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政治学科

国際関係の分析と理論

教授 大矢根 聡

専門分野 国際関係論
研究室 光塩館403
TEL (075)251-3598
  業績リスト
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教授 大矢根 聡

私の研究

専門分野は国際関係論ですが、この分野には安全保障上の軋轢、地球環境をめぐる協力、人道的な支援をはじめ、多彩な研究対象が存在します。それらにアメリカや中国、国連やNGOなど、実に多様な主体が関わって複雑な動きを展開しています。私も関心が広い方なので、講義やゼミではそれらを幅広く扱います。ですが、専門的な研究対象は次の3つです。

第一は、グローバル経済をめぐる紛争とその解決過程です。人々が貧困に陥らずに自分らしい生き方を望むなら、経済的安定はひとつの前提になります。それは今日、グローバルな貿易や投資、経済援助などに支えられています。しかし同時に、こうした経済関係を自国に有利になるように歪曲する動きや、経済的な利害や覇権をめぐる対立も顕著です。こうした現象として米中経済紛争、アジアや太平洋の地域協力制度、サミットやWTOの国際交渉などを分析しています。その際、理論を用いて実態を明確化し、それを左右する力学的パターンや要因を特定しようとしています。現象の実態に迫るために、多数の文書・史料を手がかりにし、政策に携わった政府・産業界担当者にインタビューを実施して、新たな事実関係をも発掘します。

第二に、それらの分析に用いる理論自体を検討し、磨き上げています。理論は抽象的で、親しみにくいと思われがちですが、卓越した先人による知的成果を結晶化しているので、やはり美しく、魅力的です。それらを用いた分析には、パズルを解くような面白さがあります。特に国際規範や国際制度、グローバル・ガバナンス、多国間交渉などの理論について、既存の仮説を越えるような仮説を提案し、その確かさを検証しようとしています。

第三には、日本の国際関係論のあり方を再検討しています。学会における役職上、日本の国際関係研究の状況について改めて考え、国内外に示す必要に迫られたのが契機でした。国際関係論は、元来アメリカにおける研究の影響を大きく受けていますが、近年、中国やインドなどで独自の国際関係論を発信する動きが顕著です。日本では歴史研究、地域研究、理論研究が並存し、それらの間に一定の対話がみられます。そこにどのような独自の国際関係論が芽生えているのか。それを明確化し、ひいては発展させられないものか、摸索しています。

講義・演習・小クラスについて

講義や演習では、国際関係論や世界情勢を解説するだけでなく、受講生が自ら考えられるように促しています。そのため「国際関係入門」では、複雑な国際関係を理解する手がかりとして、基本的な専門用語(概念)を体系的に、しかし平易に解説しています。「国際関係理論」では、国際関係を分析する道具として主要な理論を説明し、それを用いれば国際的現象がどのような姿で見えるのか、実例を示します。「国際政治経済論」は、日本外交の展開と結びつけながら、国際的な政治経済の変遷を論じる講義です。

演習では、本格的なディベート、早稲田大学や上智大学などとの合同ゼミ、官庁や国際機関、メディアなどの訪問を取り入れています。受講生が互いに意見を交わし、見聞を広げる中で、自分の考えを磨けるようにするのが狙いです。演習における研究では、受講生が自由にテーマを選びますが、その調査・分析は本格的なものになるように誘導しています。

プロフィール

神戸大学大学院を終えた後、金沢大学などを経て同志社大学に赴任しました。博士(政治学)。大矢根という姓は珍しいようですが、江戸時代に刀職人だった祖先が藩主からもらったもの。実家には当時の刀工房の痕跡があります。趣味は音楽。いつでも、どこでも、ともかく音楽。