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法律学科

ヘイト・スピーチ規制を考える

教授  檜垣 伸次

専門分野 憲法
研究室 光塩館424
TEL (075)251-3568
E-mail shigaki■mail.doshisha.ac.jp
※■は@に置き換えてください。
  業績リスト
教授 檜垣 伸次

私の研究

私はこれまで、表現の自由、特にヘイト・スピーチの規制に関する問題について研究してきました。

日本では、2000年代に入り、排外主義団体によるデモ活動をしばしばみかけるようになりました。これらのデモなどをきっかけとして、「ヘイト・スピーチ」という言葉が広く知られるようになりました。ヘイト・スピーチは過去には虐殺などの深刻な問題に発展することもあることなどから、これを規制するべきであるとの主張もみられるようになりました。

しかしながら、ヘイト・スピーチを規制するならば、表現の自由の過度な制約にならないかが問題となります。表現の自由が非常に重要な権利であることはいうまでもありませんが、人種差別もまた平等などの憲法の理念に反するものであるといえます。これらの価値は、どちらかが他方に常に優越するものではなく、表現の自由と反人種主義とのバランスをどのようにとるのかが、自由で民主的な国家にとって大きなジレンマとなっています。

この問題について、一般的には規制に消極的なアメリカと積極的なヨーロッパ諸国とが対比されます。アメリカは表現の自由を強力に保障しており、ヘイト・スピーチなどの過激な表現も基本的には保障されています。これに対して、ヨーロッパの多くの国は、何らかの形でヘイト・スピーチを規制しています。

日本は、かつてはアメリカに近いアプローチをとっていましたが、近年ヘイト・スピーチが大きな社会問題となっていることをうけて、2016年にはヘイト・スピーチ解消法を制定しました。
この法律は、ヘイト・スピーチを「許さない」としつつも、罰則などは科さずに、啓発活動や教育などを通じて、ヘイト・スピーチのない社会を目指そうとしています。この法律に見られるように、日本は今のところ、非規制的な施策を活用することにより、ヘイト・スピーチに対応することを選んでいます。これはアメリカともヨーロッパとも異なる「第3の道」であるといえます。

このような日本型のヘイト・スピーチ法の可能性と限界を探っていくのが、私の研究テーマです。また、ヘイト・スピーチのような具体的な問題を検討する前提として、なぜ表現の自由が保障されるのかについても研究しています。

講義・演習・小クラスについて

講義は、今年度は基本的人権概論、人権保障の原理Ⅰを担当します。できるだけ具体的な問題を取り上げ、わかりやすい説明となるよう努めたいと思います。ゼミは、2年次では憲法の基本的な判例を読み、リーディングケースの論理とその後の判例の論理を比較・検討してもらいます。
3年次では事例問題を検討して、みんなで議論していきたいと思います。また、他大学との合同ゼミなど、いろいろな活動をしたいと思いますので、積極的に参加してくれることを望みます。

プロフィール

1982年広島市生まれ。
同志社大学法学部、同大学院法学研究科で学び、福岡大学法学部講師、同准教授を経て2021年に同志社に赴任しました。2016年8月からニューヨーク大学に1年間、2017年8月からブリティッシュコロンビア大学(バンクーバー)に半年間、客員研究員として滞在しました。
基本的にインドア人間なので、休日はだいたい1日中家にひきこもっています。カープとサンフレッチェを応援しており、シーズン中は試合結果に一喜一憂しています。