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企業、メディアをめざすあなたへ
「企業」「メディア」の道へ進んだ卒業生から皆さんへ
企業
繋がりは後から見えてくる。まずはやってみよう。(株式会社日立ビルシステム・2012年3月法学研究科私法学専攻博士前期課程修了)
1.修了後の進路2012 年3 月に法学研究科を修了後、株式会社日立製作所に入社し、組織再編を経て、現在は、同社の子会社である株式会社日立ビルシステムの法務部門に所属しています。担当業務は、契約書チェック・法律相談といった法務業務や、訴訟・トラブル対応業務に加え、社内規則や印章管理といった文書業務など、幅広く対応しています。
2.学部から大学院へ
興味があることを探求することが好きだった私は、学部生の時に学内論文集への投稿に挑戦しました。調べた事柄を自身で分析・考察することや、それを文章で説明することの難しさを痛感しましたが、それ以上の達成感を得ることができました。そして、もっと発展的に研究を深めていきたいと思ったため、大学院へ進学しました。
大学院では、じっくり探求する時間もありつつ、様々な分野を専攻する方々と議論する機会も多く、学部とは違う刺激を受けながら、充実した日々を過ごすことができました。
そして、大学院での研究を進めていくうちに、自分が学んでいることは、実際のビジネスでどのように活用されているのかという点に興味が沸き、企業法務という進路を選択しました。
3.皆さんへのメッセージ
「貪欲に取り組んだ物事は、一見関係のないように思えてもどこかで結びつき、その繋がりは後から見えてくる」。皆さんにお伝えしたいのはこの点です。
私は、上述のとおり、学部の時点では企業法務への関心は強くなく、単純に研究したいという気持ちが勝っていました。しかし、結果的に、やりたいことを追求し、大学院に進学したからこそ、今の進路を選択することができました。
皆さんにも、興味があることがあれば、可能性を狭めることなく、どんどん挑戦してほしいと思います。それは勉強に限らず、アルバイト、サークル、趣味と何でも構いません。そこで得た経験や人との出会いは、その時はどのように役に立つか分からなくても、進路を決める上で必ず糧となりますし、思いも寄らないきっかけになるかもしれません。
大学生活を満喫しながら、皆さんが自分に適した仕事を見つけることができますよう、応援しています。
正しい答えよりも正しい問いを(イー・ガーディアン株式会社・2019年3月法学部政治学科卒業)
私は2019 年3 月に政治学科を卒業し、現在はイー・ガーディアン株式会社にて日英韓のローカライズ業務を担当しています。日本、韓国、そして英語圏で制作されたゲームを世界中のユーザーに楽しんでいただけるよう、言葉を翻訳する作業を行っています。ゲームの世界観に沿いながらも、その国の文化や習慣、背景を踏まえた上での翻訳が求められている為、新しい語彙だけでなく、世界の風習や特徴を知ることも多く、社会人へとステップアップした今でも、日々学習する姿勢は変わっていません。
1年生の春、論文を書くにあたり「問い」と「仮説」を立てることの重要性を学びました。特に「問い」を立てることについては、物事の意味を明確にしたり、好奇心を呼び起こしてくれる為、社会人になった今でも、私の行動指標の一つになっています。
学生時代は自身への「問い」に従い、心が惹かれたものには何でも挑戦することを心掛けていました。韓国への短期留学や、アカペラサークルでの活動、そして高校時代から興味があった国際政治学の専攻など、視野が広がるだろうと考えていたものについては、全力で追究していました。その結果、入学当初に比べると、遥かに視野が広がったように思います。
2020 年は、誰もが想像できなかった事態が世界中を襲い、大きな混乱が生じた一年となりました。思うように動くことができずにいた皆さんの中には、見えない不安と戦っていた方もいるかと思います。ですが、今取り組んでいることで損をしていることは何一つありませんし、成功だけでなく失敗も含めて、全て経験と知識に繋がる大切な糧です。どこかの瞬間で、「やっててよかった」と心の底から思うことがきっとありますので、皆さんが今取り組んでいることについては、目標を見失うことのないように「問い」を立てていきながら、諦めずに続けてほし
いと思っています。
皆さんの学生生活が有意義なものとなりますよう、応援しています。
好奇心と挑戦(ソニー株式会社・2019年3月法学研究科公法学専攻博士課程前期課程修了)
【現在】2019年3月に法学研究科を修了後、ソニー株式会社に入社し、渉外・通商部 渉外グループに所属しております。現在の業務は、主に国内外の官公庁といった公的機関や経済団体などを相手に、ビジネス環境を改善するための政策提言やロビイングを行っています。初めて学ぶ事柄も多く、日々勉強の毎日ですが、同志社で培った「積極的に学ぶ姿勢」を武器に、関係するステークホルダーとのコミュニケーションに挑戦し続けています。
