同志社大学 法学部・法学研究科

法律学科

税法の基礎理論を問い直す

教授 倉見 智亮

倉見 智亮
専門分野税法
研究室光塩館507

私の研究

 私の専門は、税法です。これまで、過年度に課税を受けた収入が契約解除などを理由に後発的に失われた場合における課税関係の調整方法を中心に研究してきました。現在、この研究の延長線上にある議論として、意図しない課税を受けた納税者が当該課税を回避する試み(事後的タックス・プランニング)は認められるべきか、という問題に取り組んでいます。他方で、租税判例を素材として、所得税・法人税・相続税といった国税、住民税や固定資産税といった地方税、国税通則法や国税徴収法を中心に構成される租税手続法・租税救済法などにも手を伸ばして、幅広く研究しています。
 最近の研究関心の一つは、税法の解釈適用方法です。法律に基づく課税(憲法84条=租税法律主義)を徹底する税法の世界では、法律を字義通りに解釈する文理解釈によるべきで、文理解釈に限界がある場合にのみ法の趣旨目的を踏まえた目的論的解釈が許される、と伝統的に考えられてきました。しかし、文理解釈と目的論的解釈との使い分けの基準は曖昧ですし、法律に規定がない事項に関する税法の適用方法も確立していません。これらは、具体的事案における紛争処理を左右する極めて重要な問題です。
 もう一つの関心は、自発的な納税協力を促す制度の設計にあります。できるだけ税負担を少なくしたい納税者に対して納税義務を適正に履行させることは容易ではありません。この場合、ペナルティを強化すれば、税負担軽減行為の抑止力となるでしょうか。逆に、収入の状況や財産の所在などに関して事前の情報提供をしていれば、その収入や財産に関して申告漏れあったとしても、ペナルティを和らげるという制度を導入すればどうでしょうか。それとも、税負担を免れようとしている人を通報すれば報奨金が貰えるという制度はどうでしょうか。このような納税協力論が盛んに展開されているアメリカ法の最新の議論を追っています。

講義・演習・小クラスについて

 今年度は、新入生向けの入門科目として「リーガル・リサーチ」のほか、講義科目として「税法Ⅰ・Ⅱ」・「行政法概論」を担当します。入門科目では、法学部での学修を円滑に進めるに当たって不可欠となる知識や研究作法を丁寧に教示します。講義では、税法の体系と論点について、制度の趣旨や、その論点を議論する意義に触れながら、裁判例も交えて分かりやすく説明します。また、講義内で簡単な問題に取り組む時間を設け、自分の考えを構築する機会を提供したいとも考えています。
 演習科目としては、「2年次演習」・「3年次演習」を担当します。演習では、裁判例を素材としたディベートやテーマ研究に取り組みます。ゼミ生には学生同士の交流を通じて「法学の楽しさ」を身を持って体験してもらいたいですし、また私自身も学生から多くの学びを得たいと考えています。ゼミ合宿、他大学との討論会、ゲストスピーカーを招いての講演会なども企画しているので、向上心のある意欲的な学生の参加を望みます。

プロフィール

 京都生まれ。同志社大学法学部・同大学院法学研究科で学び、西南学院大学法学部に籍を置いた後、2022年に母校である同志社大学に赴任。趣味は、キャンプ、美味しいお店の開拓、京都の街を自転車で周ること。
 主著は、研究書として『課税所得計算調整制度の研究』(成文堂、2021年)、入門書として『基本原理から読み解く租税法入門』[共著](成文堂、2014年)・『高校生のための税金入門』[共著](三省堂、2020年)。