同志社大学 法学部・法学研究科

法律学科

競争政策と法及び通商政策と法
~ Google やFacebook 事件・芸能人事務所移転事件等を理解するためには ~

教授 瀬領 真悟

教授 瀬領 真悟
専門分野経済法・国際経済法
研究室光塩館421
TEL(075)251-3604

私の研究

 市場における競争と法の関係を研究しています。法律としては、独占禁止法(独禁法)や WTO(世界貿易機関)に関する国際条約や国内法で扱われている事項です。競争政策法、経済法、国際経済法等といわれている分野です。独禁法に関しては、国内法の研究を行うに際して、西欧・米国との交流が重要ですが、東アジアや東欧に関わる機会が近年増え、当局者や学者との交流機会も多くなりました。直近ではGAFA等IT産業・プラットフォーマーに関わる問題の研究に取り組んでいます。国際経済法分野では、貿易自由化関連問題、WTOの紛争処理案件、地域統合における独禁法の役割の研究が中心になっています。2013年9月から1年間の英国オックスフォード大学での在外研究、2019年11月のドイツテュービンゲン大学での短期派遣で、EU、英国及びドイツの競争法制、EUに関わる様々な法的問題の研究を深める機会を与えて貰いました。

講義・演習・小クラスについて

 今年度春学期は在外研究に従事しています。秋学期に、学部では、講義として特殊講義(市場経済・経済活動と法制度―EU競争法執行を素材にして・日本との対比―)を、演習として2・3・4年次演習を、大学院では、経済法演習1・2、論文指導、国際経済法などを担当します。
<キャリア形成 - 展開との関係は?>
〈どんな法律を扱うのか? 独禁法〉
 演習や講義で扱うのは独禁法という法律です。最近は、GoogleやFacebookの事件とか、芸能人の事務所移転の事件等で、話題になっています。それ以外でも次のような事柄に関連する法律です。
 家電製品などは、店毎に値段が異なったり、店員と値引き交渉ができたりするのに、雑誌・書籍や CDは、定価販売され、全てのお店で同じ値段であり、値引き交渉ができない。このことに疑問を感じないでしょうか。
 大手の建設会社が、官庁との取引で談合を行っていたとか、公務員や政治家が談合に関与していて官製談合が行われていた、というようなニュースを聞かなかったでしょうか。
 あるいは、食品表示やメニューの表示などの偽装事件があったことは記憶に新しいかもしれません。
 これらの問題解決や説明には様々な法律が関係しますが、独禁法も問題処理の中心となることがある法律です。
 独禁法は、経済法とも呼ばれ、企業の世界では知らなければならない重要な法律ですし、就職活動の面接でも話題となることもあるようです。現在では司法試験の選択科目の一つになっていますので、このような進路を考えている学生さんにとっても勉強してみると面白い法律でしょう。官製談合などというと公務員の方にも関連するかもしれません。それ以外にも身近で発生する数々の問題が独禁法の世界とも関連しているので、講義・演習参加者の皆さんには、この法律やその周辺で起こる様々な事件に興味関心を持ってもらい、知見を深めてもらえればと考えています。
〈他大学ゼミとの交流など〉
 演習では独禁法の下で処理された具体的事件を検村しながら勉強を進めます。コロナ禍拡大前より、他大学のゼミとの交流、飲み会、ゼミ旅行なども活発に行っています。2020年度から2022年度の早稲田大学や立命館大学の経済法ゼミとの交流はコロナ禍の中でも遠隔形式で実施しました。他大学学生との交流の輪は演習参加者にとって貴重な経験になっているようです。ゼミ内での対面でのレクレーションは勉強の場とは違って、ゼミ生同士の人柄を知ることができるという意昧で貴重なので、活発な開催を希望しており、私もできる限り参加してきました。コロナ禍の下で従来通り行えないことが残念ではありますが、いずれは以前と同様に行えるものと確信しています。(写真は、2022年度早稲田大学・立命館大学とのオンライン合同ゼミ時のものです。右の画像が瀬領です。)

学生からみた瀬領ゼミ

 瀬領ゼミでは独占禁止法を中心に経済法という分野を学修します。純粋な「法律論」という側面だけでなく、企業の意思決定に関する問題が題材になります。従って、私の独禁法のイメージは「企業が集まる【市場】を法的視点から見る」法律です。
 ゼミ生は主に事例報告を通じて理解を深めます。実例として判例を題材とし、ゼミ生自身がレジュメを作成し、与えられた持ち時間で発表し議論します。私達の2年次演習では、題材選択から発表の仕方まで発表者が自ら選び取っていくので、各々の創意工夫が発表の場で発揮されています。独禁法に馴染みの無い方が多いと存じますが、先生・TAさんからのアドバイス/レクチャーを受け、ゼミ全体で話し合いながら進めるので、途中で挫折する心配は御座いません。法学部生の皆様に、講義では得られない「法律を論じる、使う」側の感覚を是非味わって頂きたいです。
 ゼミを通じて得られるものとして、学業面での進歩は勿論大きいですが、大学院生や先生、OBの方から個人的にお話を伺える貴重な機会でもあります。進路について考え始めたい方、社会人や大学院生など学部生以外の方との交流に興味が有る方も是非参加をご検討ください。 (2022年度3年次演習 柏﨑健)

プロフィール

 出身は石川県です。同志社入社前の2つの大学での勤務を経て、同志社は3つ目の勤務先となります。趣昧は歴史小説など歴史系の本を読むことです。