同志社大学 法学部・法学研究科

政治学科

EU離脱の行方

教授 力久 昌幸

教授 力久 昌幸
専門分野現代イギリス政治
研究室光塩館521
TEL(075)251-3315
 業績リスト

私の研究

 イギリスとアイルランドを中心として,ヨーロッパの現代政治に関心を持っています。
 さて,イギリスとアイルランドの政治について,近年大きな関心を集めているのがイギリスのEU 離脱です。2016年の国民投票でEU 離脱が決まり,2019年3月末にはイギリスはEU から離脱している「はず」です。ちなみに,この文章を書いているのは2018年末ですので,イギリスのEU 離脱が本当に実現するのかどうかはわかっていません。
 EU 離脱予定日が3 ヶ月後に迫った2018年末の時点で,イギリスがEU からどのような形で離脱するのかという離脱の形式だけでなく,そもそも離脱するのかどうかという基本的な点まで不透明になっていたのはなぜでしょうか。それは,国民投票では離脱に賛成が52%,反対が48% と国論が二分されていたのですが,その後のEU 離脱交渉が難航する中で,EU との関係をなるべく密接に保つ「穏健な離脱(Soft Brexit)」を求める人々と,主権を取り戻すためにEU との関係が疎遠になってもかまわないとする「強硬な離脱(Hard Brexit)」を求める人々の対立が深まっていたからです。また,離脱交渉が困難を極めたことから,国民投票をやり直してEU に残留すべきだという声も見られるようになりました。
 2019年3月末に何らかの形でEU 離脱が実現したとしても,それでこの問題に決着がつくわけではありません。「穏健な離脱」になろうが,「強硬な離脱」になろうが,あるいは折衷案として「中間的な離脱」になろうが,離脱の形式をめぐってイギリス国内の議論が収束するとは思われません。
 また,国民投票において,離脱多数となったイギリス全体の投票結果とは異なり,かなりの割合で残留多数となったスコットランドと北アイルランドの動向が注目されます。EU 離脱により,イギリスからの分離独立を求めるスコットランド・ナショナリズムがさらに勢いづくのでしょうか。また,北アイルランドにおいて,アイルランド共和国との南北統一を求めるアイルランド・ナショナリズムが台頭するのでしょうか。EU 離脱はイギリスの国家的一体性を揺るがす可能性をはらんでいることから,今後も注目していきたいと思います。

講義・演習・小クラスについて

 2019年度の講義は,「比較政治」,「近代ヨーロッパ政治史」,「現代ヨーロッパ政治史」を担当します。「比較政治」では,主としてヨーロッパ諸国の政党と政党システムに焦点をあてて比較検討を行います。「近代ヨーロッパ政治史」では,19世紀から20世紀前半にかけての近代イギリス政治を中心に,当時のヨーロッパや世界の政治経済状況を踏まえつつ概観します。「現代ヨーロッパ政治史」では,第二次世界大戦以降のイギリス政治について,内政・外交のさまざまな側面から検討します。演習では,イギリスおよびその他のヨーロッパ諸国,そして,EU などの動きに焦点をあてて,ヨーロッパ政治の現状を分析します。なお,演習では受講者全員にゼミ論文を書いてもらいます。ゼミ論文の執筆は骨が折れる作業ですが,社会人になって活用できる論理的思考力を身につけるうえで大きな意味があると思います。

プロフィール

 福岡県出身です。京都大学大学院法学研究科修了後,北九州市立大学法学部を経て,2005年に同志社大学法学部の一員となりました。さて,みなさんの中で2016年の大河ドラマ「真田丸」を覚えている人がいるでしょうか。実は,私の下の名前「昌幸」は,「真田丸」の主人公の父親「真田昌幸」にあやかって付けられたと聞いています。そのため,「真田丸」を毎週楽しみにしていたのですが,いつか真田氏発祥の地である長野県上田市を訪れてみたいと思っていました。大河ドラマから2年経った昨年,ようやく念願叶って上田城や真田の郷を訪ねました。上田城で真田の陣羽織を着て記念写真を撮ったのですが,真田ではない「昌幸」にも似合っているでしょうか。