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法律学科

現代正義論と価値多元論の可能性

教授 濱 真一郎

専門分野 法哲学・法思想史
研究室 光塩館523
TEL (075)251-3555
E-mail shama■mail.doshisha.ac.jp
※■は@に置き換えてください。
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教授 濱 真一郎

私の研究

ポスト冷戦の現代社会には、たとえば旧ユーゴスラヴィアなどに「民族の悲劇」が、西洋文明とイスラム文明および儒教文明との間に「文明の衝突」(S.P.ハンチントン)が生じています。こういった価値の多元化の中で、多くの社会的弱者の自由や人権が侵害されているのは周知の通りです。この事態を回避するには、われわれは旧来の現代正義論に加えて、価値の多元化に対応できる思想を構築すべきだと思われます。

私は以上の関心に基づいて、イギリスの思想家アイザィア・バーリンが提示する「価値多元論」に注目しています。この立場は、現代社会における価値の多元化を認識した上で、それぞれの民族や文明が、自らの価値観を保持した上で共存する道を模索するものです。そういったバーリンの価値多元論の検討を通じて、多元的社会における自由と人権のあり方を検討することが、私のここ数年来の研究テーマです。

なお、ホッブズ、ロック、スミス、ヒューム、J.S.ミルらの英国流のリベラリズム思想や、「法とは何か」「法と道徳の関係は何か」「法的推論はどのようなものか」「権利とは何か」といった法哲学上の重要問題にも取り組んでいます。

講義・演習・小クラスについて

講義は「法と社会」「法哲学」および「現代法哲学の展開」を担当します。

「法と社会」は、法律学科の新入生を主な対象として、法律学を学ぶための基本的な知識を解説することを目的としています。また、実定法の背後に存する理論的枠組に触れながら、健全な法的思考を育むこともめざします。

「法哲学」および「現代法哲学の展開」は、実定法科目を一通り勉強した学生を対象として、法哲学の重要問題を解説することを目的としています。法哲学とは、法理学ないし法理論と呼ばれる学問であり、今日の法、法学、および法実践が抱えている基本的問題を様々な角度から堀り下げて考えてみようとするものです。具体的には、法とは何か、法の実現すべき価値は何か、正しい法解釈は存在するか、といった問題を取り上げます。

2年次演習は、3・4年次演習で学ぶための基礎力をつけることを目的としています。1年次の入門科目で学んだ、レジュメの作り方や論文の書き方等を復習しながら、自分の選んだテーマでゼミ論文を執筆する作業を行います。

3・4年次演習は、現代社会の法的な難問を自分の頭で考えることを目的としています。具体的には、宗教的・民族的な対立、環境破壊や資源枯渇、脳死・臓器移植や遺伝子操作など、現代社会に生起するあらゆる問題を取り上げたいと思います。どの問題に取り組むかは完全に参加者の自主性に基づきますので、ゼミがはじまる以前に一定の情報を集めておくようにして下さい。

プロフィール

長崎県立諫早高校出身。
1992 年 3月に早稲田大学法学部を卒業。いったん早稲田大学大学院法学研究科に進学するも、1993年4月に同志社大学大学院法学研究科に入学。1997-1998年、エディンバラ大学大学院に留学しLL.M.(Master of Laws)を取得。1999年度より同志社大学法学部助手、2000年度より専任講師、2003年度より助教授、2007年度より准教授、2009年度より教授。1999 年-2000 年、オックスフォード大学にて在外研究。なお、同志社には早稲田との国内留学制度や、エディンバラを含む数多くの大学との交換留学制度があります。この機会をぜひご利用下さい。

趣味に関してはクラシックギターとハードロック(とくにレッド・ツェッペリン)です。