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必読基本図書

政治学科 基本文献リスト

2016年度同志社大学法学部政治学科印刷用ブックリストはこちら[PDF 513KB]

1.政治学全般

(1)政治学入門

書名 著者 出版 出版年 備考
政治学入門 阿部齊 岩波書店 1996 政治学をはじめて学ぶ人のためのテキスト。「政治と国家」「政府の組織」から「選挙と世論」「女性の政治参加」「高齢者と政治」「民主主義と自由主義」「内政と外交」「日本の政治」まで23項目を解説(「MARC」データベースより)。
現代政治学入門 バーナード・クリック(添谷育志、金田耕一訳) 講談社(学術文庫) 2003 原著は1987年出版。
政治学とは、社会において利害と価値をめぐって起きる紛争と、その紛争を調停する方法を探る学問である。それは現在の生活を改善するための、非常に有効な事柄を学ぶことにほかならない。政治は何をなしうるか。我々は政治に何をなしうるか。そして政治とは何か。現代人の基本教養・政治学の最良の入門書として英国で定評を得る一冊(「BOOKデータベース」より)。
政治学への道案内 高畠通敏 講談社(学術文庫) 2012 「政治学は何の役に立つ?」幾度もの改訂を重ねながら読み継がれてきた伝説の「教科書」に著者最後の増補原稿を加え、完全版として待望の復刊。政治学におけるあらゆる分野の基礎知識を平易に解説する本書は、統治の学から自治の学へととらえなおす視点で貫かれ、入門書でありながら我々にとっての政治学の実用価値を知らしめる。復権、市民教養(「BOOKデータベース」より)。

(2)方法論

書名 著者 出版 出版年 備考
創造の方法学 高根正昭 講談社(現代新書) 1979 知的創造の技術を実体験から語ったロングセラー!
知的創造とは何か それは情報洪水のなかで、いかにしたら可能になるのか。(出版社HPより)
「われわれは、科学における知的生産のための基本的なルールを、常識として、手に入れる必要があるのではないか。そして大学教育においても既知識の獲得よりは、むしろ新しい知識を自ら生み出す方法の訓練に、重点を置かなくてはならないのではないか。このような知的生産の時代をわが国よびおこすため、この書物が少しでも役に立てば、筆者としてこれに勝る喜びはない」(あとがきより)
原因を推論する
―政治分析方法論のすゝめ
久米郁男 有斐閣 2013 ある政治現象が起きた時、人はさまざまにその原因を推論する。その際、印象論ではなく、現状を客観的にとらえ、なぜその現象が生じたのかを経験的・実証的に分析するには、どのような作法に従えばよいか。一見、実証的にみえる分析の落とし穴に陥らないためには、どういった点に注意すればよいか。計量分析と質的分析に共通した方法とは何か。新たな理論・仮説を構築する方法とは?政治学のみならず、広く社会科学を学ぶ読者に向けて、身近で一般的な社会現象や政治現象を題材に、第一人者が軽妙洒脱に掘り下げて解説する(「BOOKデータベース」より)。

