同志社大学 法学部・法学研究科

法律学科

契約の世界と倒産の世界

教授 金 春

教授 金 春
専門分野民事訴訟法(倒産処理法)
研究室光塩館515
TEL(075)251-4908
 業績リスト

私の研究

 私の専門は、経済的に危機に陥った企業や個人の債権債務を集団的に整理する倒産処理制度(破産法や民事再生法等)です。中でも、私が近時関心を寄せているテーマは、契約のルールが倒産の局面においていかに変更されるかであります。日本の実務では、債務者に対する信用供与を含む契約又は長期間の契約(例えば、売買契約、ファイナンス・リース契約、賃貸借契約、フランチャイズ契約、代理店契約、ライセンス契約、銀行取引)等において、一方当事者について倒産手続開始申立てや支払停止等の事由があったときに、他方は催告なしで契約を解除できるという条項(倒産解除条項)が付されることが広く見られます。学説は、かつては、契約自由の原則から、こうした特約は倒産手続において当然に有効であると考えられていました。しかし、このような解除特約を認めると、再建型倒産手続の場合には再建に必要な契約が解除されて再建が困難になります。そこで、最高裁(最高裁1982年3月30日民集36巻3号484頁、最高裁2008年12月16日民集 62 巻10 号 2561 頁)は所有権留保担保やファイナンス・リース契約のような非典型担保の事案においてこのような契約の効力を否定していますが、その射程がほかの種類の契約にも及ぶのか、また再建型手続以外に破産手続にも及ぶのか、その読み方は分かれております。一方では、債権者間の平等や再建の可能性または倒産手続において管財人(又は再生債務者)に与えられた双方未履行契約の選択権等、他方では契約自由の原則をどこまで尊重するかという問題が根幹にある、大変難しい問題であります。1996年から始まった倒産法の全面的な改正においては、倒産解除特約に立法的対応をすることが検討されたが、最高裁判例の射程に理解が一致しないこと、仮に再建型に限って解除特約の効力の制限を設けることが可能であるとしても、予測可能性のある判断基準を示すことが困難であるとしてその立法化は見送られています。
 そこで、私の研究は、同分野で整備されているアメリカ法、また近時立法が実現されたオーストラリア法、現在立法的作業が進行中であるイギリス法の考察を通じて、日本における関連問題を考える上で何らかの糸口となるものを見つけることを試みるものであります。

講義・演習・小クラスについて

 今年度は、大講義として春学期に「破産法」、秋学期に「民事再生法・会社更生法」を担当します。2年次、3年次、4年次演習では、倒産における三角相殺の可否、連帯保証と無償否認、仮想通貨の所有権及び倒産解除特約等近時の重要な倒産判例を取扱う予定です。また、仲裁と交渉の大学間コンペの準備ための「特殊講義」、「Current Issues in Comparative Low 2019(Insolvency Low in China, Japan, Australia)」(英語)、「リーガル・リサーチ」も担当させていただきます。

プロフィール

 中国人民大学法学部を卒業した後、瀋陽市地方裁判所にて勤務しました。1997年に来日し、京都大学大学院法学研究科修士課程、博士課程、助手を経て(2006年3月に博士号を取得)、2008年4月より大東文化大学法学部専任誰師、准教授、2013年4月より同志社大学法学部准教授、2018年4月より教授として勤務しております。2015年9月~ 2017年9月はオーストラリア・メルボルン大学ロースクールで在外研究をしました。趣味は、描画、美術館巡り、グルメです。