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公務員をめざすあなたへ

「公務員」の道へ進んだ卒業生から皆さんへ

国家公務員

身近な人の明日を守る仕事
(国家公務員総合職厚生労働省・2021年3月法学研究科公法学専攻博士課程前期課程修了)

この仕事を選んだ理由
 中学生のころ、母が障害を、兄が癌を患ったことをきっかけに、「健康」というものがかけがえのないものであると痛感しました。元気に仕事や学校に行き、家族と食卓を囲む。そんな毎日は決してあたりまえではないと気づかされた経験でした。
 どんな人も生きていく中で、あらゆる困難に直面します。就職、結婚、子育て、病気、介護。様々な困難を抱える人たちが、それでも可能な限り普通の生活ができる社会を作りたい、そのために、人の一生に密着した制度と法令を作ることができる厚生労働省で働きたいと思いました。

実際に仕事をしてみて
 現在2年目の職員です。昨年度は、コロナワクチンの確保や医療機関の支援を行う予算を確保するため、3次補正予算の根拠となる閣議決定文書を関係省庁と調整して作成しました。また被爆者援護法施行令の改正も行いました。
 現在は、新型コロナウイルス感染症対策推進本部というコロナ対策の心臓部署で、感染症法・検疫法・酒類提供の停止やカラオケ施設の使用停止の告示など、最も世間の関心が高い法令を担当しています。自治体やメディアから照会を受け、自分の仕事が新聞1面やヤフートップに載ることもしばしばです。社会を動かしている実感、社会からの強い期待、待っている人がそこにいる感覚を味わいながら日々仕事をしています。

国家公務員を就職先に考えている皆さんへ
 1980年代までの日本は、「女性は結婚したら退職」、「女性は25歳で定年退職」などと企業の就業規則に堂々と書かれていた時代です。いまを生きる皆様はいかがでしょうか。令和の女性は、大学に通い、就職をし、結婚後も出産後も仕事を続けるという選択肢を選んでも、珍しくないという評価を受ける時代です。この40年余りでこれほど社会の常識が変わったのは、労働省(現在の厚生労働省)が中心となり男女雇用機会均等法や、あらゆる制度を作り、それに伴い社会が少しずつ変わっていったからです。
 このように国家公務員という仕事は、法令、予算、税制のような、国だからこそ持てる政策ツールを使い、少しずつですが社会をいい方向に導くことができる仕事です。ぜひ門を叩いてみてください。

ここがロードス島だ。ここで飛べ!
(国家公務員総合職文部科学省・2014年3月法学部法律学科卒業)

 「あなたの夢が実現された時、あなたは誰かを幸せにすることができるだろうか。」これは、私が4回生の時、国家公務員に内定した際に、ネットワーク法学部2014に寄稿した文章の一節である。この志を抱き、国家公務員として勤務して7年になる。経済産業省は、通商・対外政策、未来投資の促進、地域・中小企業政策、エネルギー政策、福島の復興等これらの課題に対して、日本の産業界を巻き込みながら、法律、税制、予算、経済連携等を組み合わせて社会システムをデザインし、実行に移すことができる組織であり、やりがいは多岐にわたる。
 さて、今回は読者に伝えたいことがある。学生時代の4年間というのは、人生においても本当に貴重な時間である。そんな環境の中で過ごす学生諸君に対して私が申し上げたいのは、「環境に責任転嫁せずに、目の前の現実に対して全力で立ち向かえ!」ということである。
 イソップの童話に、「ほら吹き男の物語」がある。その中で、「ここがロードス島だ。ここで飛べ」という言葉が出てくる。ロードス島というのはギリシャの島の名前で、ほら吹きの男が「ロードス島で行われた大会で凄い記録を出した。ロードス島に行けば誰でも知っているから聞いてみるがいい。」と自慢をしていた(もちろんこれは嘘)が、その話を聞いていた一人の男が「ここがロードス島だ。ここで飛べ」と、そのほら吹きの男に求めると、もともと飛ぶことなどできないので、その男は大いに困惑をした、という童話がある。
 これは、環境に責任転嫁しないで、自助努力を求める格言であるが、私が学生諸君に申し上げたいのも、「ここがロードス島だ。ここで飛べ」ということである。
 学生諸君が今まさに置かれている環境(大学、サークル、アルバイト等)というのは、自分の責任で選んだロードス島である。ここで飛べない人間が、別の島に行って大きく飛べるとは、およそ思えない。
 自らの責任で選んだロードス島において、目の前の事に全力で取り組み、それぞれの島で大きく飛躍してみてほしい。