(3)「政治」をめぐって

書名 著者 出版 出版年 備考
政治の精神 佐々木毅 岩波書店(岩波新書) 2009 複合的な危機のなか、政治が融解している。問題の核心は何か。政治を支える精神的な素地をどこに求めたらよいのか。マキアヴェッリやトクヴィル、ウェーバー、丸山真男らの思索を手がかりに、政治という営みの本質について、原点に立ち返って吟味。政治家のみならず、政治を取り囲む人々の精神、さらには政党政治の条件について考察する(「BOOKデータベース」より)。
「政治的なるもの」の行方 川崎修 岩波書店 2010 「ポストモダン」は政治学に何をもたらしたのか。政治の輪郭が揺らぎ、権力、政治的主体や自我のあり方、デモクラシー、リベラリズムなどの政治的理念・イデオロギーが変容していく中で、政治学は今、何を問い、何を語りうるのか。「政治的なるもの」の変容の軌跡を追って精緻に積み重ねられた、理論的考察(「BOOKデータベース」より)。
政治の世界 他十篇 丸山眞男(松本礼二編注) 岩波書店(岩波文庫) 2014 権力はいかにして発生し、正統化され、崩壊するのか-一瞬も静止することのない大小の政治的状況に共通する法則を、ダイナミックかつ包括的に探った「政治の世界」。他に、「権力と道徳」「政治的無関心」など、「科学としての政治学」創造の試みたる十篇を集める(「BOOKデータベース」より)。
*職業としての政治 マックス・ヴェーバー(脇圭平訳) 岩波書店(岩波文庫) 1980 1919年の講演録。
あらゆる政治行動の原動力は権力(暴力)である。政治は政治であって倫理ではない。そうである以上、この事実は政治の実践者に対して特別な倫理的要求をつきつけずにはいない。では政治に身を投ずる者のそなうべき資格と覚悟とは何か。ヴェーバーのこの痛烈な問題提起は、時代をこえて今なおあまりに生々しく深刻である(出版社HPより)。
*政治的なものの概念 カール・シュミット(田中浩、原田武雄訳) 未来社 1970 原著は1932年に出版。
「政治の本質は、友と敵の区別にある」。政治的なものの根拠を求めるシュミットの原理的思考の到達点「友・敵理論」は政治理論でありそして戦争論でもある。必携の基本文献(出版社HPより)。
*人間の条件 ハンナ・アレント(志水速雄訳) 筑摩書房(ちくま学芸文庫) 1994 原著は1958年出版。
条件づけられた人間が環境に働きかける内発的な能力、すなわち「人間の条件」の最も基本的要素となる活動力は、《労働》《仕事》《活動》の三側面から考察することができよう。ところが《労働》の優位のもと、《仕事》《活動》が人間的意味を失った近代以降、現代世界の危機が用意されることになったのである。こうした「人間の条件」の変貌は、遠くギリシアのポリスに源を発する「公的領域」の喪失と、国民国家の規模にまで肥大化した「私的領域」の支配をもたらすだろう。本書は、全体主義の現実的基盤となった大衆社会の思想的系譜を明らかにしようした、アレントの主著のひとつである(「BOOKデータベース」より)。

2.現代政治

(1)デモクラシー

書名 著者 出版 出版年 備考
デモクラシーとは何か R・A・ダール(中村孝文訳) 岩波書店 2001 原著は1998年に出版。
デモクラシーについて考える旅には、やっぱり有能なガイドが必要だ。「どんな規準が必要条件となるのか?」「資本主義との影響関係とは?」「果たしてデモクラシーは勝利したと言えるのか?」。この政治システムの理念と実践に向けてあらゆる問いを投げかけ、その限界と可能性を明快に整理する。辣腕ガイド、R・ダール氏による究極のデモクラシー案内(「BOOKデータベース」より)。
デモクラシーの論じ方―論争の政治 杉田敦 筑摩書房(ちくま新書) 2001 民主主義、民主的な政治とは何か。現代社会の基本的な価値理念であるデモクラシーが重要であることは間違いない。しかし、それを共有している社会において、いろいろな意見の対立や争点が生まれてくるのはなぜなのか。物事を「民主的」に決めるとは、どういうことか。古くて新しいこの難問について、対話形式を用いて考える試み(「BOOKデータベース」より)。
変貌する民主主義 森政稔 筑摩書房(ちくま新書) 2008 かつて民主主義は、新しい社会の希望であり、人間の生き方を問う理想であったが、いまや、それも色あせ、陳腐なお題目と化している。しかしそれは、単に現実が堕落したためではない。その背後には、民主主義を支える思想が、社会の深層で大きく変化したという事情があるのだ。本書では、デモクラシーのありようを劇的に変容させた現代の諸問題を、「自由主義」「多数者と少数者」「ナショナリズムとポピュリズム」「主体性のゆらぎ」といった論点から大胆にとらえ返す。複雑な共存のルールへと変貌する姿を鋭く解き明かす試みだ(「BOOKデータベース」より)。
代議制民主主義
―「民意」と「政治家」を問い直す
待鳥聡史 中央公論社(中公新書) 2015 有権者が選挙を通じて政治家を選び、政治家が政策決定を行う。これが代議制民主主義の仕組みである。議会の発展、大統領制と議院内閣制の確立、選挙権の拡大を経て定着したこのシステムは、第二次世界大戦後に黄金期を迎えた。しかし、経済成長の鈍化やグローバル化の影響を受け、今や世界各国で機能不全に陥っている。代議制民主主義はもはや過去の政治制度なのか。民意と政治家の緊張関係から、その本質を問い直す(「BOOKデータベース」より)。
*社会契約論 J.J.ルソー(桑原武夫、前川貞次郎訳) 岩波書店(岩波文庫) 1954 原著は1762年に出版。光文社古典新訳文庫版(中山元訳、2008年)や白水Uブックス版(作田啓一訳、2010年)もある。
これはもっとも徹底的な人民主権論を説いた書物である。国家は個々人が互いに結合して、自由と平等を最大限に確保するために契約することによって成立する。ルソー(1712‐78)はこの立場から既成の国家観をくつがえし、革命的な民主主義の思想を提示した。フランス革命の導火線となった近代デモクラシーの先駆的宣言の書(「BOOKデータベース」より)。
*ザ・フェデラリスト(新装版) A.ハミルトン、J.ジェイ、J.マディソン(齋藤眞、武則忠見訳) 福村出版 1998 85編の評論は1787‐88年に新聞に掲載。岩波文庫版(斎藤真、中野勝郎訳、1999年)は抄録。
本書は、アメリカ政治思想史上の古典の一つとされるもの。思想家によってではなく政治家によって、書斎の中ではなく現実政治の修羅場で執筆された。政治の永遠の課題である権力をめぐる課題に取り組み、それを理念の制度化の次元で説き論じ訴えている(「BOOKデータベース」より)。
*ア​メ​リ​カ​の​デ​モ​ク​ラ​シ​ー(全4巻) トクヴィル(松本礼二訳) 岩波書店(岩波文庫) 2005-2008 原著は1835-1840年に出版。
フランスの政治思想家トクヴィル(一八〇五‐五九)が、アメリカ社会全般の透徹した分析を通して、広い視野で近代デモクラシーを論じた、現代の民主主義を考えるにあたって読み直すべき古典的名著(「BOOKデータベース」より)。

