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企業、メディアをめざすあなたへ
「企業」「メディア」の道へ進んだ卒業生から皆さんへ
企業
悩みながらも前へ進もう!(株式会社島津製作所・2015年3月法学研究科私法学専攻博士課程前期課程修了)
修了後の進路2015年4月に大学院を修了後、物流会社に入社し8年間働いた後、転職活動を経て、現在は島津製作所の法務部に所属をしています。
物流会社では、人事部で労務管理や採用などの仕事を3年経験したのち、法務部へ異動。法務部では約5年間、契約書チェックや紛争トラブル対応、新サービスの規約作成、法務教育な どの業務を経験しました。そして、転職後も契約書チェックや法務教育など、同様の法務業務を行っています。ただ、契約書チェック業務ひとつとってみても、B to C 企業からB to B 企業へ の転職だったこともあり、契約書の種類や、検討すべきリスクが前職とは異なるため、日々新たなことを学ぶ姿勢で仕事に取り組んでいます。
大学院への進学
学部時代、私は、様々な法律を学ぶことが新鮮で楽しいと感じていました。そして、早期卒業で大学院へ進むかを選択する際には、進学をするか・就活をするか悩みましたが、もう少し 専門的に法律の勉強を続けたいと考え、大学院へ進学することを決めました。大学院では、自分の専攻する法律以外の分野についても調べて発表する機会があり、専門的なテーマに苦戦す ることもありましたが、調べ考え抜く力、考えた事柄を表現する力が身についたと思います。 この力は、どのような企業・仕事内容においても役立つ力であると、転職を経験して、改めて感じています。
企業をめざす皆さんへ
大学生活は、勉強・バイト・サークルなど、やることも多く、何に重きを置いて学生生活を過ごすのかは人ぞれぞれです。その分、いま自分が何をすべきなのか、何をしたいのか、悩む こともあると思います。悩み抜いて出した答えでも、それで良かったのか不安になることもあると思います。しかしながら、その時々で自分が最善と思うことを選択し、その選択に対して一生懸命・誠実に取り組んでいくことが、必ず 自分の「力・自信」に繋がっていきます。私自身、大学院へ進むか、転職をするか、その時々で沢山悩みつつも進んできました。その経験の積み重ねが、今では自信になっていると感じていま す。
貴重な学生生活、悩みながらも失敗を恐れず色々な経験をして、様々な人と出会ってみてください。皆さんの学生生活が充実したものとなることを願っています!
繋がりは後から見えてくる。まずはやってみよう。(株式会社日立ビルシステム・2012年3月法学研究科私法学専攻博士前期課程修了)
1.修了後の進路2012年3月に法学研究科を修了後、株式会社日立製作所に入社し、組織再編を経て、現在は、同社の子会社である株式会社日立ビルシステムの法務部門に所属しています。担当業務は、契約書チェック・法律相談といった法務業務や、訴訟・トラブル対応業務に加え、社内規則や印章管理といった文書業務など、幅広く対応しています。
2.学部から大学院へ
興味があることを探求することが好きだった私は、学部生の時に学内論文集への投稿に挑戦しました。調べた事柄を自身で分析・考察することや、それを文章で説明することの難しさを痛感しましたが、それ以上の達成感を得ることができました。そして、もっと発展的に研究を深めていきたいと思ったため、大学院へ進学しました。
大学院では、じっくり探求する時間もありつつ、様々な分野を専攻する方々と議論する機会も多く、学部とは違う刺激を受けながら、充実した日々を過ごすことができました。
そして、大学院での研究を進めていくうちに、自分が学んでいることは、実際のビジネスでどのように活用されているのかという点に興味が沸き、企業法務という進路を選択しました。
3.皆さんへのメッセージ
「貪欲に取り組んだ物事は、一見関係のないように思えてもどこかで結びつき、その繋がりは後から見えてくる」。皆さんにお伝えしたいのはこの点です。
私は、上述のとおり、学部の時点では企業法務への関心は強くなく、単純に研究したいという気持ちが勝っていました。しかし、結果的に、やりたいことを追求し、大学院に進学したからこそ、今の進路を選択することができました。
皆さんにも、興味があることがあれば、可能性を狭めることなく、どんどん挑戦してほしいと思います。それは勉強に限らず、アルバイト、サークル、趣味と何でも構いません。そこで得た経験や人との出会いは、その時はどのように役に立つか分からなくても、進路を決める上で必ず糧となりますし、思いも寄らないきっかけになるかもしれません。
大学生活を満喫しながら、皆さんが自分に適した仕事を見つけることができますよう、応援しています。
正しい答えよりも正しい問いを(イー・ガーディアン株式会社・2019年3月法学部政治学科卒業)
