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政治学科

東南アジアの開発と民主主義

教授 鈴木 絢女

専門分野 東南アジア政治研究
研究室 光塩館512
TEL (075)251-3388
  業績リスト
准教授 鈴木 絢女

私の研究

東南アジア諸国の政治体制:国民国家としての歴史が短く、国内に異なる宗教や民族グループが併在し、急速な経済成長にともなう社会構造の変化や分配をめぐる闘争を経験し、しかも自由や寛容といった価値を内面化する十分な時間を持たなかった若い政治共同体が、いかに暴力を回避しながら民主的に意思決定することができるのか。このような問題意識から、東南アジアにおける政治体制とその持続や変容について研究しています。これまでは、長期政権、民族間の暴力の不在、議会や選挙などの民主的制度の継続と政治的自由の部分的制限によって特徴付けられるマレーシアの政治体制を主に研究してきました。最近は他のASEAN諸国も視野に入れた比較研究をしています。

財政と民主主義:ASEAN諸国のなかでも、政治的安定を達成し、かつ経済開発に成功したとされる国々で、政府財政支出が膨張しています。長期政権のもと、政府が経済において大きな役割を果たすこれらの国々において、なぜ財政支出が拡大し、また、政府債務が増えていくのか。このような切り口から、東南アジア(長期的には、東アジア)の「民主的開発志向国家」について、新しい見方を提示することを目指しています。

東南アジアの国家建設と国際政治: アメリカ、中国、日本、ヨーロッパ旧宗主国の資本、技術、軍事支援等が、東南アジア各国の政府機関の整備や経済・外交政策の形成にどのような影響を与えたのか、また、一部集団の権益や権力をどのように生産・再生産したかに関心があります。独立前夜以降の各国のナショナリストと大国との関係を紐解き、国際秩序と国内秩序の連関を描き出したいと考えています。

講義・演習・小クラスについて

学部2年生以上を対象とした「国際開発協力論」では、国際社会における開発概念の変遷、経済成長のメカニズム、貧困と不平等、開発における国家や国際組織の役割について、理論と事例をふまえながら学びます。

学部3年生以上を対象とした「東南アジア地域研究」は、世界史のなかの東南アジアの位置づけを学んだうえで、各国史を吟味します。各国で権力を握るアクターが誰で、どのようなゲームのルールが作られているのか、そしてそのなかで人々がどのような生き方をしているのかを、様々な資料を用いながらできるだけ現地の視点に近づいて理解することを目指します。そのうえで、この地域とつながりを持つ日本の関わりについて考えます。

学部3年および大学院合同の「国際関係論特殊講義:東アジアの開発と民主主義」では、東アジア各国の経済・社会開発と政治体制の連関を、事例研究を通じて明らかにします。この授業は、すべて英語で行われます。また、社会経済統計の記述・解釈スキルの向上も目指します。

2-4年次演習では、東南アジア地域に関する学術論文の講読やグループワークによるシナリオ・プラニング、エッセイ執筆を通じて、東南アジア地域に関する理解を深めるとともに、読む、書く、伝える、共同するといったアカデミック・スキルの向上をめざします。

プロフィール

1977年横浜生まれ。
慶應義塾大学法学部卒業後、ロック・バンドに打ち込みすぎた学部生時代への反省から東京大学大学院総合文化研究科修士課程に入学。思いがけず国際関係論の奥深さに触れ、2008年に博士(学術)取得。日本学術振興会特別研究員、マレーシア国立マラヤ大学ポスドク・フェローの後、仕事(とドライブと山登り)三昧の福岡女子大学講師時代を経て、2014年度より同志社大学法学部所属。