【学生時代】
学部時代・大学院時代は、「やりたいこと・やってみたいことを追求すること」に重きを置いていました。好奇心を持って、知りたいことを突き詰めた結果が修士論文です。興味があるものを深堀り出来るのは大学の醍醐味だと感じます。
ただ一つ心残りなのは、他学部や学外の人と触れ合う機会をあまり多く持たなかったことです。大学生には、様々なバックグラウンドを持った仲間と触れ合う時間や勉強をする時間、自分としっかり向き合う時間を十分に持つことが出来る特権があると思います。
是非、勉強・研究・アルバイト・サークルなど、色んなことにチャレンジしてみてください。
【企業を目指す方々へ】
将来を考えるにあたり、大学には公務員・会社員・研究者・起業家など様々な選択肢があります。多くの選択肢がある中で、「なにがやりたいのか」「どこなら自分の良さを発揮できるのか」「5年後はどうなっているのか」など自問自答を繰り返しました。その結果、自分に合う会社に巡り合えたと感じています。
皆さんも、企業を目指すのであれば、活躍できるフィールドが整った企業を見つけて下さい。重要なのは内定の数ではなく、やりたいことが出来る場があることだと思います。妥協や後悔がないよう、一度しっかり自分と向き合ってみてください。今皆さんがやろうとしていること/やっていること/やったことが、将来きっとどこかで活きてくるだろうと思います。
私も走り出したばかりです。共に頑張りましょう。
遠回りでも大丈夫!選択肢を持つこと(株式会社小松製作所・2019年3月法学部法律学科卒業)
1.はじめに私は2019年3月に法律学科を卒業し、小松製作所に就職しました。2か月間の新入社員研修を終え、6月から工場の総務部にて就業管理、採用・教育を主に担当しています。入社して半年が経ちましたが、日々覚えること・学ぶことが多く、まだまだわからないことだらけですが、上司や先輩の助けを得ながら仕事をしています。
2.視野を狭めない
私の就職活動は紆余曲折のあるものでした。大学2年生のころ、公務員を目指すことを考え予備校に通い始めました。しかし、受験勉強はしつつも、このままでいいのかともやもやした気持ちがあった私は大学院の説明会や民間企業のインターンシップに参加していました。色々な経験をする中で、自分の中で考えを巡らせた結果、民間企業に絞って就職活動をすることにしました。
大学生活の中で就職活動を振り返ってみると非常に遠回りをしたようにも思います。ですが、公務員試験の勉強や多様な業界の説明会等に参加し、幅広い視野を持つことで自分には多くの選択肢があるということを知るのはよい経験でした。
少しでも興味を持ったこと、気にとまったこと、引っかかることに対してとりあえずアクションをとることが大切なのではないかと感じました。思いがけないところで想像もしなかった出会いにより新たな道はひらける可能性があります。もちろんそれは就職活動にのみならず大学生活全般にいえることではないでしょうか。
3.おわりに
4年間という大学生活は学業、アルバイト、サークル、そして就活と、日々忙しくしていく中で瞬く間に過ぎていきます。確かに卒業後、もっとあの勉強をしておけばよかった、もっとこういう経験をしておけばよかったと思うことはあるかもしれません。ですが、周囲に支えられながら、なるようになると信じて好奇心の赴くままに行動し、その時に自分の中で納得のいく選択をすることで結果はついてくるのではないかと私は感じました。同じ学部の先輩として、皆さんが良い大学生活を送れることを陰ながら応援しています。
メディア
世界を広げて(読売新聞大阪本社・2017年3月法学部政治学科卒業)
2017年4 月に入社し、福井支局や京都総局で事件・事故やスポーツ、原発など、多種多様な分野を取材してきました。様々な人と出会い、記事として世の中に伝えられることが、この仕事の魅力です。新入生向けのメッセージということで、自分の入学時を思い出しました。第1 志望の国公立大は不合格となり、晴れやかな気持ちで同志社の門をくぐった訳ではありませんでした。それでも、講義が始まると、社会で起きている事象について、科学的に分析したり、考察したりすることの面白さに没頭しました。多角的な視野で物事を考える力が付いたのは、今の仕事にも大いに役立っています。興味のあるテーマをとことん深掘りできる環境に身を置くことができ、「同志社で学べてよかった」と思っています。
新聞記者を志したのは、2 年生の秋からでした。ゼミの先生から、卒業生の新聞記者を紹介していただき、東京まで会いに行きました。2~3時間にわたって、生き生きと仕事の内容を語っていらっしゃったのがとても印象深く、「記者になったら、毎日面白いことが起きるんだなあ」とワクワクしたのを覚えています。
