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法律学科

ICJ判例を通じた国際法の発展

助教  後藤 倫子

専門分野 国際法
研究室 光塩館309
  業績リスト

私の研究

[研究関心の紹介、将来の計画]

国際法とは、国と国との約束です。そして、国際法の形成と発展の際に中心的な役割を果たすのは国家です。しかし、国際機関、NGO、私人などの国家以外の主体も、国際法の形成と発展に影響を与えることがあります。国家間の紛争を解決するという任務を負う国際司法裁判所(ICJ)もその1つです。

ICJの判決は、あくまでも問題になっている紛争の当事国に向けて出されます。ただし、「世界法廷」としてのICJの権威と正統性は国際社会の中で認められており、そのため、判決を下す過程で行われているICJの様々な判断が、問題の紛争の垣根を越えて、国際法の形成と発展に影響を与えることがあります。

国際社会には、国内社会とは異なり立法機関が存在しません。国際法の形成や発展の実現が国際社会の中で望まれても、諸国が行動を起こし、諸国の意見が一致するまで待つ必要があるため、非常に時間がかかる場合があります。このことから、ICJの判断が国際法の形成と発展に影響を与えることは、国際社会の問題への迅速な対応という点では意義があると言えるでしょう。

しかし、国際法には、「国家主権の尊重」という非常に重要な原則が存在します。国際法の形成と発展の中心的な主体は国家であり、国際法に拘束される意思を自ら示さないかぎり、国家は国際法に拘束されません。そのため、国際法の形成や発展の際には、国家の意思が尊重される必要があります。このことから、果たして、国際法の形成と発展に影響を与えるICJの判断は、国家の意思が尊重された上でなされたものか、という問題が生じます。

このような問題意識の下で、これまで、ICJ判例を通じた国際法の発展について、国家の意思の観点から研究してきました。研究するにあたり、国際法規範の中でもジェノサイド条約に焦点を当て、条約解釈を研究の分析軸としています。ICJの判断はジェノサイド条約の発展にこれまで貢献し、また、条約解釈の基盤は条約締約国の意思とされています。今後もしばらくは、この研究を続けていくつもりです。

講義・演習・小クラスについて

本年度は、「リーガル・リサーチ」、「原典講読(アメリカの法と政治)」、「特殊講義」を担当します。授業では、受講生の皆さんに、課題に対する答えや意見を述べてもらいますが、教員の方から「なぜそのような答え/意見に至ったのか」を尋ねることがあります。授業では結論に至る過程も重視します。

プロフィール

熊本県出身。同志社大学大学院法学研究科博士課程後期課程修了後、現在に至る。趣味は、甘い物めぐりです。