(2)日本政治の現在

書名 著者 出版 出版年 備考
日本の選挙
─何をかえれば政治がかわるのか
加藤秀治郎 中央公論新社(中公新書) 2003 とるに足りない些末な問題と見られがちな選挙制度だが、政治全般に及ぼす影響力は決して小さくない。「選挙制度が適切なら何もかもうまくいく」という哲学者オルテガの言をまつまでもなく、選挙は民主主義をいかなる形態にも変えうる力を秘めている。小選挙区制や比例代表制の思想的バックボーンをわかりやすく紹介し、「選挙制度のデパート」と揶揄される無原則な日本の現行システムを改善するための道筋を示す(「BOOKデータベース」より)。
日本型ポピュリズム 大嶽秀夫 中央公論新社(中公新書) 2003 日本における政治不信の増大は著しいが、一九九〇年代以降何度か、突発的な人気を得、政治への期待を極度に高めた政治家が現れている。ブームを巻き起こした、細川護煕、菅直人、石原慎太郎、田中康夫、加藤紘一、田中真紀子、小泉純一郎らである。そこには、報道番組やワイドショーなどマスメディアとの相互作用があった。本書は、こうした政治現象をポピュリズム概念を用いて分析し、日本政治の変容を明らかにする(「BOOKデータベース」より。
日本の統治構造
─官僚内閣制から議院内閣制へ
飯尾潤 中央公論新社(中公新書) 2007 独特の官僚内閣制のもと、政治家が大胆な指導力を発揮できず、大統領制の導入さえ主張されてきた戦後日本政治。しかし一九九〇年代以降の一連の改革は、首相に対してアメリカ大統領以上の権能を与えるなど、日本国憲法が意図した議院内閣制に変えた。本書は、議会、内閣、首相、政治家、官僚、政党など議院内閣制の基盤を通し、その歴史的・国際的比較から、日本という国家の統治システムを明らかにするものである(「BOOKデータベース」より)。
日本の国会─審議する立法府へ 大山礼子 岩波書店(岩波新書) 2011 政党間のかけひきに終始し、実質的な審議が行われない国会。審議空洞化の原因はどこにあり、どうすれば活性化できるのか。戦後初期からの歴史的経緯を検討した上で、イギリスやフランスとの国際比較を行い、課題を明らかにする。「ねじれ国会」が常態化した今、二院制の意義を再考、そして改革の具体案を提示する(「BOOKデータベース」より)。
現代日本の政党デモクラシー 中北浩爾 岩波書店(岩波新書) 2012 なぜ日本政治は混迷しているのか。一九九四年の小選挙区制の導入から、マニフェスト選挙の開始、2009年の政権交代を経て、現在にいたる政党政治の構造的変化を、「競争デモクラシー」という概念を鍵に解き明かす。長年積み重ねられてきた政治改革の問題点を検討し、岐路に立つ日本の政治のこれからを考える(「BOOKデータベース」より)。
日本政治とメディア
―テレビの登場からネット時代まで
逢坂巌 中央公論新社(中公新書) 2014 1953年のテレビ放送開始は、政治家とメディアの関係を大きく変えた。政治家たちは出演してPRに努める一方、時に圧力をかけ、報道に影響を与えようとする。佐藤栄作政権で相次いだ放送介入、田中角栄が利用した放送免許、「ニュースステーション」の革命、小泉フィーバー、尖閣ビデオ流出事件、そして橋下徹のツイッター活用術まで、戦後政治史をたどり、政治家と国民とのコミュニケーションのあり方を問い直す(「BOOKデータベース」より)。

