同志社大学 法学部・法学研究科

政治学科

EUにおける変化と現状維持の力学

助教 佐竹 壮一郎

佐竹 壮一郎
専門分野現代ヨーロッパ政治
研究室光塩館314
TEL(075)251-3578
E-mailssatake■mail.doshisha.ac.jp
※■は@に置き換えてください。

私の研究

 私の専門分野は現代ヨーロッパ政治、特にEUの動向に関心をもっています。現在27カ国からなるEUは、しばしば国家でも国際機関でもない「独特な」政体と評されてきました。現在の研究課題は、こうしたモヤモヤした存在であるEUにおける変化と現状維持の力学を捉えることです。具体的には次の3つのテーマを掲げています。
 1つ目はEUにおけるEU市民の政治参加についてです。かねてより、EUでは政治家や官僚などの政治的エリートが統合を進めた一方、EU市民がその動向に与える影響は限定的でした。ところが、1990年代に入ると、蚊帳の外にいたはずの人々の選択により統合のゆくえが左右され始めました。この動きに対し、EUではEU市民の不満を吸収するかのような政策が展開されてきました。しかし、EUはすべての人々の声を反映する機械ではありません。では、EUはどのように市民の声を聴き、どのような「解決策」を提示しているのでしょうか。こうしたEUにおける政治参加の特徴と課題について研究を進めています。
 2つ目はEUにおける境界線をめぐる問題です。欧州統合は様々な境界線を薄める過程でもありました。例えば、ヨーロッパを観光すると「気づけば国境を越えていた」という経験はないでしょうか。これは国境管理を忘れているのではなく、「シェンゲン協定」と呼ばれる合意に基づくものです。また、「ユーロ」と呼ばれる通貨がEUの加盟国の内19カ国で使われています。この共通通貨により、人々は為替レートを意識することなく買い物をしています。さらに、21世紀に入るとEUは東欧への拡大を果たしました。こうしてみると境界線はずいぶんと薄く感じられますが、統合はその線引きを抹消するものではなく、新しい区分を生じさせることもあります。つまり、統合と境界線の形成は必ずしも相反するものではありません。そこで、この両者の結びつきを描いていくことを目指しています。
 3つ目は象徴としての「ヨーロッパ」についてです。一方では、EUは加盟国の様々な利害を調整する場だといえます。他方、1つの「ヨーロッパらしさ」を構築する動きもEUでは見られます。例えば、平和や民主主義、法の支配、平等などと紐づける形で「ヨーロッパ」は登場しています。ところが、EU内部における価値観のバラツキが現在問題となっています。また、「ヨーロッパ人」としてのアイデンティティがEU全体で十分に浸透しているわけではありません。そもそも条約上でも、EU 市民権が加盟国の市民権に取って代わるとは記されていません。こうした象徴としての「ヨーロッパ」の不透明性を分析することが今後の研究課題です。

講義・演習・小クラスについて

 今年度は「政治学入門」、「政治学基礎A・B」、「政治学」(全学共通教養教育科目)を中心に担当します。「政治学入門」および「政治学基礎A・B」では、大学生に求められる基礎知識・技能の習熟を目指します。2年生より始まるゼミはもちろんのこと、社会人として求められるアウトプットを意識した講義を実施します。「政治学」では、現代ヨーロッパから捉える政治を軸に据えた講義を行います。

プロフィール

 1995年生まれ、石川県出身。日本大学法学部政治経済学科卒業。学部生時のオーフス大学(デンマーク)への交換留学を通じてEU政治の魅力に触れる。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(政治学)。日本学術振興会特別研究員を経て、2022年4月同志社大学法学部助教に着任。