同志社大学 法学部・法学研究科

政治学科

EU離脱の行方

教授 力久 昌幸

教授 力久 昌幸
専門分野現代イギリス政治
研究室光塩館521
TEL(075)251-3315
 業績リスト

私の研究

 イギリスとアイルランドを中心として,ヨーロッパの現代政治に関心を持っています。
 さて,私がここ数年注目しているのが,イギリスのEU離脱問題です。2016年の国民投票でEU からの離脱が多数を占めたのですが,その結果を受けてイギリスはすぐにEU から離脱したわけではなく,離脱をめぐるEU との交渉が難航する一方,イギリスの議会は離脱協定に対してなかなか承認を与えませんでした。その結果,イギリスの政治は国民投票から3年以上も混迷してきたのです。
 混迷の一因は,2017年の総選挙において,テリーザ・メイ首相の保守党が過半数議席を喪失したことにあります。与党が過半数を失ったことにより,EU との間で離脱協定に合意したとしても,それに対する議会の承認を得るのが難しくなったのです。メイ首相がEU との困難な交渉を経て合意に至った離脱協定は,議会において一度ならず三度にわたって否決されました。そして,当初2019年3月末となっていた離脱期限は10月末まで延長されたのですが,それまでに離脱を達成できなかったことから,再度2020年1月末まで延長されました。
 イギリスが三度目の正直でEU 離脱を達成できるかどうかは,2019年12月の総選挙の結果次第となりました。離脱を実現できなかったメイ首相は辞任しましたが,後任首相のボリス・ジョンソンが1月末までの離脱期限を守るためには,総選挙で保守党が過半数議席を確保しなければならなくなったのです。
 ちなみに,この文章を書いているのは2019年末ですので,イギリスのEU 離脱が2020年1月末に実現するかどうかはわかっていません(※総選挙での保守党勝利により、EU 離脱が確定しました)。注意すべきなのは,離脱が実現したとしても,いわゆる「合意なき離脱」の危険は残っているということです。なぜなら,離脱から1年弱ほどの期間で,イギリスとEU の間で今後の経済関係を規定する協定を締結することになっているのですが,この協定について合意に至らなければ,大きな混乱がもたらされるからです。
 イギリスとヨーロッパの関係を大きく左右すると思われるEU 離脱の問題について,これからも注目していきたい
と思います。

講義・演習・小クラスについて

 講義については,「比較政治」,「近代ヨーロッパ政治史」,「現代ヨーロッパ政治史」を担当します。「比較政治」では,主としてヨーロッパ諸国の政党と政党システムに注目して比較検討を行います。「近代ヨーロッパ政治史」では,19世紀から20世紀前半にかけての近代イギリス政治を中心に,当時のヨーロッパや世界の政治経済状況を踏まえつつ概観します。「現代ヨーロッパ政治史」では,戦後のイギリス政治について検討しますが,特にEU離脱問題などイギリスとヨーロッパの関係に焦点を合わせて考えます。演習では,イギリスおよびその他のヨーロッパ諸国,そして,EU などの動きを中心に,ヨーロッパ政治の現状を分析します。なお,演習受講者には全員ゼミ論文を書いてもらいます。ゼミ論文の執筆は骨が折れる作業ですが,社会人になって活用できる論理的思考力を身につけるうえで大きな意味があると思います。

プロフィール

 福岡県出身です。京都大学大学院法学研究科修了後,北九州市立大学法学部を経て,2005年に同志社大学法学部の一員となりました。さて,今年のネットワーク法学部では結婚式の写真を使いました。といっても私の結婚式ではなく,卒業生の結婚式での写真です。法学部では,学生時代に仲良くなったカップルが,卒業後に結婚するケースが少なくないようです。ちなみに,この写真は,学部ではなく大学院を修了したカップルの結婚式で,新郎新婦がお色直しのため席を外したときに撮りました。みなさんの将来のパートナーも,もしかすると講義やゼミを一緒に受講しているかもしれませんね。