自分と共鳴した国家公務員という仕事
(国家公務員総合職厚生労働省・2018年3月法学部政治学科卒業)

この仕事を選んだ理由
 「生涯を通して、自分が大切にしたいことは何だろう。」これが、私の就職活動の軸でした。昔からトラブルがあれば、放っておけない性格で子供のころはしょっちゅう友達の喧嘩の仲裁に入り煙たがられることもありました。自分の過去を振り返った時、困った人を助けることを仕事にしたいと思うようになりました。
 私が今、働いている厚生労働省の所管する業務は悪質な労働環境を是正する監督業務や、失業した人を応援したり育児や介護と仕事を両立する各種保険制度の運用、老後の生活を支える年金制度や、 必要な人が医療サービスを受けられる制度など、人をまさにゆりかごから墓場まで支えるものです。そのどれもが、人生の色々な局面で、困っている人、助けを必要としている人のためになるところに惹かれて私この仕事を選びました。

実際に仕事をしてみて
 国家公務員総合職のメインとなる仕事は法制度のチェックをし、問題がある場合や、より世のためになる制度にするためにその手当をすることです。行政機関は法律の改正やその解釈に強い影響力を持っていることを大学で学び、その手段としては、法律や政省令の改正、文書の発出など様々なものがあることを知りましたが、制度を変更するには、本当に多くの関係者に事前に説明し、納得してもらう必要があります。また、法律の改正など、手段のレベルが高くなるほど、踏まなければならないプロセスも増えます。仕事の中で、なかなか納得してもらえないこと、スケジュール通りに仕事が進まず、大変な思いをすることも多いです。そんな時に原動力になるのは、やはり、この仕事が達成されればいかに多くの人が幸せになるか考えることです。自分の仕事の価値、効果があると自分自身で認識できるからこそ、頑張れるのだと思っています。

国家公務員を就職先として考えている皆さんへ
  私はどの仕事も価値がありその価値は多様だと思っています。しかし、これだけは言えるのが、どの仕事でも大変なこと、苦労することがあるということです。そんな時自分の仕事の意味や価値を信じられるか、色々な価値がある中で、自分が共鳴できるか否かが重要だと思います。
 国家公務員と一口に言っても様々な仕事があります。また、民間企業にも実に多くの価値を持つ仕事があります。皆さんには、これまでの自分を振り返り、視野を広く持ってどの仕事に自分が共鳴できるかを考えてみて欲しいと思っています。今は大変な時期だと思いますが、しっかり悩んで、自分自身を見極めて下さい。応援しています。

地方公務員

法学部で身につけてほしいこと(佐賀県庁、2016年3月法学部研究科公法学専攻博士課程前期課程修了)

 私は「地元の発展に貢献できる仕事がしたい!」との想いから佐賀県庁に入庁し、現在は総務部の法務私学課という部署で働いています。具体的な仕事内容は、県の条例・規則などの法制審査、県に関わる法的問題への対応の助言や弁護士への法律相談支援、訴訟対応などです。県に関わる法的問題を事前に予防し、解決するプロセスに、微力ながら自分の法的知識を活かして貢献できることにやりがいを感じています。このような仕事に携わる中で感じた、地方公務員を目指す皆さんにぜひ意識してほしいことを2つお伝えします。
 1 つ目は、憲法・民法・行政法の重要性です。私が県に関わる法的問題への対応を考えるにあたり、そのベースとするのは多くの場合この3科目の基礎知識です。その基礎知識の大部分を法学部の授業等で学ぶことができたのは大きかったです。この3 科目は公務員試験の合否の鍵も握っていますので、ぜひ在学中から力を入れて勉強することをお勧めします。
 2つ目は、自ら積極的に学び、わからないことは率先的に調べる姿勢です。公務員は、法令に基づき、法令に従って仕事をすることが基本です。違法行政とならないように、根拠法令の条文はもちろん、その法令の解説書や国から発出された通知、裁判例の判決文などの関連資料を読んだうえで、どのように法令を解釈・適用すべきかを考えながら慎重に仕事を進めていくことになります。日頃から丁寧に条文を読み、わからなければ参考書や裁判例、論文などを調べる姿勢を学生時代のうちに身につけておけば、就職した後の大きなアドバンテージになるでしょう。
 地方分権が進み、地方自治体の権限と裁量が徐々に拡大するにつれ、これからますます法に強い職員が求められていくはずです。法学部出身である強みを活かし、地方自治体に求められる職員になれるようお互い頑張りましょう。皆さんの大学生活が充実したものとなりますよう心よりお祈り申し上げます。

