」です。このほか、全学共通教養教育科目として「法学2」を担当します。いずれの講義においても、私から一方的に話すのではなく、みなさんとの会話や議論を交えながら進めていきます。唯一の正解が存在するような質問をするわけではないため、気楽に、そして積極的に議論に参加してほしいと思います。また、わからないことがあれば、気軽に質問してください。問題意識を持ちながら、楽しく「法」について学んでいきましょう。

プロフィール

福井県生まれ。
筑波大学社会・国際学群社会学類を卒業後、明治大学大学院法学研究科に進み、明治大学法学部助手を経て、2022年4月に同志社大学法学部に着任しました。 小学校からサッカーをしていましたが、サッカーをする機会もないため、最近ではランニングが趣味となっています。また、(テレビの前で)様々なスポーツを観戦することも好きです。