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政治学科

近代日本政治史研究から現在、未来へ

教授 森 靖夫

専門分野 日本政治史・東アジア国際政治史
研究室 光塩館506
TEL (075)251-3622
  業績リスト
教授 森 靖夫

私の研究

私の専門は近代日本政治史です。毎年よく耳にするのは、なんで大学まで来て歴史を勉強しなきゃいけないの、という学生たちの声。彼らが抱いている「歴史」のイメージは、暗記を強要する高校の授業のそれであって、必ずしも大学で学ぶ「歴史研究」ではありません。

学問としての「歴史」とは、歴史研究者たちが後世に残された史料を用いて行った解釈のことを指します。新しい史料が発掘されれば、新しい解釈が出ます。それを覆す史料が見つかることもあります。つまり「歴史」は生き物のように日々進化しているのであって、全てが暗記するような既成事実であるとは限らないのです。大学ではその最新の「解釈」を学ぶのです。

史料と言いましたが、日本近代史の場合、政府の公文書だけでなく、政治家や官僚の日記や手紙も大事な史料です。現在起こっていることは新聞や当事者の証言くらいでしか知ることはできませんが、「歴史研究」は史料を読み解くことで舞台裏の「真実」に肉薄することができます。これこそが、日本近代史研究の醍醐味といえるでしょう。

それでも現代の政治を学びたいという学生は、遠すぎる過去に興味が持てないと言うかもしれません。しかし、「リーダーシップ」「(マス)デモクラシー」「メディアと政治」「(国際)安全保障」「移民」といった現代政治のキーとなるテーマのほとんどは、近代日本においても重大な政治課題でもありました。当時の政治家たちがこのような課題とどう向き合ったのかを学ぶことは、現代を生きる我々に多くの知恵を与え、現代政治の理解に深みをもたらしてくれるでしょう。

他方、国際政治を学びたい学生は、内政より外交に、一国を越えた多国間・トランスナショナルな問題に興味があると言うかもしれません。しかし、外交はしばしば世論や政治闘争といった内政要因に突き動かされます。内政を学ばなければ外交を読み解くことはできません。また、開国以来の日本近代史は同時に国際関係史でもあります。とりわけ、第一次大戦後の日本は国際主義を基調とし、国際連盟の保健衛生事業といったグローバルな政治課題にも積極的に貢献していました。国際政治を学び、将来国際的舞台で活躍したいと考えるなら、やはり日本近代史は皆さんの国際政治理解を豊かにし、国際社会を生き抜く大きな糧になるでしょう。

講義・演習・小クラスについて

2年次ゼミは日本政治史に関する新書を読み、参加者全員で議論します。3・4年次は合同ゼミとし、当時の史料を用いて「歴史研究」をしてもらいます。コロナ禍の昨年度は中止していましたが、例年ゼミ合宿(海上自衛隊舞鶴基地訪問、岩手盛岡に原敬を訪ねる旅など。3年前は国立国会図書館、講談社本社などを訪問)や飲み会も楽しんでいます。

プロフィール

2008年3月、京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了(法学博士)。2011年4月現職に着任。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス国際歴史学部客員研究員(2014年9月~ 15年8月)、ペンシルヴァニア大学歴史学部客員研究員(2015年9月~ 16年8月)