以下、本文になります
法律学科
家族の変容と国際家族法
教授 林 貴美 HAYASHI Takami, Professor
専門分野 | 国際私法
Private International Law |
---|---|
研究室 | 光塩館415 |
TEL | (075)251-3613 |
業績リスト
List of Research Achievements |

私の研究
みなさんは、インターネットを利用して海外から物を購入したことはあるでしょうか。海外旅行にでかけ、旅先でお土産を購入した経験はあるでしょうか。このような国際的な売買では、必ずしも日本民法が適用されるわけではありません。この地球上には190を超える国家が存在し、それぞれの立法権のもと法律が制定されています。アメリカ合衆国などでは、法分野によっては州ごとに法律が異なっています。私が研究する国際私法という学問領域は、たとえば外国人との契約や国際結婚など、なんらかの国際的な要素を有する私法的法律関係に適用される法をいかに決定するかという問題を扱う法領域です。歩いていけば国境にぶつかるヨーロッパでは、国際取引のみならず、国際的な家族関係をめぐる問題が日本とは比較にならないほど頻繁に生じています。しかしながら、日本においても着実に国際化は進んでいます。国際取引を行っているのはいまや大企業のみならず、海外の企業に技術提携をしている京都の中小企業も増えています。企業から駐在員として海外に派遣され、その地で財産を築いたり、日本にいながらにして海外に財産投資したりすることもよくあることとなってきました。家族関係についてみても、国際結婚や国際的な養子縁組は今や珍しくありません。このような社会の国際化は法適用の複雑さをもたらし、国際私法の重要性がますます高まっています。
国際私法において私がこれまで研究対象としてきたのは、主として国際家族法の分野です。各国の家族法は、各国の宗教、倫理観、法伝統などの影響のもと、実に様々です。一夫多妻制や多夫一妻制は、日本からすると想像しがたいものかもしれませんが、これらの制度を採用している国においては法文化として根付いているのです。日本とは異なる外国の法文化を知ることができるのも、国際私法の魅力の一つと言えるかもしれません。
もっとも、各国間での法制度の違いは、国境を越えてヒトが移動する場合には、当事者に重大な影響を及ぼします。ある国で一定の身分関係を形成した者たちが外国に移住した場合、移住地においても以前住んでいた国と同様の保護を受けることはできるのでしょうか。海外で代理懐胎等によって出生した子の親子関係は日本においてはどのように扱われるのでしょうか。このような国際的な家族関係やそれらをめぐる財産的な問題についてどのように法的にアプローチすべきか、これが私の主たる研究テーマです。
講義・演習・小クラスについて
今年度は、講義科目としては、「国際社会と民事法」、「国際財産法」、そして「国際家族法」を担当します。現実に起こっている様々な事例を織り交ぜながら、講義を進めていきます。演習では、国際私法(財産法・家族法双方を含む)の基礎的な知識の修得を目的にするとともに、国際化社会における様々な法的問題に対するアプローチの仕方を受講生とともに考えていきます。また、受講生によるプレゼンテーション能力の向上も演習での重要な目的の一つです。