3.国際関係

(1)国際政治

書名 著者 出版 出版年 備考
*国際政治─恐怖と希望 高坂正堯 中央公論社(中公新書) 1966 世界平和を実現するために人類は古くから英知を傾け、しかも戦いは繰り返された。戦争の危機はなぜ去らないのか――この問いに答える書物は少ない。国際関係を単純に図式化したり理想化したりすることなく、また「複雑怪奇」といって正確な認識を諦めることもなく追い求めてきた著者が、軍縮、経済交流、国際機構などを具体的に検討しながら、国家利益やイデオロギーがからみあう現実世界を分析し、組織的に論じた国際政治の入門書(出版社HPより)。
国際政治の分析枠組 岡部達味 東京大学出版会 1992 アジア地域研究者としての著者が、その長年にわたる実証的研究の中で独自に構築してきた国際政治の分析枠組を論じる本格的テキスト。単なる学説紹介を排し、現実分析の経験に裏打ちされた国際政治現象へのアプローチは、まさに実践派向けといえよう(出版社HPより)。
国際政治とは何か
─地球社会における人間と秩序
中西寛 中央公論新社(中公新書) 2003 人類のおかれた状況が混迷の度を深め、希望と苦悩が錯綜している今日ほど、断片的な情報ではなく、深い考察が求められている時代はない。本書はまず、国際政治の起源を近代ヨーロッパにたずね、現代までの軌跡を追うことで、この基本的な性質を明らかにする。その上で安全保障、政治経済、価値意識という三つの角度から、差し迫る課題に人間が人間を統治する営みとしての政治がどう答えられるのか、的確な視座を提示する(「BOOKデータベース」より)。
国際関係論―同時代史への羅針盤 中嶋嶺雄 中央公論社(中公新書) 1992 戦争と革命の世紀、20世紀は轟音を響かせて転換しつつある。国家そのもののあり方とともに、国家間の関係もまた問われているのである。国際関係論という学問は、政治・経済・文化などが交錯する場である国際関係に生ずる問題を解明し、現代史の深部の潮流を捉えて未来を展望することを目指す総合的社会科学である。歴史の転換期に立つ現在、この学問は世界を見据える羅針盤となるであろう。巻末に詳細な基礎文献案内を付す(「BOOKデータベース」より)。
国際紛争―理論と歴史(原書第9版) ジョセフ・S.ナイ ジュニア、デイヴィッド・A. ウェルチ(田中明彦・村田晃嗣訳) 有斐閣 2013 ジョセフ・ナイによってハーヴァード大学での講義のために執筆された「国際政治」への定評ある入門書が、国際関係を学ぶ学生がこうした問いへの自らの回答を作り上げうるように、理論と歴史の相互検証を通して分析の道具を提供する。第8版からはデイヴィッド・ウェルチが執筆に加わり、世界政治を学ぶ上での概念や道具、アプローチを丁寧に紹介した。さらに今回、各節の終わりに「追加的」参考文献を付すと同時に、批評家によるフィードバックに留意しながら、洗練、深化、明確化に向けて本文を検分し、改訂した(「BOOKデータベース」より)。
*危機の二十年─理想と現実 E.H.カー(原彬久訳) 岩波書店(岩波文庫) 2011 原著(初版)は1939年に出版。
変革の思想としてのユートピアニズム。ユートピアニズムの偽善を暴くリアリズム。戦間期二十年の国際政治に展開した理想主義と現実主義の相克と確執に分析のメスを入れ、時代と学問の力動的関係を活写し、真の政治的姿態をあらわにしてみせる、二十世紀国際政治学の記念碑。戦争と平和と国際問題を考えるための必読書(「BOOKデータベース」より)。
*国​際​政​治―権​力​と​平​和(全3巻) モーゲンソー(原彬久監訳) 岩波書店(岩波文庫) 2013 原著(初版)は1948年に出版。
国際政治学は「モーゲンソーとの対話」の歴史である。あるがままの人間を観察すれば、政治はつねに権力闘争である、という命題に行きつく。人間性についての怜悧な仮説に基づくハンス・J・モーゲンソー(1904‐80)の現実主義とは何か。国家の外交に「力」と「国益」という概念を導入してこそ平和が得られる、と主張した国際政治学の古典的名著(「BOOKデータベース」より)。

