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法律学科

家族法の比較法的研究

教授 神谷 遊

専門分野 民法
研究室 光塩館407
TEL (075)251-3676
  業績リスト
教授 神谷 遊

私の研究

これまで、家族関係と法制度とのかかわりを中心として研究を進めてきました。家族といっても個人と個人の関係から構成される集団ですから、これについて規定を置いているのは民法です。民法は、物の売り買いや貸し借りなど、財産関係についての基本的なルールも置いていますが、こうした財産関係に関する規定(いわゆる財産法)と家族関係に関する規定(いわゆる家族法)とでは、同じ民法とは思えないほど趣が異なるところがあります。

それは、取引などによって形成される財産関係が意思的・打算的な関係であるのに対して、家族関係は情愛や血縁をベースに構築される関係だからです。こうした家族関係にいかなるルールをあてはめるべきか(どのような法制度を用意すべきか)は、どのような家族観に依拠するかによって決まりますが、その家族観は、その国、その社会の伝統や文化(とくに宗教)によって大きく左右される面があります。要するに、家族法には、それぞれの「お国ぶり」がよく現れることになるのです。

少子高齢化、ライフスタイルの多様化といった現象は、程度の差こそあれ、多くの国に見られるようになりましたが、これらに対応する法制度のあり方は各国各様です。私の場合、学生時代からドイツで勉強する機会に恵まれたため、主としてドイツの家族法との比較で日本の家族法に検討を加える作業を続けてきました。ドイツの家族法やその根底にある家族観に触れると、このことから逆に日本の家族法の特質が浮き彫りになります。どちらが良いか悪いかといった議論ではなく、ドイツ法のあり方や価値観をたたき台として、良くも悪くも日本法のあり方を問い直していくと、それがやがて日本法に独自の進化を促すことにもつながるのです。

私は、これまで「離婚法における破綻主義」や「成年後見法の改革」といったテーマを中心に研究をしてきましたが、いずれの領域でも、外国法の研究が起爆剤の一つとなって、判例の変更が行われたり、法改正につながったりしています。
今後も、ドイツ法と日本法を行ったり来たりしながら、わが国の家族関係にあるべき法の姿を追い求めていきたいと考えています。

講義・演習・小クラスについて

今年度は、専門の講義として1年次生以上が対象の講義科目で、「民法la(総則)」と2年次生以上が対象の「民法Vlb(相続)」を担当します。
いずれも市民生活と法とのかかわりを学ぼうとする場合には、基本中の基本となる科目です。どのような学問分野でも、基本ほど難しく、また奥深いものはないのですが、身近な事例をひもときながら、私たちの日常生活の中で民法という法律がどのように機能しているかを学び、みなさんと民法の面白さを共有できればと考えています。

演習では、民法の重要論点を素材として、みなさんに資料の分析と報告、討論をしていただくことになりますが、演習の目的は、さまざまな考え方があることを知り、それをお互いにぶつけ合うことで、さらに自分の考え方に磨きをかけていくことにあります。これを意識して明るく楽しく積極的に参加してくれることを望みます。

プロフィール

京都生まれ。同志社大学法学部を卒業後、引き続き法学研究科に進学。
その後、財団法人比較法研究センター専任研究員、京都学園大学法学部助教授を経て、1994年4月から広島大学法学部助教授、同教授、広島大学法科大学院授。2007年4月に同志社に入社。