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政治学科

日本の中央-地方関係の研究

教授 市川 喜崇

専門分野 行政学・地方自治
研究室 光塩館425
TEL (075)251-3603
E-mail yichikaw■mail.doshisha.ac.jp
※■は@に置き換えてください。
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教授 市川 喜崇

私の研究

日本の中央–地方関係(中央政府と地方自治体の関係)について研究しています。主に3つの研究課題を追いかけています。
ひとつは、大学院生以来一貫して研究しているテーマで、日本の中央–地方関係の歴史的形成過程です。日本に限らず、欧米諸国でも、20世紀は中央集権化の世紀でした。20世紀に集権化が進行したのは、福祉国家の成立と関係があります。国家が国民に対して等しく最低限度の生活を保障しなければならないとされる現代福祉国家では、居住地の違いによって社会保障の程度が著しく異なることは許されないからです。そのため、中央政府は、様々な分野の社会保障政策に関して最低基準を設け、それを自治体に守らせようとしました。

ところで、ここでひとつ難しい問題があります。それは、英米など19世紀以前にもともと分権的だった国の場合、もともとの分権的性質と、その上に進行した集権化とが鮮やかなコントラストをなすため、20世紀型集権化は比較的観察しやすい現象だったのに対して、日本のように明治以来もともと集権的だった国の場合、その上に折り重なるように20世紀型集権化が進行したため、旧い集権と新しい集権とを分別することが難しく、その結果、20世紀型集権化が見落とされてしまいがちになります。現在でも、「明治以来の集権国家」という言葉をよく耳にします。この言葉自体は決して間違いではないのですが、明治時代の集権体制がそのままの形で現代まで続いているわけではありません。日本の集権体制は、ある時期に大きな変容を遂げて現在に至っています。その変容の過程――それは一見すると福祉国家の成立とは関係なさそうな、かなり複雑な過程をとっているのですが――を探ることを、これまでの研究課題としてきました。
この研究課題に関して、2012年に、『日本の中央–地方関係――現代型集権体制の起源と福祉国家』を出版しています(日本公共政策学会2013年度著作賞受賞)。

第2の研究課題は、最近の地方自治制度改革の政治過程解明です。ここ20年ほどのあいだ、地方分権改革、いわゆる三位一体改革(中央–地方税財政改革)、平成の大合併(市町村合併)などが実現しました。これらがなぜ実現したのか、また誰が改革を推進したのかなどについて研究しています。
第3の研究テーマは道州制です。10数年前から道州制の議論が活発に行われており、(第1次)安倍・福田・麻生の3内閣では首相の所信表明演説で取り上げられ、また、この問題を議論する政府の審議会が設置されました。こうした現実の課題について発言することも行政学者の重要な使命であると考え、雑誌に論文を寄稿したり、学会で報告したりしています。また、参議院の内閣委員会や自民党の政務調査会(道州制調査会)に呼ばれて意見を述べています。
以上について、詳しくは、上記ホームページの「業績」のページをご覧ください。

プロフィール

信州松本生まれ。高校卒業まで主として松本で過ごし、浪人時代と大学・大学院の計12年間を東京で過ごしました。
その後、福島大学の講師・助教授を7年間勤め、2000年4月から同志社大学に勤務しています。