同志社大学 法学部・法学研究科

政治学科

ブレグジットと領域政治

教授 力久 昌幸

教授 力久 昌幸
専門分野現代イギリス政治
研究室光塩館521
TEL(075)251-3315
 業績リスト

私の研究

 イギリスとアイルランドを中心として,ヨーロッパの現代政治に関心を持っています。
 さて,ご存知の人も多いと思いますが,2016年に行われたイギリスの国民投票でEUからの離脱が多数となったことで,2020年1月31日にブレグジットが実現しました。なお,ブレグジットというのは,イギリス(Britain)と離脱(Exit)を組み合わせた合成語で,イギリスのEUからの離脱のことを指します。
 ブレグジットはイギリスおよびEU諸国の政治,経済,社会に大きな衝撃をもたらすことになると思われますが,2020年12月末までは「移行期間」が設定されていたので,離脱後もしばらくはEU加盟時と同様の状況が続くことになりました。しかし,移行期間終了後の2021年1月以降は,イギリスとEUの関係がかなり疎遠になると予想されていたことから,ブレグジットのインパクトが次第に明らかになっていくと思われます。
 ちなみに,この文章を書いているのは2020年末ですので,移行期間終了後にイギリスとEUの新たな関係の基盤となる包括協定が合意されるのか,あるいは,「合意なき離脱」になるのかはわかっていません。しかし,いずれにせよ,イギリスとEUの関係は以前までのものとは大きく異なることになるはずです。
 ブレグジットの衝撃でイギリスという国が今後,大きく変わる可能性があるわけですが,私が特に関心を持っているのが領域政治に対するブレグジットの影響です。イギリスという国の特徴の一つは,イングランド,スコットランド,ウェールズ,北アイルランドという四つの領域によって構成される連合国家であるという点です。この四つの領域の連合が,ブレグジットによって動揺を見せ始めています。特に,2016年の国民投票でEUへの残留票が圧倒的多数を占めたスコットランドでは,イギリスから離れてEUへ接近しようとする分離独立の動きが活発になっているようです。
 はたしてイギリスは,ブレグジット後も引き続き一つの国家として存続することができるのか,それとも国家解体の道を歩むことになるのか,領域政治の今後の展開について注目していきたいと思っています。

講義・演習・小クラスについて

 講義については,「比較政治」,「近代ヨーロッパ政治史」,「現代ヨーロッパ政治史」を担当します。「比較政治」では,主としてヨーロッパ諸国の政党と政党システムに注目して比較検討を行います。「近代ヨーロッパ政治史」では,19世紀から20世紀前半にかけての近代イギリス政治を中心に,当時のヨーロッパや世界の政治経済状況を踏まえつつ概観します。「現代ヨーロッパ政治史」では,戦後のイギリス政治について検討しますが,特にブレグジットなどイギリスとヨーロッパの関係に焦点を合わせて見ていきます。演習では,イギリスおよびその他のヨーロッパ諸国,そして,EU などの動きを中心に,ヨーロッパ政治の現状を分析します。なお,演習受講者には全員ゼミ論文を書いてもらいます。ゼミ論文の執筆は骨が折れる作業ですが,社会人になって活用できる論理的思考力を身につけるうえで大きな意味があると思います。

プロフィール

 福岡県出身です。京都大学大学院法学研究科修了後,北九州市立大学法学部を経て,2005年に同志社大学法学部の一員となりました。さて,昨年度(2020年度)は新型コロナウイルスの感染拡大で授業がネットを通じて行われるなど,感染症に振り回された1年となりましたね。私は毎年のように仕事か休暇でイギリスあるいは他のヨーロッパ諸国を訪問していたのですが,昨年度はそれがかないませんでした。昨年末からイギリスをはじめとしてワクチン接種が始まりましたが,ワクチンが効果を発揮して感染を心配することなく海外に行けるようになるといいですね。