私は2019年3月に政治学科を卒業し、現在はイー・ガーディアン株式会社にて日英韓のローカライズ業務を担当しています。日本、韓国、そして英語圏で制作されたゲームを世界中のユーザーに楽しんでいただけるよう、言葉を翻訳する作業を行っています。ゲームの世界観に沿いながらも、その国の文化や習慣、背景を踏まえた上での翻訳が求められている為、新しい語彙だけでなく、世界の風習や特徴を知ることも多く、社会人へとステップアップした今でも、日々学習する姿勢は変わっていません。
1年生の春、論文を書くにあたり「問い」と「仮説」を立てることの重要性を学びました。特に「問い」を立てることについては、物事の意味を明確にしたり、好奇心を呼び起こしてくれる為、社会人になった今でも、私の行動指標の一つになっています。
学生時代は自身への「問い」に従い、心が惹かれたものには何でも挑戦することを心掛けていました。韓国への短期留学や、アカペラサークルでの活動、そして高校時代から興味があった国際政治学の専攻など、視野が広がるだろうと考えていたものについては、全力で追究していました。その結果、入学当初に比べると、遥かに視野が広がったように思います。
2020年は、誰もが想像できなかった事態が世界中を襲い、大きな混乱が生じた一年となりました。思うように動くことができずにいた皆さんの中には、見えない不安と戦っていた方もいるかと思います。ですが、今取り組んでいることで損をしていることは何一つありませんし、成功だけでなく失敗も含めて、全て経験と知識に繋がる大切な糧です。どこかの瞬間で、「やっててよかった」と心の底から思うことがきっとありますので、皆さんが今取り組んでいることについては、目標を見失うことのないように「問い」を立てていきながら、諦めずに続けてほしいと思っています。
皆さんの学生生活が有意義なものとなりますよう、応援しています。
好奇心と挑戦(ソニー株式会社・2019年3月法学研究科公法学専攻博士課程前期課程修了)
【現在】2019年3月に法学研究科を修了後、ソニー株式会社に入社し、渉外・通商部 渉外グループに所属しております。現在の業務は、主に国内外の官公庁といった公的機関や経済団体などを相手に、ビジネス環境を改善するための政策提言やロビイングを行っています。初めて学ぶ事柄も多く、日々勉強の毎日ですが、同志社で培った「積極的に学ぶ姿勢」を武器に、関係するステークホルダーとのコミュニケーションに挑戦し続けています。
【学生時代】
学部時代・大学院時代は、「やりたいこと・やってみたいことを追求すること」に重きを置いていました。好奇心を持って、知りたいことを突き詰めた結果が修士論文です。興味があるものを深堀り出来るのは大学の醍醐味だと感じます。
ただ一つ心残りなのは、他学部や学外の人と触れ合う機会をあまり多く持たなかったことです。大学生には、様々なバックグラウンドを持った仲間と触れ合う時間や勉強をする時間、自分としっかり向き合う時間を十分に持つことが出来る特権があると思います。
是非、勉強・研究・アルバイト・サークルなど、色んなことにチャレンジしてみてください。
【企業を目指す方々へ】
将来を考えるにあたり、大学には公務員・会社員・研究者・起業家など様々な選択肢があります。多くの選択肢がある中で、「なにがやりたいのか」「どこなら自分の良さを発揮できるのか」「5年後はどうなっているのか」など自問自答を繰り返しました。その結果、自分に合う会社に巡り合えたと感じています。
皆さんも、企業を目指すのであれば、活躍できるフィールドが整った企業を見つけて下さい。重要なのは内定の数ではなく、やりたいことが出来る場があることだと思います。妥協や後悔がないよう、一度しっかり自分と向き合ってみてください。今皆さんがやろうとしていること/やっていること/やったことが、将来きっとどこかで活きてくるだろうと思います。
私も走り出したばかりです。共に頑張りましょう。
メディア
新聞記者は面白い(神戸新聞社・2022年3月法学部政治学科卒業)
私の職業は新聞記者です。デジタル全盛の中、オールドメディアと呼ばれる業界に身を置いています。新聞記者の登竜門は警察担当です。事件や事故が発生すると警察に取材をしたり、時には現場に急行して聞き込みをしたりすることもあります。入社3年目の私も主な担当は警察ですが、 高校野球から絵画展、ちょっとした「街ダネ」まで幅広く取材しています。
新聞記者の醍醐味は、大抵のことは記事にできることだと思います。入社1年目の時、妖怪が好きであることを上司に話すと「連載、書いたらええやん」と肩をたたかれ、計8回の連載記事を書きました。砂かけ婆や河童などの話が伝わる場所を訪れては古老に話を聞いて伝承の背景を探りました。ほぼ趣味ですが、これもちゃ んとした仕事です。もちろん職業上、会見でしつこく質問したり、渦中の人に突撃取材をしたりする場面もあります。が、それが全てではないのです。
新聞業界は「斜陽」と言われて久しいです。「一家に一紙」が当たり前だった時代は遠い昔で、発行部数は減り続けています。マスコミ不信から記者への風当たりも年々強くなっています。 そんな状況下でも、あえて新聞記者を目指す後輩がいるのなら、先輩としては大変うれしいです。将来性はともかく、面白い仕事であることは保証します。