皆さんに伝えたいこと(北九州市役所、2009年3月法学部法律学科卒業)

 コロナ禍が続く中で、皆さんも色々と思うところがあるかと思います。私は大学院修了後、地方公務員として働いていますが、直接対応する部署ではないとはいえ、やはりコロナの影響が業務の端々に出ています。
 さて、どのような形であれ、大学生として生活をしている皆さんに是非お伝えしたいことがあります。それは、日々の講義を大切にしてほしいということです。高校時代から一気に増える自由度に、やりたいことも多いことでしょう。逆に、何もしたくないという場合も、またあるでしょう。アルバイトに旅行に、勿論、そういった時間も大事です。私自身、講義に出席こそしていましたが、熱心だったかと問われると目を逸らしたくなります。大学院に進んでからは、比較的勉強していたとは思いますが、正直なところ学部時代はそれほどでもなく、今思うと申し訳ない限りです。そんな体たらくでしたが、それでも今働き始めて思うことは、大半の社会人と同じ、もっと学生時代に勉強しておけばよかった、なのです。
 私の場合、特に民法です。行政に携わる以上、法律は必須です。法学部出身者の利点の一つに、条文に抵抗がないことが挙げられます。周囲から、よく読み方がわからない、読みにくいという声を聞くのです。業務で関わる法律は部署によって様々ですし、時には条例規則の改正等に携わることもあります。例えば「又は」と「若しくは」の使い分け等の決まりに慣れていることは、そういった場合に役に立ちます。そして、なぜあえて民法なのかというと、やはり基本だから、これに尽きます。特別法に基づいて業務を遂行する中で、民法に立ち返らなければなら
ないことがどれほど多いことか。その度に、教授方がいらっしゃって、多くの文献が備えられている学生時代に勉強をおざなりにしていたことを悔やんでいます。講義をもっときちんと聞いておくのだったとも。
 環境の整っている大学にいる皆さん、就職後のこういった後悔を少なくするためにも、せめて講義をしっかり受けることをお勧めします。

全力を尽くす(熊本県庁、2019年卒法学部法律学科)

 私は今年の4月から熊本県商工観光労働部の産業支援課というところで働いています。
 地場の中小企業の経営指導や起業支援、設備投資の補助金などを扱う部署で、日常的に企業の経営者と話し、新事業の方針を聞き、生の声を感じられる職場にワクワクしながら過ごしています。逆に県の施策と企業が求める施策とのギャップを感じることもありますが、どうすればその差を埋められるか考えることも、県民視点で考えるという理想の職員像に近づくための勉強だと思って、日々奮闘しているところです。
実は私は元々別の資格試験に合格することを目標にしていましたが、3回生の10月に公務員試験の受験に切り替えました。独学というのもあり、今までで感じたことのない程の不安と焦りで潰されそうだったのをよく覚えています。
 そんな私が、当日自信を持って試験に臨めた1番の理由は、主観的にではなく客観的に全力を尽くせたからです。何時間も頑張った。毎日勉強した。これは主観的な全力で、本気で受かりたいと思っている人は大抵やっているものです。過去問を分析して自分の弱点を潰せているか。不安に負けそうな時も、いつも通り自習室に行き変わらぬテンションで勉強できているか。いつもそこを意識していました。そして1時間単位で刻んだスケジュール帳にどの教科をどれほど勉強をしたかと1日を振り返った一言を毎日書きました。おかげで試験の前日に見返して自分は確実に力をつけたと自信を持って当日試験に臨めたのです。
 偉そうに書きましたが、精一杯努力したことがこれからどんな困難でも乗り越えられるという自負に繋がっています。
 勉強に取り組む姿勢の1つとして皆さんの役に立てればと思います。