同志社大学 法学部・法学研究科

法律学科

遺留分権利者の決定の自由

助教 竹治 ふみ香

竹治 ふみ香
専門分野民法
研究室光塩館314
TEL(075)251-3578
 業績リスト

私の研究

 「遺留分」という制度について、聞いたことがある方もいるかもしれません。遺留分権は、遺産に対する一定割合の額を受ける権利です。民法の定めにより、相続人の一部には遺留分が保障されています。例えば、父親A が死亡し、A が、相続人として二人の子B・C がいるにもかかわらず、自分の財産は全て長男であるB に相続させるという遺言をのこしていた場合、次男C は、遺留分を主張して、Bに対して一定の金額を支払うよう求めることができます。遺留分を主張するかどうかは、遺留分権を有する者(遺留分権利者)自身が決めることができますが、例えばもし、先ほどの例でいう次男C には借金があり、それを返すお金がないとしたら、お金を貸している人としては、遺留分を主張してそのお金で借金を返済してほしい、と思うかもしれません。他方、C としては、自分の兄B が父A の財産を取得するのは妥当であるし、B に財産を譲りたいと考えたA の気持ちも尊重したい、B に金銭を請求したくない、と考えるかもしれません。このようなときに、債権者と遺留分権利者の利益をどのように調整するべきか、というのが、私の研究テーマの典型的なケースです。遺留分の主張という家族に深く関わる事柄について自ら決定する自由はどのように保障されるべきか、検討してきました。その際、遺留分という制度はなぜ認められているのかという観点からも、遺留分権利者の決定の自由を保障すべきかどうかを考えてきました。このテーマについて、議論が蓄積されているドイツ法を研究しています。
 ところで、日本では、平成30年の相続法改正により、遺留分の枠組みについて大きな変更がありました。時代や制度の移り変わりにより遺留分の意義が変わってきたことも、今回の変更の理由の一つであると説明されています。具体的には、かつては「家」の財産を維持するために遺留分が認められていましたが、現在ではその意義は後退し、遺留分は、死亡した者の近親者の生活を保障し、あるいは死亡した者の財産の維持・形成に貢献した相続人の協力を評価することを目的としているため、遺留分によって取り戻すべき対象は、遺贈や贈与などの目的物自体ではなく金銭でよいと指摘され、改正に至りました。遺留分に限らず、家族のあり方は時代によって変遷します。研究にあたっては、こうした動きにも目を向けていきたいと思っています。

講義・演習・小クラスについて

 春学期に「リーガル・リサーチ」、秋学期に「原典講読(ドイツの法と政治)」、「法学」を担当します。
 「リーガル・リサーチ」は、法学部の新入生を対象に行う講義です。教員による講義と、受講生の皆さんによる法律学の報告やレポート作成への取組みを通して、法律学の学び方を身に付けることを目的としています。その中で、法律学の面白さを知ってもらうこと、また、問題の核心はどこにあるのかを探り、必要な資料を集め、様々な価値観を理解したうえで自ら考え、発信する力を付けてもらうことも目指したいと思います。
 「原典講読(ドイツの法と政治)」では、ドイツの法制度についての専門的な文献を講読します。法律文献の読解能力を高めるとともに、ドイツの法制度の仕組みや日本法の特徴について学びます。
 「法学」では、具体的な例をできるだけ多く取り上げ、時事問題にも触れながら、法学に初めて触れる受講生の皆さんにも法的問題を身近に感じてもらえるようにしたいと思います。

プロフィール

 同志社中学校、同志社高等学校、同志社大学法学部を卒業後、同志社大学大学院法学研究科へ進学しました。
人生の半分以上を同志社で過ごしています。