このページの本文へ移動
ページの先頭です
以下、ナビゲーションになります
以下、本文になります

政治学科

政治現象への「科学的」アプローチ

教授 飯田 健

専門分野 政治行動論・政治学方法論
研究室 光塩館308
TEL (075)251-3535
  業績リスト
教授 飯田 健

私の研究

私の専門は政治学の中でも政治行動論といいます。日本語では耳慣れない言葉ですが、英語だとPolitical Behaviorといって、政治学の中でも比較的メジャーな分野です。この分野では、どのようにして有権者は政治的な態度を形成するのか、なぜ有権者は政治に参加するのか、どのようにして投票する候補者/政党を決めるのか、世論や有権者の選挙での投票行動についてデータを使って研究します。これまで私は主に日本の有権者の国政選挙におけ る投票行動を研究してきましたが、近年はその中でも特に 国際政治の状況が日本の有権者の政治的態度と投票行動に与える影響について研究しています。

日本は安全保障をアメリカとの同盟に頼っています。つまり、日米同盟において日本が他国から攻撃された場合、アメリカが共同でその防衛にあたるという取り決めがあることにより、他国による日本への攻撃が抑止されています。かつてはその「約束」がアメリカによって果たされることに関してほとんど疑問はありませんでしたが、近年アメリカの同盟に関するコミットメントに対する信頼を揺らがせる事例が散見されています。万が一日本が他国から攻撃を受けてもアメリカは助けてくれないのではないか―こうした「見捨てられる恐怖」が有権者の安全保障政策に対する選好にどのような影響を与えるのか、見捨てられないようにアメリカへの日本の貢献を増やそうとするのか、見捨てられる可能性を考慮して自力で防衛力を強化しようとするのか、それとも別の大国との同盟関係樹立を志向するのか、 実験やデータの統計分析を用いて実証的に研究しています。

さらに近年、とりわけロシアによるウクライナ侵攻以降、日本の防衛力強化や憲法9条改正を支持する世論が急速に高まっています。こうした有権者の安全保障政策に関する選好の変化がどのように国政選挙における候補者/政党 の投票選択、ひいては選挙結果に繋がるのかについても研究しています。

講義・演習・小クラスについて

講義科目は「社会調査概論」、「政治データ分析」、「政治 行動論」を担当しています。「社会調査概論」では、世論調査結果の解釈、世論調査の実施方法、データを用いて因果関係を検証する方法など政治や社会を理解するうえでのデータリテラシーについて概説的に学びます。「政治データ分析」は実際に自分でデータを統計的に分析する方法を学びます。
「政治行動論」では、代表民主制においてどのようなメカニズムで有権者が政治家をコントロールし、民意が政治に代表されるのか、その理論と実際について学びます。演習科目(ゼミ)では教員の指導の下、学生が自分 の研究に取り組みます。研究は、問いの提示、先行研究の要約と批判、理論の仮説を立て、それをデータで検証することからなります。政治学でデータ分析というと意外な印象を持つ人も思いませんが、卒業後どのような職業に就くかによらず、今後の社会においてデータサイエンスの知識はあるに越したことはありませんから、数学が苦手な人もぜひがんばって取り組んでもらいたいと思います。

プロフィール

1976年、京都市生まれ。1999年同志社大学法学部政治学科卒業。在学中3年次に早稲田大学政治経済学部に第一期生として国内留学。2001年同志社大学大学院アメリカ研究科博士前期課程を修了し、2007年テキサス大学オースティン校大学院政治学博士課程を修了(Ph.D. in Government)。 早稲田大学、神戸大学を経て2013年4月から同志社大学。 趣味というほどのこともありませんが、アメリカの大学のマグカップを集めています。