大学時代の学びは記者としての基礎体力になっています。選挙や行政の取材では学んだ知識をそのまま生かせるのはもちろん、記者として物事を俯瞰的に見ようとする視点は政治学科での学びが大きく影響しています。大学生になった皆さんの前には講義やサークル、アルバイトにいたるまで多様な選択肢があります。一つ一つの選択は大したものではなく ても、積み重なると人生に大きな影響を与えます。かくいう私が新聞記者をしているのも、大学時代の小さな選択の積み重ねが大きく影響しているように思います。
月並みになりますが、学生生活を投げやりに過ごすのではなく、日々の選択にまじめに向き合ってみてください。自然と「将来の夢」は見つかってくるものです。皆さんが社会人になっ た時、「面白い」と思えるような仕事に就いていることを陰ながらですが応援しています。
世界を広げて(読売新聞大阪本社・2017年3月法学部政治学科卒業)
2017年4月に入社し、福井支局や京都総局で事件・事故やスポーツ、原発など、多種多様な分野を取材してきました。様々な人と出会い、記事として世の中に伝えられることが、この仕事の魅力です。新入生向けのメッセージということで、自分の入学時を思い出しました。第1 志望の国公立大は不合格となり、晴れやかな気持ちで同志社の門をくぐった訳ではありませんでした。それでも、講義が始まると、社会で起きている事象について、科学的に分析したり、考察したりすることの面白さに没頭しました。多角的な視野で物事を考える力が付いたのは、今の仕事にも大いに役立っています。興味のあるテーマをとことん深掘りできる環境に身を置くことができ、「同志社で学べてよかった」と思っています。
新聞記者を志したのは、2年生の秋からでした。ゼミの先生から、卒業生の新聞記者を紹介していただき、東京まで会いに行きました。2~3時間にわたって、生き生きと仕事の内容を語っていらっしゃったのがとても印象深く、「記者になったら、毎日面白いことが起きるんだなあ」とワクワクしたのを覚えています。
ただ、入社してみると、記者の仕事は楽しいことばかりではありませんでした。たとえば、大きな事件や事故が起きた際には、理不尽な形で身内を亡くしたご遺族に話を聞くこともあります。今も、「そんな状況で取材をしていいのか」との迷いが消えることはありませんが、「二度と同じことが起こらないように、これからも記事を書いてほしい」と言ってくださったご遺族の思いを大切にしています。
読者の中には、私のように「他の大学に行きたかったのに」と落ち込んでいる人もいらっしゃるかもしれません。それはもったいないことです。同志社には、自分にはないものを持っている人がたくさんいます。ぜひ、そうした人と関わり、世界を広げてみることで、自分が進みたい道を探していってください。
ポスト・コロナ、ポスト・トゥルースの時代に(毎日新聞社大阪本社・2012年3月法学部政治学科卒業)
入学おめでとうございます。このメッセージの依頼を受け、新入生の皆さんに、一体どんな言葉を送ればいいのか考えました。この文章が皆さんに届くころ、社会、大学がどのようになっているか想像もつかないからです。私は新聞記者です。人に会って話を聞くのが商売ですが、それが正しいのか葛藤し続けています。昨年、平和関連の取材を担当し、高齢者に会って話を聞く機会が多く、一方で街頭で不特定多数の人に話を聞くような仕事も多く、常に悩んでいましたし、構想を練っていた海外での取材は全て不可能になりました。
どんなツールがあろうと、初対面の人との会話は、直接会うことが何よりです。しかし講義の多くがオンライン化され、君たちの一学年上の先輩たちは入学した大学で友人も作りにくかったと聞きます。それでも、私は皆さんにできるだけたくさんの人と会い、いろいろな話を聞いてほしいと思います。学科、学部内でもそうですし、世代、宗教、性別が違ういろいろな背景をもつ人と交流してください。そして、本も新聞もたくさん読んでください。在学中に遠方に行って見聞を広められるような社会になっていることを願っています。
私自身、大学時代の友人、先生とは今も交流があります。在学中には講義や社会についていろいろ語り合ったり、聞いてもらったりしました。今でも時折、彼らから話を聞くことが、自分とは違う考えや知識、世界に触れる貴重な機会です。真面目なことだけでなく、バカな思い出話を共有する友達というのも、素晴らしいものです。そういう関係を築きやすいのも大学生ならではです。
私たちが社会の木鐸と称された時代は既に遠くなり、既存のマスコミを信用しない人がどんどん増えてきています。一方でSNS、AI の発展により、「ポスト・トゥルース」の時代に、報道機関の重要性は増しているとも感じます。経済的には斜陽ですが、面白い仕事ではあります。この業界に飛び込んでくれる後輩がいれば、大変うれしいです。
これを読んでくれた皆さんといつか、直接会う機会があるかもしれません。それを楽しみにしています。