(2)世界の中の日本

書名 著者 出版 出版年 備考
日本の外交
─明治維新から現代まで
入江昭 中央公論社(中公新書) 1966 日本の外交思潮のパターンである政府の現実主義と民間の理想主義とは、日本が日露戦争の勝利によって二十世紀の国際外交の舞台に躍りだすまでにできあがっていたが、大陸への野心から太平洋戦争へ、そして敗戦から日米安保体制下の今日にいたるまで、百年の尺度で日本の近代外交の思潮をかえりみるとき、そこにどのような歴史の教訓を引きだすことができるだろうか。長期の展望にたって、今日の外交への指針を示そうとする(出版社HPより)。
「海洋国家」日本の戦後史 宮城大蔵 筑摩書房(ちくま新書) 2008 戦後世界でアジアほど、巨大な変貌を遂げた地域は他にない。独立と革命、冷戦と内戦で覆われたかつてのアジアは、世界で最も経済的活力に溢れる地域へと姿を変えた。一体何がこのアジアの変貌をもたらしたのか。その鍵を握る海域アジアの戦後史は、海洋国家・日本の歩みと軌を一にするものであった。アメリカの冷戦戦略やアジアにおける大英帝国の解体、そして「中国問題」の台頭というアジアの現在を形作った劇的な時代における日本の秘かな航跡を描き出し、再び政治の時代を迎えつつあるアジアの中での新たな役割を提示する(「BOOKデータベース」より)。
日本の転機
─米中の狭間でどう生き残るか
ロナルド・ドーア 筑摩書房(ちくま新書) 2012 30〜40年後、米中冷戦の進展によって、世界は大きく変わる。視野を広げて考えるならば、両大国の狭間にある日本にとって、やがて訪れる勢力均衡の大変化は死活の問題である。本書では、太平洋体制と並行して進展する中東の動き-とくにイラン、イスラエル、米国の三角関係-を分析し、巨視的に世界情勢を読み解く。その補助線として「核」を俎上にのせ、人類は核兵器のコントロールがいかに可能なのかを問う。祖父として孫の時代を心配する学者が、徹底したリアリズムをふるって日本の経路を描く(「BOOKデータベース」より)。
*古典外交の成熟と崩壊(全2巻) 高坂正堯 中央公論新社(中公クラシックス) 2012 初版は1978年に出版。
Ⅰ巻:メッテルニヒ、カースレイ、ビスマルクらが探求した外交術は「勢力均衡」原則の維持だった。緊張緩和と戦争抑止に英断を下すに至った彼らの思索と方法を解明する。
Ⅱ巻:近代ヨーロッパの外政家たちの結晶体はいかに毀れたか。その限界がいかに越えられたか。普遍主義のへの欲求は理念や利害をはるかに凌駕するものだったのである(出版社HPより)。