ただ、入社してみると、記者の仕事は楽しいことばかりではありませんでした。たとえば、大きな事件や事故が起きた際には、理不尽な形で身内を亡くしたご遺族に話を聞くこともあります。今も、「そんな状況で取材をしていいのか」との迷いが消えることはありませんが、「二度と同じことが起こらないように、これからも記事を書いてほしい」と言ってくださったご遺族の思いを大切にしています。
読者の中には、私のように「他の大学に行きたかったのに」と落ち込んでいる人もいらっしゃるかもしれません。それはもったいないことです。同志社には、自分にはないものを持っている人がたくさんいます。ぜひ、そうした人と関わり、世界を広げてみることで、自分が進みたい道を探していってください。
ポスト・コロナ、ポスト・トゥルースの時代に(毎日新聞社大阪本社・2012年3月法学部政治学科卒業)
入学おめでとうございます。このメッセージの依頼を受け、新入生の皆さんに、一体どんな言葉を送ればいいのか考えました。この文章が皆さんに届くころ、社会、大学がどのようになっているか想像もつかないからです。私は新聞記者です。人に会って話を聞くのが商売ですが、それが正しいのか葛藤し続けています。昨年、平和関連の取材を担当し、高齢者に会って話を聞く機会が多く、一方で街頭で不特定多数の人に話を聞くような仕事も多く、常に悩んでいましたし、構想を練っていた海外での取材は全て不可能になりました。
どんなツールがあろうと、初対面の人との会話は、直接会うことが何よりです。しかし講義の多くがオンライン化され、君たちの一学年上の先輩たちは入学した大学で友人も作りにくかったと聞きます。それでも、私は皆さんにできるだけたくさんの人と会い、いろいろな話を聞いてほしいと思います。学科、学部内でもそうですし、世代、宗教、性別が違ういろいろな背景をもつ人と交流してください。そして、本も新聞もたくさん読んでください。在学中に遠方に行って見聞を広められるような社会になっていることを願っています。
私自身、大学時代の友人、先生とは今も交流があります。在学中には講義や社会についていろいろ語り合ったり、聞いてもらったりしました。今でも時折、彼らから話を聞くことが、自分とは違う考えや知識、世界に触れる貴重な機会です。真面目なことだけでなく、バカな思い出話を共有する友達というのも、素晴らしいものです。そういう関係を築きやすいのも大学生ならではです。
私たちが社会の木鐸と称された時代は既に遠くなり、既存のマスコミを信用しない人がどんどん増えてきています。一方でSNS、AI の発展により、「ポスト・トゥルース」の時代に、報道機関の重要性は増しているとも感じます。経済的には斜陽ですが、面白い仕事ではあります。この業界に飛び込んでくれる後輩がいれば、大変うれしいです。
これを読んでくれた皆さんといつか、直接会う機会があるかもしれません。それを楽しみにしています。
「社会」に関心を持ち、物事を見る目を養う(読売新聞株式会社・2019年3月法学部政治学科卒業)
2019年3月に法学部政治学科を卒業、同年4月に読売新聞社へ入社しました。現在は秋田支局の記者として、事件・事故やスポーツ、地域の話題などを幅広く取材し、記事を書いています。名刺とペンを持って、あらゆる場所へと奔走する慌ただしい毎日ですが、記者でなければ出会えなかった出来事に遭遇することも多く、記者としても人としても成長させてもらっています。学生時代、興味が向いたことにはすべて挑戦していました。体育会に所属しヨットを始めたり、ドイツへ短期留学してみるなど、振り幅が広く、失敗することもよくありました。ただ、その都度、自分の考えとは違う価値観に触れ、少しずつ「社会」なるものを認識したような気がします。
2年生の秋からは、政治学の一分野である政治過程論を深く学び始めました。事例研究として取り上げたのは、原子力政策や英語教育政策、税制など多岐に渡ります。ある事象を巡る政治家、官僚、各団体などの動きを捉える作業を行いながら、多角的に物事を見ることの大切さを学びました。またゼミ活動の一環などで、原発が多く立地している福井県や、原発事故により住民の帰還が困難となった福島県の地域を訪れました。現地の雰囲気を知り、地域の人と話していく中で、資料を集めるだけでは分からなかった物事の機微を感じ取った経験は、私が記者を志すきっかけとなった出来事のひとつです。
学生生活を振り返ると、大学は、物事の見方を学び、考える機会を提供する場だと感じます。私は、法学部で学んでいるうちに、おのずと「社会」について関心が深まりました。まだまだ未熟ですが、世の中で起こる事象を考えるとき、高校生までの自分と比べると視野が広がったのは確かです。
法学部に在籍する方々、そしてメディアを志望されている方々にとって、学生生活が有意義なものとなるよう、祈念しています。