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法律学科

刑訴法のフレームワークを求めて

教授 宇藤 崇  UTO Takashi, Professor

専門分野 刑事訴訟法
Criminal Procedure Law
研究室 光塩館515
TEL (075)251-4908
業績リスト
List of Research Achievements
教授 宇藤 崇

私の研究

刑事訴訟法は,刑事事件を適正に処理し,刑法が予定する法的秩序を実現するために定められた法律です。もう少し具体的に言えば,犯罪の捜査から始まり,公訴提起,公判を経て裁判に至るまでの手続をどのように規律するかを定めています。犯罪が生じれば,自動的に刑法に定めるところが実現されるというわけではなく,関係する多数のものの活動によって,はじめて刑法の規定する通りの犯罪があり,具体的な刑罰を科してよいかの見極めがつくのですから,そこまでの道行きを規律する刑事訴訟法も,刑法に負けず劣らず大事な法律です。このような刑事訴訟法の位置づけから分かるように,この法律やそれを取り巻く課題を研究しようとすれば,刑法の理解も不可欠だろうと思います。

さて,刑事訴訟法を研究するといっても様々なアプローチがありますが,私の場合,上述のような刑法との密接な関係性を見極めながら,具体的な刑事手続を踏まえ,どのような刑事事件の決着や処理があり得るか,という観点からアプローチしてみようと思い,研究を開始しました。修士論文を基礎としてまとめた「違法捜査と不処罰処理」(1993年)も,そのようなアプローチのものです。このようなアプローチに興味を覚えるのは,大学院生時代の恩師の影響もあってのことです。その後,「違法収集証拠排除法則の目的と基準について」(1995年),「捜査手続の違法に対する事後的処理について」(1999年)と,その延長線上で研究を進めてきました。今でも研究の一つの柱となっています。

その一方で,今世紀に入ると法科大学院制度がスタートし,あらゆる法律を本格的に,かつ一斉に勉強し始める受講者に接することが多くなりました。そうしますと,刑法だけではなく,憲法や行政法,民事訴訟法といった,これまで横目で見ていた法律分野のことが非常に気になるようになります。また,法律実務家とも接する機会もがぜん増えました。そのため,自分の頭の中で考えてきたことが実際にワークするのかにも興味がわきます。私の場合,司法試験の作問作業や採点の場面で,各方面の法律実務家の方々と意見を交換し,ときに実務での運用がどのようになっているのかを質問する機会に恵まれたほか,法制審議会刑事法部会の一員として,立法作業がどのように進められるのかを目にすることもできました。このような次第ですので,最近は,やや少し幅広に関心をもって,研究を進めてきました。そのため,もともと刑訴法プロパーの研究者としては若干外れた検討をすることも多かったのですが,その度合いがさらに大きくなってしまいました。

ただ,折角ここまで勉強してきましたので,いろいろある法律分野の中で,刑事訴訟法を成立させるフレームワークというものを自分なりに整理しなおしたいと近頃は考えて,作業を進めています。図書館で古い文献をあさり,様々なデータベースとAI を駆使して,どんなことを考えることができるのかが楽しみです。

講義・演習・小クラスについて

同志社大学に赴任し,初めての授業です。
春学期,前年度洲見先生がご担当であった「刑事訴訟法Ⅰ」を引き継いで,「刑事訴訟法Ⅱ」を担当するほか,秋学期は「刑事訴訟法Ⅰ」と「2 年次演習(刑事訴訟法)」を担当します。
モットーは,「楽しくハードに勉強する」としておきます。
前任校では,法科大学院の授業を担当することの方が多く,特に学部生を対象とした講義方式での大人数授業は久々であり,不安なきにしもあらずですが,楽しみにしています。

プロフィール

1967年生まれ。和歌山県立日高高校出身。
京都大学法学部卒業後,1990年京都大学大学院法学研究科修士課程入学,1992年同博士後期課程進学。1993年岡山大学法学部助手に着任。その後は,同助教授,神戸大学大学院法学研究科助教授,教授を経て,2025年同志社大学法学部教授に着任。
この間,司法試験考査委員(2004~ 2016年,2023~2024年),法制審議会幹事(2011~2014年),日本刑 法学会理事(2015年~現在,2024年から理事長代行),などを務めてきました。

趣味は,読書,音楽鑑賞などです。AmazonとSpotifyのおかげで,物理的制約から解き放たれて,際限がなくなっています。