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法律学科
補助金と国際通商法・競争法
助教 坂入 遼 SAKAIRI Ryo, Assistant Professor
専門分野 | 国際経済法(国際通商法)、経済法(競争法)
International Trade Law, Competition Law |
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研究室 | 光塩館309 |
TEL | (075)251-3494 |
業績リスト
List of Research Achievements |
私の研究
〈専門分野〉専門分野は国際経済法(国際通商法)と経済法(競争法)です。国際経済法の一部である国際通商法は、貿易に影響する国家の措置に対する法的規律をいいます。代表例は、戦後の貿易自由化を支えたGATT(関税及び貿易に関する一般協定)、これを発展的に承継したWTO(世界貿易機関)協定です。TPP(環太平洋パートナーシップ)協定をはじめとするEPA(経済連携協定)も射程に入ります。
経済法の代表格である競争法は、競争に悪影響を与える企業活動に制約を加えるルールです。日本では独占禁止法がこれにあたります。
〈研究関心〉
私は国際通商法の研究からスタートし、補助金に関するWTO協定の規律に焦点を当ててきました。米中間のいわゆる「貿易戦争」にも見て取れるように、補助金は国際競争を歪めることがあります。一方、補助金は気候変動等の市場の失敗を矯正する等、世界的課題(SDGs等)に対応することもあります。そうした背景をふまえ、WTO補助金規律が厳格さと柔軟さのバランスを確保するための法解釈や新規立法を探る、というのが私の当初の研究課題でした。博士論文でこのテーマに関する研究の一応の完成をみましたが、現在は、EU(欧州連合)の国家補助規制という類似のルールにも視野を広げ、国際的な補助金規律に関する研究を包括的にすることを目指しています。
競争法に関しても、補助金というテーマを切り口に研究しています。国家補助規制自体がEU競争法の一部であり、これを考察するだけでも競争法の研究といえますが、補助金がもたらす悪影響をどう評価するか、は日本の独占禁止法の世界でも(隠れた)論点です。それを検討し、補助金に対する法的規律の検討を国内法にも広げることも、当面の研究課題です。
講義・演習・小クラスについて
「リーガル・リサーチ」と「原典講読(アメリカの法と政治)」を担当します。「リーガル・リサーチ」では、法律文献の読み方やレポート・論文の書き方といった法学部の4年間の学習に必要な基礎固めをします。学んだことを実践する機会を多くし、知見の定着を図ります。「原典講読(アメリカの法と政治)」では、よくニュースにもなるアメリカの通商法、競争法の理解に役立つ英語文献を扱います。その他、全学共通教養教育科目として法学を担当します。民間企業、公務員、教育研究者とさまざまな業界に身を置いてきたので、学生の皆さんがキャリアを考えるうえで参考になる話ができるかもしれません。そうした話も授業では織り交ぜていこうと思います。
プロフィール
2011年に慶應義塾大学法学部法律学科を卒業後、三菱東京UFJ銀行(現在の三菱UFJ銀行)で勤務しました(2011年‒2016年)。同行退職後、2016年に慶應義塾大学大学院法学研究科に進学し、2018年に修士(法学)、2023年に博士(法学)を取得しました。
その間、2021年‒2023年に慶應義塾大学大学院法学研究科助教(有期・研究奨励)を務めたほか、博士号取得と前後して公正取引委員会事務総局での勤務を開始しました。公正取引委員会事務総局では官房国際課に所属し、独占禁止法の発展を目的とした海外競争法の調査研究や国際会議での情報収集を担当し(2023年‒2025年)、2025年4月に同志社大学法学部助教に就任しました。