4.歴史・思想

(1)歴史とは何か

書名 著者 出版 出版年 備考
歴史の風景
―歴史家はどのように過去を描くのか
ジョン・ルイス ギャディス(浜林正夫、柴田知薫子訳) 大月書店 2004 原著は2002年に出版。
歴史とは何か、歴史の研究にどんな意味があるのか、歴史的真理なるものは存在するのか、歴史はアートかそれとも化学か。冷戦史研究に大きな成果をあげてきた歴史家ギャディスが、ウィットをまじえながら、歴史研究をこころざす学生・研究者に語るかたちで、こうした問題に答える。古典的名著の声望高いマルク・ブロックの『歴史のための弁明』、E.H.カーの『歴史とは何か』の現代版(「BOOKデータベース」より)。
*新版 歴史のための弁明
―歴史家の仕事
マルク・ブロック(松村剛訳) 岩波書店 2014 原著は1949年に出版。
本書は、第二次世界大戦にレジスタンスに斃れたマルク・ブロックのあまりにも有名な遺著。「パパ、だから歴史が何の役に立つのか説明してよ」とのわが子の問いに応えてブロックは、歴史学への論難をもっとも高い鞍部で受け止め、歴史家が何を目指し、どのような精神でこれを遂行するかを、あたかも練達の職人の親方がその手の内を明かすように諄々と説いてゆく。この名著はまるで昨日書かれたかのごとくに清新で、深く透徹した省察によって人文諸科学のすべての学徒に開かれたものとなっている。今回、ブロックの長男が遺稿に立ち戻り厳密な校訂を施し、面目を一新した本文により新訳、新版とした(「BOOKデータベース」より)。
*歴史とは何か E.H.カー(清水幾太郎訳) 岩波書店(岩波新書) 1962 原著は1961年に出版。
歴史とは現在と過去との対話である。現在に生きる私たちは、過去を主体的にとらえることなしに未来への展望をたてることはできない。複雑な諸要素がからみ合って動いていく現代では、過去を見る新しい眼が切実に求められている。歴史的事実とは、法則とは、個人の役割は、など歴史における主要な問題について明快に論じる(「BOOKデータベース」より)。

(2)近現代日本政治史

書名 著者 出版 出版年 備考
日本政治史(全4巻) 升味準之輔 東京大学出版会 1988 第1巻(幕末維新、明治国家の成立):西洋の衝撃によって開幕した日本近代史はどこへいくのか!
第2巻(藩閥支配、政党政治):日清・日露・第一次大戦を経て日本は大陸へと膨張する。
第3巻(政党の凋落、総力戦体制):満州事変、5.15、2.26。軍部の覇権が成立し、太平洋戦争に至る。
第4巻(占領改革、自民党支配):占領と民主化、1955年体制、高度成長と低成長。そして昭和の終焉(「BOOKデータベース」より)。
日本政治史―外交と権力 北岡伸一 有斐閣 2011 近代国家は、国民の上に強大な力を及ぼす一方で、広範な国民の支持なしには存在できない。他方、いかなる国の内政も国際関係と切り離しては考えられず、また関係国の内政を無視した外交もありえない。日本において、そうした強さと脆さが複雑に入り組んだ近代国家における政治権力の形成と発展の過程は、どのようなものであったか。幕末における西洋との出会いから、冷戦の終焉にいたる百三十年余りの日本政治を、外交と権力、すなわち対外問題とそれに対する日本の権力の対応を中心に分析・考察する(「BOOKデータベース」より)。
日本近代史 坂野潤治 筑摩書房(ちくま新書) 2012 この国が最も激しく揺れ動いた一八五七(安政四)年から一九三七(昭和一二)年までの八〇年間。近代日本の劇的な歩みを、「改革」「革命」「建設」「運用」「再編」「危機」という六つの時代に区分し、通観する-。はたして日本の近代とは何だったのか。わずか数十年の間にめざましい「近代化」を実現しながら、やがて「崩壊」へと突き進まざるをえなかった根本原因はどこにあるのか。史料を精緻に読み解くことで、図式的な理解を超えて、近代史をダイナミックに捉えなおす(「BOOKデータベース」より)。
戦​後​日​本​の​宰​相​た​ち 渡邉昭夫編 中央公論新社(中公文庫) 2001 誰が日本を良くし、誰が日本を悪くしたのか?第一線の研究者が、東久邇稔彦から竹下登までの17人の政治家の思想と行動を追い、55年体制の形成からその崩壊前夜までの軌跡を描く。政局混迷の現在、あえて戦後日本の歴代宰相の功罪を検証しながら、現在の歪んだ政治の形を浮き彫りにする(「BOOKデータベース」より)。
自民党―政権党の38年 北岡伸一 中央公論新社(中公文庫) 2008 鳩山内閣から宮沢内閣まで、戦後政治は自民党とともにあった。三八年の長期にわたって政権を独占した政党の軌跡を、権力基盤としての派閥構造の変遷を軸に辿る。同時に、歴代総理・総裁のパーソナリティや、経済運営や外交姿勢など政策面の特色から、自民党政治のダイナミズムを鮮やかに描き出す。吉野作造賞受賞(「BOOKデータベース」より)。
戦後政治史(第3版) 石川真澄、山口二郎 岩波書店(岩波新書) 2010 自民党から民主党へ-二〇〇九年九月、戦後政治史上初の本格的な政権交代が実現、大胆な政策転換への国民の期待が高まったものの、沖縄・普天間基地、政治資金、消費税などで迷走が続いている。今こそ、歴史に道標が求められる時であろう。衆参両院の全選挙結果も収めた定評ある通史に「新版」後六年の激動を増補した最新版(「BOOKデータベース」より)。

(3)政治思想・政治理論

書名 著者 出版 出版年 備考
近代政治思想の誕生
―16世紀における「政治」
佐々木毅 岩波書店
(岩波新書)
1981 十六世紀ヨーロッパは、ルネサンスと宗教改革によって象徴されるように、ものの見方や考え方が大きな転機にさしかかった時期であった。本書は、この転換期における政治思想を特徴づける六人の思想家-セセル、マキアヴェッリ、モア、カルヴァン、モンテーニュ、ボダン-に焦点を当て、近代政治思想の多様性に富んだ出発点を描き出す(「BOOKデータベース」より)。
自由と自由主義
―その政治思想的諸相
佐々木毅編 東京大学出版会 1995 本書は、初期近代から20世紀に至るまでの、自由をめぐる議論および自由主義の検討を試みるものである。グロティウス、モンテスキュー、ルソー、カント、そして19・20世紀の主要な思想家を取り上げ、自由と自由主義のあり方を根本から問い直す(出版社HPより)。
政​治​概​念​の​歴​史​的​展​開
(全​10​巻)
古賀敬太ほか編​​ 晃​洋​書​房 2004-2015 2016年4月時点で8巻まで刊行。
政治概念の歴史的変遷を、古代、中世、近代以降において跡づけると同時に、現代における論争状況の一端を紹介するものである(「BOOKデータベース」より)。
*自由論 バーリン(小川晃一・福田歓一ほか訳) みすず書房 2000 原著は1969年に出版。
本書の各論文は、著者の聡明なコモン・センスの見事な典型であるとともに、別の角度から見れば、英知そのものといえる。透明でありながら深い思考に支えられ、現代の最も不評な・貧しい語彙になりさがってしまった「ヒューマニズム」に、そのもっともラジカルな形姿において、生気を与える(「BOOKデータベース」より)。
市民社会とは何か
―基本概念の系譜
植村邦彦 平凡社(新書) 2012 市民社会(civil society)とは、国家とは別の「民間部門」なのか。それとも、「公共部門」とは別の、人々の連帯なのか。社会科学の基本中の基本概念を、西洋古代から現代の日本まで的確に説き起こした待望の概説書、必携の教科書(「BOOKデータベース」より)。
*リヴァイアサン(全4巻) T. ホッブズ(水田洋訳) 岩波書店
(岩波文庫)
1982-1992 原著は1651年に出版。
各人が各人を敵に争う戦争状態こそ人間の自然状態であり、国家とは、平和維持のために絶対主権をもって君臨すべく創出されたいわば人工的人間にほかならない。こうホッブズは主張し、まず国家を創造し構成する人間の分析を行なう(「BOOKデータベース」より)。
*完訳 統治二論 ジョン・ロック(加藤節訳) 岩波書店
(岩波文庫)
2010 原著は1690年に出版。
イギリス社会が新興の中産階層の力で近代的市民社会へ脱皮してゆく時、その政治思想の代表者がロック(1632‐1704)であった。君権神授説を否定し人間の平等と人民の政府改廃の権利を明らかにした彼の「政府二論」-特にそのうちの後編に当たる本書は、アメリカ独立宣言の原理的核心となり、フランス革命にも影響を与えた(「BOOKデータベース」より)。
*自由論 J.S.ミル(塩尻公明、木村健康訳) 岩波書店
(岩波文庫)
1971 原著は1859年に出版。光文社古典新訳文庫版(斉藤悦則訳、2012年)もある。
イギリスの思想家ジョン・スチュアート・ミル(1806‐73)の代表的著作。言論の自由をはじめ、社会生活における個人の自由について論じ、個人の自由の不可侵性を明らかにする。政府干渉の増大に対する警告など今日なお示唆を与えられるところ多く、本書をおいて自由主義を語ることはできないといわれる不朽の古典(「BOOKデータベース」より)。

(4)近現代日本政治思想

書名 著者 出版 出版年 備考
*日本の思想 丸山眞男 岩波書店
(岩波新書)
1981 現代日本の思想が当面する問題は何か。その日本的特質はどこにあり、何に由来するものなのか。日本人の内面生活における思想の入りこみかた、それらの相互関係を構造的な視角から追究していくことによって、新しい時代の思想を創造するために、いかなる方法意識が必要であるかを問う。日本の思想のありかたを浮き彫りにした文明論的考察(「BOOKデータベース」より)。
近代日本思想案内 鹿野政直 岩波書店
(岩波文庫)
1999 幕末維新から戦後まで、近代日本100年の間に日本人によって生みだされた思想とそれを担った思想家について簡潔に記した近代日本思想入門。福沢諭吉の啓蒙思想から自由民権思想、国粋主義、人権思想、民主主義、民族思想、科学思想、社会主義、フェミニズムまで主な思想潮流を整理し、主要な著作を紹介する。索引を付す(出版社HPより)。
*現代政治の思想と行動
(新装版)
丸山眞男 未来社 2006 初版(上下巻)は1956-57年に出版。
本書は著者が戦後発表した政治学ないしは現代政治の問題に関連する主要な論文を収めた。増補版発行に当り、上下両巻を合本したほか、旧版後記にのべたような編纂趣旨を規準として三論文を新たに追加し、その代り旧版上巻にあった比較的に短い二篇を落した(「BOOKデータベース」より)。
日本政治思想 米原謙 ミネルヴァ書房 2007 本居宣長、吉田松陰、福澤諭吉、徳富蘇峰、吉野作造、丸山眞男…この国で展開した思想、知識人群像の光と影。近世儒学や国学の遺産を継承しつつ、近現代日本の知識人が時代の課題にいかに応えようとしたかを明らかにする。荻生徂徠や本居宣長などの近世思想に始まり、ペリー来航から冷戦終焉まで150年間を主たる対象とした日本政治思想の通史(「BOOKデータベース」より)。
戦後日本の思想 藤田省三、久野収、鶴見俊輔 岩波書店
(岩波現代文庫)
2010 初版は1959年に出版。
"戦後"がまだ戦後であった一九五〇年代末、戦争によって混迷に陥った日本人の思想の建直しをめざして行われた白熱の討論。「近代文学」「民主主義科学者協会」「心」それぞれのグループの思想、生活綴り方・サークル運動、社会科学者の思想、戦争体験の意味、の六つのテーマに即して同時代の思想を縦横に論じ、その可能性を模索した(「BOOKデータベース」より)。
*文明論之概略 福沢諭吉(松沢弘陽校注) 岩波書店
(岩波文庫)
1995 初版は1875年に出版。
国の独立は目的なり、今の我が文明はこの目的に達するの術なり。西洋心酔と保守主義の相確執する明治初期、文明の本質を論じ、文明は文明自らに意味があるとした上で、今、最も優先すべき課題は日本国の独立であり、西洋文明を学ぶのもそのためであると説く。『学問のすゝめ』と共に、時代の展開に大きな影響を与えた福沢(1835‐1901)の代表的著作(「BOOKデータベース」より)。
*三酔人経綸問答 中江兆民(桑原武夫、島田虔次・訳・校注) 岩波書店
(岩波文庫)
1965 初版は1887年に出版。
一度酔えば、即ち政治を論じ哲学を論じて止まるところを知らぬ南海先生のもとに、ある日洋学紳士、豪傑君という二人の客が訪れた。次第に酔を発した三人は、談論風発、大いに天下の趨勢を論じる。日本における民主主義の可能性を追求した本書は、民権運動の現実に鍛え抜かれた強靱な思想の所産であり、兆民第一の傑作である。現代語訳と詳細な注を付す(「BOOKデータベース」より)。